カンボジア・タイ 国境の旅2016(3)不思議なバスで国境へ

727日(水)
カンボジア国境へ

翌朝3時台に起きて、410分には宿をチェックアウト。予め言ってあったので、フロントの横でスタッフが仮眠を取りながら、鍵を受け取ってくれた。そして歩いてテスコへ。道路には当然車は走っておらず、陸橋ではなく、下を渡ると、すぐに駐車場へ着いた。まだ暗かったが、そこにはすでに10人以上の先客がいた。英語で『カンボジアへ行くのか』と聞くと、きちんとした英語で『そうだ』という答えが返ってきたので、彼の横に腰を下ろして待つ。

 

その後続々と乗客が集まってきたが、その人々には1つの大きな特徴があった。非常に軽装、旅行用の荷物を持っているのは私だけなのだ。更にはタイ人らしい人が少ない。このバスはカンボジアへの帰省用かとも考えたが、土産を持っていない。担ぎ屋でもない。フィリピン人や欧米人も数人見られ、どうも違うらしい。かといっても観光用でもない。皆慣れた様子でバスの到着を落ち着いて待っている。

 

510分頃になり、ようやくバスの姿が見えると皆が一斉に立ち上がり、バスの方に向かった。タイでよくあるロットゥと呼ばれるミニバスだから、全員が乗るのは難しい。当然私も出遅れてしまい、大きなケースを持って乗り込もうとしたが、なかなか厳しい。運転手が整理するとあと一席あるというので何とか乗り込めた。残された人も慌てていないので、もう一台バスが来ることは明白だった。私の荷物は運転台に置かれた。

 

席は一番後ろの一番端。隣にフィリピン人の小柄な女性が座ったので、まだよかったが、そうでなければその狭さにとても耐えられなかっただろう。初めは見慣れたスクンビットの通りを走り、そのうち郊外に出て、それから2時間、どこを走っているのかもよくわからないまま、車は前に進んでいく。夜も完全に明け、スピードが出ていた。

 

2時間後に休憩があった。ほとんどの人はここでトイレに行き、朝ご飯を買って食べていた。私は乗り物に乗っている時は食べ物を食べないようにしているので、その辺を散歩した。足が伸ばせるのが有り難い。車もバンパーを上げ、休憩している。ここは一体どこなのだろうか。そして同乗者同士が英語で話しており、顔見知りも多いようだが、一体誰なんだろうか。

30分の休憩後、車は再び走り出し、私は眠りに就いた。そしてその2時間後、起き上がると、そこは閑散とした国境だった。時刻は9時半、休憩を入れて4時間半の旅だった。皆が車から降りて、私の荷物も運転手が下してくれた。さて、ここからどうなるのだろうか。確かTさんは国境で待っていると言ってくれていたが。携帯に電話すると、タイ側を出国するように指示がある。乗客全員がパスポートを持ち、出国手続きをしていた。やはりこの人たちはすべて外国人だった。タイ人とカンボジア人は別のゲートから簡単に出入りしていた。

 

出国するとそこにTさんが待っていてくれた。2年ぶりの再会となる。橋を渡るとそこがカンボジアだった。そして事務所のようなところへ行くと、ドイツ人が待っており、車代として400bを支払った。一緒に乗ってきた他の全員が彼の周りで、用紙に何か記入していた。それでようやく分かった。このバスはタイのビザを取るために一度国外に出るためのバスだったのだ。だからミニバスがテスコのところにやってきて、知っている人だけが乗り込んだのだ。私はそこに便乗した特別の客だったという訳だ。

 

通称ビザランと呼ばれるビザを繋ぐために一度国外に出る行為。本来はきちんとした滞在ビザを取るべきことは言うまでもないが、様々な事情でそれができない人が短期ビザを繋いでいる(日本人なら30日のノービザを繰り返す)。当然政府も取り締まりをするのだが、そこはタイ。必要悪に対しては規制が緩い。また偶に厳しくなるが、すぐに緩くなるのが実態だろう。同乗してきた人たち、バンコックで何をして、働いている人々なのだろうか。ちょっと気になるが聞けなかった。

 

Tさんが反対側の事務所に入った。そこは皆知り合いのようで握手を交わしている。そこで35ドル支払ってビザが交付された。ここがドゥーンという名の国境だと初めて知る。タイからカンボジアへ行く外国人は普通、アラヤンプラテートからポイペトに入るのだが、ここは全く知られていない、こんなことでもなければ通ることはない国境だった。

 

Tさんの車に乗り、国境を離れようとしたが、出口のところで、パスポートチェックがあり、どこかへ行けと言っている。よく考えてみたら、ビザはもらったが何と入国のスタンプを押してもらっていなかったのだ。チェックされてむしろ良かった。カンボジアを出国する時、入国スタンプがなければ、どういう扱いになるのだろうか。不法入国の疑いで捕まってしまうのだろうか。それにしても緩い国境であることに間違いはない。

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