インドでアユルベーダを2017(8)海外情報は正しく輸入し、日本情報はきちんと海外へ

クリニックへ帰ると、先生とビンセントと3人でランチ。何とも気分がよく、リラックスできた。大好物のオクラが出てきたのが嬉しい。きゅうりのサラダも久しぶり。休日の午後を楽しく過ごした。みんなで食べるご飯が美味しいということに久しぶりに気が付いたように思う。食べるメンバーが面白かったからかもしれない。

 

ミルクが話題に上る。アユルベーダでは、ミルクは良いとされているが、それはあくまでもフレッシュな場合だけだ。日本で搾りたてのミルクが飲める場所など、北海道などへでも行かない限り、難しい。しかも毎日とるとなるとどうするのか。先生が『家で牛を飼えばよい』と笑いながら言う。残念ながら、インドでも、フレッシュミルクを手に入れることは難しくなっている。

 

フルーツについては、基本的に体に入れてよい物であるが、沢山食べるのは良くないと言われる。また水分をフルーツからジュースなどの形でとるのもよいが、加工されたものはダメ。あくまでフレッシュジュースに限る。尚食後すぐにフルーツを食べるのは、消化の妨げになるので避けるのがよいらしい。食後のフルーツ、デザートなどは西洋から入ったスタイルで東洋では馴染まないのかもしれない。勿論『食べ過ぎ、飲み過ぎがよくない』ということであり、先生は絶対にダメ、という言葉は使わず、あくまでアユルベーダ的にこうだ、と教えてくれるのみ。

 

我が息子についても話す。彼は幼い頃から胃腸が弱い。これは私自身もそうだったので、遺伝かもしれないが、私の場合は40歳の時、北京で脚マッサージを6か月間受け、完全に治ってしまったという経験があるから、彼もここへ来れば治るのではないか、と思える。先生も彼の日頃の生活を聞き、『ここに一定期間いれば、何らかの効果が得られることはほぼ確実だ』と言っていた。本人は英語ができない、面倒だなどというが、胃腸が治ることは相当に人間を活性化する効果があるので、ぜひ試してもらいたい。

 

少し休んで、目のトリートメントを行う。何と施術するのはビンセントだ。水泳のゴーグルにオイルを入れ、それを装着する。目を薄っすら開けてもオイルは入り込まないが、前は良く見えない。7分間、目の玉を前後左右に回して、パチクリして、オイルを目に沁み込ませる。すぐに効果は体感できないが、何となく、目の疲れが取れるような気にはなる。

 

その後は目に煙を当てる。スモークと言われて当然煙が目の前にやってきて、目が見えなくなる。目が痛い、涙が出るが、拭くこともできない。ヨーガのクリアーの1つ、トラータカでは、1滴も涙が出ない私だが、ここまで強制すれば、十分な水分を外へ放出できることが分かった。終わってから1時間ぐらいは目がかすんでよく見えない。ただボッとしていた。

 

午後6時にゆっくりシャワーを浴びてリラックス。この辺でようやく目も完全に見えるようになる。7時にはビンセントと2人で夕飯を食べる。彼はインドには何度も来ているが、日本に行ったことはないという。だが興味津々で、ネットなどで色々な情報を集めているようだった。日本の地震対策はどうなっているのか、福島の現状は?もしフランスで原子力発電所の事故などあれば、国民は皆で廃止を訴えるはずだが、日本人はどういう考えで、発電を再開しようとしているのか?などなど。この辺の話はヨーロッパ人の方がチェルノブイリの教訓か、非常に敏感である。

 

また沖縄が長寿なのは煎茶を飲んでいるからか、など『その情報、一体どこから入手したの?』と聞いたくなるような話も飛び出して驚く。日本人は、日本政府は、これまでどのような情報を海外に向けて発信してきたのだろうか。彼らは日本語など読みはしない。少なくとも英語で、きちんとした情報を流す必要性を強く感じたが、政府に大本営発表など信じないだろう。日本に来た外国人の発信に頼るのではなく、研究者や民間人が外国語で正しい情報を流すことが求められている。

 

インドについても『インドはなぜスパイスを受け入れたのか』などというテーマが出てくる。インドは今ではスパイス国家だが、それは中南米からイギリスが持ち込んだものだとビンセントは言う。イギリス以前のインドにはスパイスはあったが、今のような辛い物はなかったというのだ。芋類やトマトなども従来インドにはなく、中南米から運ばれてきた。600年前、インドではどんな野菜が食され、どんなスパイスが使われていたのか、アユルベーダからそれを説き起こすことはできるのだろうか。実に興味深い話だ。

 

実は今日、目の治療が行われたのには訳があった。Wi-Fiが繋がったことにより、私は気を紛らわすために、ネットでドラマを見ることにしたのだが、たまたま目にした山崎豊子原作の『運命の人』にハマってしまったのだ。これはちょうど沖縄関連の本を読んでいた中で、出てきたドラマなのだが、沖縄返還密約に関する筋立ては知ってはいたものの、本木雅弘と真木よう子の演技に見入ってしまったのだ。何時間もPCを食い入るように見ていた、それを先生に見つかったという訳だ。まるで小学生だ。

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