真冬の韓国散歩2015(10)慶州 奇跡のバス乗車

更に何の当てもなく北上した。しかし疲れてきたので、宿へ戻ろうと進路を逆に取る。すると途中に邑城と呼ばれる城跡があった。1012年の建造というから古い。その後文禄の役では日本軍をここで食い止めたと言われ、日本統治時代には殆どが破壊されたらしい。ほんのごく一部が保存されているが、そこがまた何とも言えないリアリティを感じる。

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帰りが意外と遠かった。疲れていたからかもしれない。大陵苑の外壁を見ながら延々と歩くと、その広さを実感する。冬の午前、歩いている人は殆どなく、車も少ない。慶州の街、それ自体が世界遺産とも言える街、次回はもっと、もっとゆっくりと時間を掛けて歩きたい。

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バスターミナルでブテチゲ

宿に帰ると、オーナーが『ソウル行きのバスの時間』と言って、電話で問い合わせてくれた手書き時刻表を渡してくれた。有難い。12時のバスに乗れば4時過ぎにはソウルに着くらしい。まだ時刻は11時だが、ちょうどチェックアウトの時間でもあり、この宿を去る。『どこかうまいランチが食べられる店はないか?』と聞くと、『この辺にはないよ』と一言。あれ、昼めし、どうするんだ?

 

まずはバスターミナルまで歩いていき、バスの発車時間を確認する。ところが・・、何と12時発のバスの切符は既に売り切れていた。午後2時のバスにしか乗れないという。今日の夜はソウルで約束があり、それに間に合わない恐れが出てきた。売り場の女性に『他に方法はないのか?』と聞くと『KTXで行け』と一言、言われ、終わる。他の案内所もなく、途方に暮れる。

 

KTXは新慶州という駅まで行かなければならないが、どうやって行くのか?仕方なくバスの方を眺めていると、運転手と目が合う。『KTX』というと、チケットを買って来い、という合図をするので先ほどの売り場に戻り、切符を買おうとするが、あの女性は『ここではない』の一点張りで応じない。片言英語の悲しさ、どうにもならない。

 

ふさぎ込んだ気分でターミナルから外へ出る。急に腹が減る。近くの食堂を眺めるが、また言葉が通じずに嫌な思いをしたくはない。『英語メニュー』と書かれた店へ入ってみたが、誰もいないので出てしまう。チラッと目に入ったもう1つの食堂、そこにはどう見ても外国人が数人で食事をしており、私もそこへ吸い込まれる。ところがここも言葉は通じない。インドネシアあたりから来た、その外国人たちは出稼ぎ労働者だろうか。韓国語を話しているではないか。

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メニューに英語があった。見ていると『ブテチゲ』が目に入り、思わず注文した。ブテチゲ、部隊チゲ。要はあるものを何でも鍋に突っ込む、日本で言うと闇鍋?特徴はインスタント麺がぶち込まれることだろうか。どこの店でもそうだが、キムチ以下の副菜が並び、真ん中にドンと鍋が出てくる。物凄い量だが、暖かい鍋、食欲がわく。

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この店、おばあちゃんとその娘が切り盛りしている。娘さんは朝から働き詰めなのか、具合が悪いのか、私の料理を仕上げると寝込んでいる。おばあちゃんとは勿論言葉は通じないが『もっと食べろ』という仕草、そしてやさしい笑顔。こういうのには本当に癒される。先ほどの嫌な思いなど、すぐに吹き飛ぶ。自然に湧き出す不思議なホスピタリティ、これが魅力だ。

 

満腹で食堂を出る。KTXに乗るためのバスを探して歩きだすと、目の前にバスターミナルが見えてきた。あれ、さっきのターミナルとは違う。咄嗟に悟った。ターミナルが2つのあるのだ。時計を見ると12時5分前、走って切符売り場に行くと、何と12時のバスに乗れた。しかも乗客は数人しか乗っていなかった。こちらが高速バス、料金が3万ウォンとかなり高かった。先ほどのバスは一般バス、料金もかなり安い。だからあちらから埋まっていくらしい。それにしても奇跡的な出会い、絶妙のタイミング。

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バスは直ぐに発車し、田舎道を走りだす。あっという間に慶州とお別れした。バスは横3席、かなりゆったりしている。そして何より客が少ないので、静かだ。と思っていると、KBSの番組をそのまま放送し始めた。まるで日本のワイドショーと同じ。相変わらず、韓国は日本の真似をしているのか、どうせ真似るなら、もっといいところを真似るべきだと思うのだが。高速道路に乗ると、実にスムーズに進む。途中1回、トイレ休憩したが、その休憩所のあり方も日本とほぼ同じで驚く。昔『韓国はミニ日本』と言って、怒られたことがあるが、それは今でもあながち間違ってはいないようだ。

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午後4時近くにソウル市内に入る。そして渋滞する車をよそに、バス専用レーンを走り、ほぼ時間通りにターミナルに入った。この辺りはキチンとしている。ここは江南のバスターミナル。ここから地下鉄に乗り、またあの宿に帰った。宿では私が預けた荷物をそのまま部屋に置きっぱなし、下宿に帰ったような気分で、またその部屋を使う。携帯の充電器もそのままコンセントに差さっており、まずは充電する。私も疲れた体を充電した。

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