ある日の台北日記2019その3(4)台湾映画を見る

10月19日(土)
台湾映画を見る

数日前に、盟友のBさんからメッセージが来た。『出演した映画をロータリークラブ社長が映画館を借り切って上演してくれる』というのだ。まさにBさんの人徳であり、Bさんの応援のために人が集まるのだという。『江湖無難事』、主役ではないが、今日のスクリーンでは間違いなく彼が主役だ。

 

ちょうど1週間前の連休中に、彼といつものように食事をした。場所は前回同様、ミャンマー人が経営する和食屋だった。ここのミャンマー人の足跡については、今回も聞くことは出来なかった。いつか聞いてみたい、なぜ東京へ行き、そして台北にやってきたのかと。彼とは異業ながら共通するところが多くて、話がしやすい。今後のお互いの方向性なども、軽い感じで話し合う。二人とも随分歳を取った。そしてフラフラしながらも、何だかかんだでご飯が食べられ、今日を生きている幸せがここにある。

 

実はほとんど映画を見ない私だが、こういうご縁の上でのお誘いであれば、偶には台湾の映画館に行ってみるのも悪くないと思い、出掛けてみることにした。その映画館は西門町にあるという。地下鉄駅から歩き出すと、土曜日の午後で若者を中心に人が多くて歩きにくい。10分ほど行くと、そこには映画館街が出現する。基本的に映画を見ない私にとっては、映画館が競うように並んでいる風景は、何とも新鮮な場所だ。古いビルも建っており、その処理に困っている様子も見て取れる。

 

ロータリークラブ主催のため、入り口付近で受付をしてチケットをもらう。先日ロータリークラブで数年ぶりに再会した林さんが仕切ってくれたので助かる。私以外の日本人は、俳優を目指す若者の男性と、雑誌の編集者で映画好きの女性だった。残りは皆台湾人で、Bさんの大応援団とその友人たち、といった雰囲気が漂う。

 

俳優志望の日本人は、北京で留学し、台湾でのチャンスを求めてきていた。息子が留学した学校にもそういう若者がいて、そのうちの数人をその後テレビドラマなどでみていたが、その世界は思うよりずっと厳しいようだ。編集者さんも上海から台北に移って来た人で、異常に台湾・中国・香港映画に詳しいオタク系。

 

館内は100席以上あったが、ほぼ満員の盛況。無料だからと言って、ここまで人が集まるとも思えず、本日のスポンサー及びBさんの人柄が思われる。映画はブラックコメディーと書かれており、内容的には、コメディー要素が強い構成になっていた。舞台は台湾と日本?Bさんは日本人やくざの親分役で結構出演時間が多かったが、最後は呆気なく??

 

普段映画をあまり見ない私にとって意外だったのは、この台湾映画、全編基本的に台湾語が使われており、字幕スーパーはあるものの、台湾人観客が笑っているところで、字幕を追い切れずに笑えない自分がいた。いや字幕で見ても国語では笑いのツボが分からない可能性もある。

 

やはり台湾語は台湾において重要だと痛感するものの、今から勉強するのは難しい。大学時代は授業に3回行っただけで投げてしまった(先日恥ずかしながらその恩師のお嬢さんと出会ったことは既に書いた)。30年前の台北駐在時にも、個人的な家庭教師をお願いしたが、残念ながら一向に上達せずに、いつの間にか、勉強しなくなっていた。どこが難しいのかはよく分からないが、なぜか生理的に?覚えられないのだ。

 

 

映画が終わって、周囲を少し歩いてみた。私が初めて台湾に来た35年前、確か最初の宿は西門町だったと思う。その頃も相当賑やかな場所だったが、その面影は徐々に見られなくなってきている。その時は若かった私も随分と歳をとり、昔を回顧する日々になっている。

 

映画がテーマの公園があり、古い建物の壁にはきれいなペインティングが施されていた。そして若者たちがスケートボードなどを楽しんでいる。日本のアニメ、ワンピースの専門店もあり、また様々なアニメ関連グッズの店があり、そこには若者が列をなしていた。このアニメに向けられるエネルギーが日本向けに良い方向を保ってくれることを期待したい。映画もそうだが、文化というのは、国境を越えていくので、今後更に有効な交流手段となるだろう。

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