ある日の埔里日記2017その4(5)茶葉入りアイス

9月18日(月)
茶葉アイス

今日から旅に出る。まずは台北を目指すため、9時発のバスに乗る。もう乗りなれているので寝ていると難なく着いてしまう。知り合いの紹介で葉さんと台北駅で待ち合わせた。西出口で待っていると夫妻で迎えに来てくれ、車で彼らの工場のある三重に向かった。三重は今バスで通って来た場所。分かっていれば三重で降りたのに。

 

大きな建物の駐車場に車は入った。ここは小さな工場が入居する工業ビル。そこに彼らの小さな工場はあった。元々は電子部品を作っていたが、今は食品関係を作っているという。なぜかおしゃれなカフェのような場所で驚く。作っていたのは、お茶のティバッグやアイスクリーム。何とも興味深い。

 

茶葉を入れて作ったアイスは紅茶や抹茶だけでなく、鉄観音など変わった品種まであり、全部で12種類。実は葉さんの実家は茶農家なのだ。元々の出身は龍潭、そこからお父さんが花蓮の瑞穂に移住して、今でも茶作りをしている。明日は彼女の実家を見学するため、今日ここにやってきたわけだ。実家の素材をうまく利用して高級アイスを作るなんて面白い!

 

アイスは全然甘くない。『もうハーゲンダッツの時代は終わった』と言い、少なくても台湾では甘くないアイスが好まれているというのだ。更にはそこにイタリアのジェラートの感覚も取り入れている。これは正直ちょっと意外だった。このアイスの値段は結構高いが、台湾では好評で、近々工場を拡張する計画もあるという。ティバッグの受注も伸びている。これからの茶業の新しい形かなと思う。

 

彼らは仕事が忙しいので、ここの一部屋を借りて、お茶の勉強をする。その部屋には茶に関する本がたくさんあり、中でも製茶組合の歴史の本など、普通は手に入らないものがあるので、それを読み始めたら止まらない。途中で葉さんが実家で作っているという文旦をくれたが、これがまた美味い。益々読書に身が入ってしまう。

 

結局夜まで本を読み続ける。我ながら勉強熱心だと思う。それから夫妻に連れられ、市内へ戻り、夕飯を食べる。最近流行りだという麺の店へ行くが、そこは熱炒の要素も取り入れ、客の注文で調理もする。初めの一店舗が成功して、今は横に4店舗まで広げたらしい。確かに味がよく、客は引っ切り無しに入ってくる。

 

今晩は葉さんの家に泊めてもらう。家と言ってもマンションの同じ階の部屋を2つもっていて、その一つは空いているというのでお言葉に甘える。広い家だが、オウムと亀がいるだけだった。明日の朝は早起きなのでシャワーを浴びてすぐに寝入る。夜中にオウムの奇声を聞いたような気もするがぐっすりと休む。

 

9月19日(火)
花蓮 太魯閣

朝4時半起床!昨晩『明日早いから』と言われたのだが、まさかこんなに早いとは思わなかった。真っ暗な中車に乗り込む。今日は花蓮の南部、瑞穂を目指すわけだが、なぜこんなに早く出るのかはよくわからない。ただ連れて行ってもらう以上、相手に合わせるのが流儀。黙って着いて行く。車はすぐに高速道路に上がり、宜蘭の方へ向かってひた走る。5時半頃には陽が登り始める。

 

更にどんどん進み、6時半頃には海岸線へ出る。久しぶりの太平洋。しばし車を停めてもらい、海を眺める。断崖と書かれている場所もある。以前は花蓮へ行くのに、相当の時間が掛かったが、今では道路が整備され、随分と便利になっている。実は花蓮自体を見るのがなんと27年ぶりなのだ。

 

車は太魯閣渓谷の方へ向かっていく。どうやらこの近くで用事があるようだが、まだ時間が早いので、寄り道するらしい。私にとっては願ってもない機会だ。27年前にここに来た時は、その2週間前に前代未聞の台風による自然災害があり、道路は崩れて殆ど何も見られなかったのだ。

 

朝が早いせいか、観光客は見当たらない。なんとも天気がよく、空が澄んでみる。川の水も清らかだ。あくまでもトイレ休憩なので、じっくりと歩くことは出来なかったが、十分に堪能できた気はする。東西横貫公路が出来ており、西側へ行くこともできるようだが、その道は険しそうだ。日本人の団体を乗せたバスがやってきてすれ違った。

 

それから花蓮市の少し先の吉安郷に行き、用事を済ませた。彼らは非常に熱心に価値ある農産物を食品に入れるべく、探しているのが分かった。こういう人々の努力で、我々の口に物が入るのだ。東海岸の平坦な道を車は走っていく。横には線路が見え、電車が走るのだろう。

 

瑞穂
11時半頃、目的地に着いた。台北を出てから6時間半が過ぎていた。驚いたことに、葉さんの実家、富源茶葉には、昨年瑞穂に来た時に寄ったことがあったのだ。それは台北の茶荘の紹介だったが、その時は別の茶荘に行った関係で寄らないつもりでいたのだ。ただ朝の散歩で偶然見つけていきなり押し掛けた経緯がある。葉さんのお兄さんが対応したのだが、そのことは覚えていてくれ、お互い驚く。

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