《台湾温泉巡り2002》(3)紅葉温泉

3.2002年8月25日(日) 紅葉温泉

(1)茶農家
翌日朝8時11分発で瑞穂へ(NT$386)。今まで何回も台湾にやってきたが、花蓮より南へ行くのは初めてである。花蓮を過ぎると左手に海が見えまた畑が見える。右側は険しい山が見える。非常に自然が多い場所である。天気の良い日曜日にピクニックに行く気分である。リラックスできる。

10時44分瑞穂駅到着。礁渓は日本の温泉町の雰囲気があるが、ここ瑞穂は全くの田舎である。駅前にタクシーが何台か停まっており、その内の1台に声を掛けると女性ドライバーであった。『舞鶴の茶農家へ連れて行ってくれ。』と言うとかなり驚いていたが、10分ほど走り、1軒の農家へ行った。

少し小高い道端にある茶農家へ。ここ舞鶴は舞鶴山の麓にあり、50年以上前から茶を作っている。ここは土地が痩せており、様々な作物を試した結果最後に茶に行き着いたそうだ。但し高地ではないため、高級茶は出来ない。金萱茶は近くの舞鶴山で作る(収穫は春、秋、冬の年3回)が、高山茶は廬山などで作り持ち帰る。付近には100軒以上の農家があり、台北などの茶商が買いに来る他、花蓮からの日帰り観光に組み込まれている。又日本人で年2回茶を評しにくる人もいると言う。

農家のオヤジさんは、落語家の立川談志そっくりでビックリ。訥々としたしゃべりながら、ユーモアがあり、楽しめる。弟が福建省に行き茶を作っているとのこと。最初は苦労していたが、最近は利益が出ているようだ。まるで戦前の農家の次男が満州に行くような話しだが、彼が話すと悲壮感は無い。彼も先日シンセンに行き茶葉世界も見学したが、茶は殆ど飲まずにホテルで自分のお茶を飲んでいたという。最後に舞鶴金萱茶を1斤、NT$1,000で購入。

(2)紅葉温泉
運転手のおばさんに紅葉温泉に泊まりたいと言うと、『今日は日曜日だから』と言って、部屋の有無を電話で聞いてくれる。部屋が確認できたので、駅からの一本道を行く。牧場があったり、畑があったり、田舎の風情だ。原住民に対して政府は手厚過ぎる保護をしており、住宅補助金を出したり、子女の大学入試に加点したりと、不公平感が出ているなどの話を聞きながら向かう。

紅葉温泉は一本道の行き止まり。川が流れ、山並みがそこまで迫る。実に風情のある温泉だ。まあ昔の小学校の校舎が宿舎といった感じ。映画のロケに使えそう。中を覗くと何と畳の大部屋がある。板敷きもある。戦前の日本時代の名残ではないか?私は外国人ということで(?)、新設備の個室へ。NT$1,800(運転手のおばさんの交渉により割引あり)。バストイレ付き、エアコン付きで快適ではあるが、何となく古いほうに泊まりたい気分。

取り敢えず一風呂浴びる。大浴場には子供が水着で入り、暴れているので仕方なく個室へ。この暑い夏の昼日中に個室風呂とは、まるでサウナそのもの。下はタイル張りで昔の家の風呂場を思い出す。洗い場では石鹸の泡が良く立つ。湯は炭酸水素ナトリウムで、皮膚病、神経痛に効果あり。透明で癖が無く、入り易い。本来かなり長湯が出来そうだが、今の状態では10分が限界。(宿泊者無料。外来はNT$70。)

(3)瑞穂温泉
午後暇なのでもう1軒の温泉宿、瑞穂温泉まで歩く。約3kmはある。暑い。紅葉大橋あり。川には水があまり無く、今年の降水量の少なさを感じるが、子供たちは元気に水浴びしている。思わず一緒に入りたい気分。

瑞穂温泉は通称『外温泉』と呼ばれる。(紅葉温泉は内温泉)道からかなり急な坂を上った小山の中腹にある。露天の温泉プールがあり、水着を着た子供たちがはしゃぎ回っている。受付の横には個室風呂が並び、カップルが向かう。

NT$80の入浴料を支払い個室へ。かなり狭いが清潔感があり、木の香がする。湯は流し湯で、鉄分を含む塩化物炭酸泉質。色は黄色っぽい。痛風、胃腸病に効く。戸を閉めると蒸し暑いが、なかなか気持ちが良い。肌がしっとりしてくる感じ。ゆったりとした気分に浸れる。外へ出ると汗が噴出す。皆ベンチで休む。

もと来た道を戻る。キャベツ、芋などの畑が両側に広がり、トンボやちょうちょが飛んでいる。子供の頃の夏の夕暮れを思い出し、何だか涙ぐんでしまう。尚ここのキャベツ炒めは絶品。

部屋では何故かNHKワールドプレミアが映り、大河ドラマを見る。外では親子連れが花火をしたり、若者が騒いだりしている。夏の海水浴場の民宿を思い出す。翌朝は早く起きて山道を散歩する。朝露にぬれた草花が美しい。また川のせせらぎも心地良い。非常に幸せな一日の始まりである。

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