インドでアユルベーダを2017(15)インドの経済発展を見る

ラトールさんに車で送ってもらい、クリニックへ戻った。1011日の滞在、いや修行が終了し、お別れの時が来た。先生はYさんに与える薬をさっと渡してくれた。説明を聞こうとしたが、『中にすべて書いてあるから指示通り飲めばきっとよくなる』というので、物だけもらって出てきてしまった。2匹の番犬もすでに吠えなくなっていた。随分長くいたような気がする。またいつか来よう。

 

ラトール家に投宿する。これが何回目だろうか。今回のプネー初日の朝もここに立ち寄りシャワーを借りている。夕方、日が暮れた頃、ラトールさんが『銀行に行ってみますか?』と聞く。Citibankのカード、デリー空港のATM機で現金が引き出せなかったので、試してみようというのだ。バイクの後ろに乗って街に出る。何とも賑やかで、バイクの洪水。これまでの環境とはだいぶ違う。しかし市内のATMでも結局現金は出て来なかった。これは機械の問題ではなく、カードの問題に違いなと判断。因みに後日香港で確認したところ、何とパスワード変更したことを忘れていたらしい。今回はもう滞在日数も少ないので、明日銀行で両替すればよい。

 

帰りがけに、ビッグバザールという、インドではお馴染みの大型スーパーの前を通ったので、ちょっと寄ってみることにした。バッグを預けなければならないのは面倒だが仕方がない。中に入ると、3年前よりずいぶんときれいになっており、品物もよくなっているように思えた。その分か、価格も高くなっているような気がする。

 

お茶コーナーに行ってみて、驚いた。棚の多くの部分が、グリーンティのティバッグで占められているのだ。あのリプトンが大々的に『グリーンティは健康に良い、ダイエット効果がある』と謳っている。紅茶のティバッグは棚の下の方に押しやられ、見る影もない。グリーンティは紅茶の3倍の価格が付いている。これで売れるのであれば、当然こちらを売るだろう。勿論チャイのパウダーは健在だが、徐々にチャイから緑茶へのシフトが進んでいると感じられる。これも経済発展の恩恵だろうか。

 

どうしてもニンブーというインドの一般的なジュースが飲みたくて、探したが、こちらも見つからなかった。棚にはオレジジやアップル、ライチなどのジュースはあるが、安いニンブーは棚から漏れたらしい。また前は瓶や缶が多かった飲料コーナーも、ペットボトルが主流になっていた。

 

高額消費時代の足音が聞こえるようだ。支払いはクレジットカードもあるが、ATMカードも使える。一部だが、スマホ決済すら導入されようとしている。経済成長が年率7%というのは、決して低い成長率ではない。日本ではどうしても中国と比較してしまいがちだが、インドは急速に変化しようとしているらしい。

 

夜は、ラトール家でチャパティと野菜が出た。夜は沢山食べないというのは、クリニックだけではなく、一般家庭でも普通に行われているらしい。出所したばかりの私には軽い食事が有り難い。日本や中国のように、夕飯を思いっきり食べていては消化が追い付かない。ベッドに横になるとあっという間に睡魔に襲われた。

 

228日(火)

翌朝は7時には起きて、アーサナを行う。8時前にはラトールさんがチャイを運んでくれた。そして今日は仕事が忙しいというビバさんを車で送っていくというので付いていくことにした。ビバさんの職場までは、市街地を通らなければならず、朝は渋滞が予想された。デリーやムンバイでは相当ひどい渋滞になっているが、ここプネーにもその波は押し寄せてきている。

 

何とか職場まで送り届けた帰り道。何とも趣のある道を通過した。馬車に積まれていたのは氷だった。馭者のおじさんがにっこりと手を挙げる。古びた図書館のような建物があった。ここはパルシーが住む街だという。ベーカリーに入る。ここのクックキーが美味しいとお土産に買ってもらった。パルシーはイラン系、パンをうまく焼く技術があったのだろうか。お客が引っ切り無しに来て、繁盛していた。店員は男性しかいなかった。

 

また少しくとイスラ系住民が住む地域がある。インドは各都市に、各階層、各民族が住んでいる。その先はヒンズー教徒が住むエリア。ラトールさんは日本語教材などをここのコピー屋さんに持ち込み、大量のコピーを依頼しているらしく、店員とも仲良しだった。日本語の本は簡単に手に入らないので、どうしてもコピーが必要になる。

 

外では皆が朝ご飯を食べていた。最近は他の州からプネーに働きに来る者も多く、簡単な朝ご飯の屋台が繁盛しているらしい。どんどん人々が忙しくなるインドでは、これから食の変化、食のとり方の変化が起こってくるだろう。家の近くまで戻ると、路上の野菜売り場に『Paytm』という表示が出ている。これがスマホ決済のシステムの一つらしい。

 

誰か使っていないか、じっと見ていたが、数人の客はすべて現金で払っていた。店はこの決済をすると、2%の手数料を取られるの、客には勧めないらしく、お客も少額の買い物は、現金でよい、という感じ。現時点では店にも客にメリットがないので、取り敢えずは普及しないようだが、もし何かのインセンティブが付けば、中国のように急激に発展する可能性はなきにしも。少なくとも政府は今回の高額紙幣廃止に合わせて、キャッシュレス化を進めるつもりだから、今後の動向には注目したい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です