インドでアユルベーダを2017(16)日本語を学ぶ理工系学生

一度部屋に戻ると、ナイニーカがオムレツサンドを作ってくれた。昨年6月に名古屋へ日本語の勉強に行き、食事に苦労していた彼女。母親のビバさんからも『自分でご飯を作れるように』と強く言われている。インド人が海外へ出たら、自炊が基本となるので、料理の勉強は欠かせない。

 

それから銀行へ行った。インドの銀行、なんか懐かしい雰囲気がある。スタッフはマネージャー以下ほぼ全員女性。住宅ローンの宣伝が大きく出ているが、その金利は8年前に初めて見た時とほぼ同じだ。それなのに、定期預金金利は年4%と、以前と比べてかなり低下している。これは銀行の貸し出しが伸びていないことを意味しているのだろうか。

 

昨日は女子校に行ったが、今日は系列の男子校をラトールさんと訪問した。ここも雰囲気のある建物。元気な男の子ばかりが教室一杯に座っていた。初めは緊張気味だった彼らも、ちょっと話してみると、日本への興味が実に強く、『日本へ行ったみたい』という声が出てくる。だが日本に関する情報はあまりなく、どんなところかというイメージは沸かないようだ。

 

今日はバイクの後ろに乗って行動しているのだが、さすがに炎天下に出ると暑い。クリニックから出たばかりなので、かなりひ弱になっており、水分補給が必要になる。フラフラになって歩く。ラトールさんが連れて行ってくれた場所は、カフェというかバーの様な雰囲気。イギリス人が経営する、おしゃれなスポットだった。

 

だが売られている物は、酒ではなく、ベジタリアンフードが中心。マンゴジュースと、目についたトーフロールというのを頼んでみたが、マスタードが効いていて、美味い。久しぶりに触れた日本的な味だった。プネー在住外国人の憩いの場となっているようで、白人や中国、韓国人の姿も見られた。こういう場所が増えると日本人も少しは楽になるのではないか。但し長居禁止のようで店内ではPCを使用できない。

 

午後はまずHSBCの支店へ行く。ここのATMで試してみると、ちゃんとお金が引き出せた。やはりCitiは私の問題で引き出せないのだと分かる。最近プネーの街で見かけるものとして、機械を担いで掃除する人がいる。昨年導入されたらしいが、以前は女性が箒で掃いていたが、今や機械化が進んでいる。ただこの暑い中、労働は大変だろう。

 

道路工事もあちこちで見かける。道幅拡張や花壇の設置など、徐々に進歩が見られる。プネーも地下鉄工事が始まっているようだが、ラトールさんによれば、20年前に日本の地方都市が地下鉄の必要性を指摘したが誰も取り合わなかったという。急激な渋滞が発生し、皆目が覚めたのだが、かなり後手に回っている。

 

夕方、またバイクに乗り、工科大学へ向かう。ラトールさんはここで日本語の授業をしているというので見学に行く。キャンパスは道を隔てて2つに分かれており、100年は経っていそうな古い建物の横では、新しいビル工事が行われている。教授の一人にお会いしたところ、『実は今年から正式な大学になるんです』という。これまでは理工系の専門学校的な位置づけだったらしいが、規模を拡大する。

 

『日本の大学と是非提携したいんです!どこかいいところはありませんか?理工系でもよいし、総合大学でもいいんです』と訴えられる。『インドの発展はこれから。日本の成功に学びたい』ということか。もし日本の大学で将来を見据えてインドの大学との提携を検討するのであれば、良いかもしれない。

 

教室は新しいビルにあり、きれいだった。生徒が十数人来ていたが、正直ちょっとビックリした。これまで日本語を勉強している子たちは、女子が多く、またはアニメや音楽など、日本のカルチャーが好きで学んでいたのだが、ここは全然違う雰囲気だった。まず生徒はほぼ男子(女子は1人だけ)、しかも専攻はITや電子工学といった専門性の高い分野が多い。

 

授業は、まだ初歩であり、あいうえおなど、ひらがなから始まっている。ラトールさんの授業はひらがなを教えながら、同時に日本の文化などにも触れていく。カラオケを説明するのに『カラは空、つまりスカイだね』『リキシャーという言葉は日本から来たんだよ』という感じだ。日本から持ってきた教材を使い、ビデオも見せる。

 

彼らになぜ日本語を勉強しているのかと聞いてみるとズバリ『日本へ行って日本の技術を学びたい』というのだ。出来れば日本で就職の機会を得て、自分の理工系の知識を生かして働きたいと、優秀なインドの学生に訴えられると思わず、『皆さんは既に英語も出来るし、アメリカやヨーロッパの方が行くのが簡単ではないですか』と問うてみる。それでも日本の技術が優れている、と彼らは思っており、そう思われているうちが花だな、今のうちに日本のシンパを多く作るべきだな、としみじみ思う。因みに日本語は難しいかと聞くと『思ったより入りやすい言語だ』と言われ、これまた驚き。

 

夜は疲れたので、また軽くご飯を食べてシャワーを浴びて寝る。それにしても、インドで日本語がこんなに学ばれているとは驚きだった。これからもやり方次第ではどんどん増えていくだろうが、日本側にその意識が薄く、その担い手がいない、という現状を変える必要があると思われる。

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