ある日の埔里日記2017その4(4)セデック族の結婚お祝いに

9月16日(土)
セデック族の結婚お祝いに

今日もIさんに誘われて、埔里から少し山の方へ向かう。実は彼の奥さんはセデック族の出身であり、親戚に結婚する人がいることから、そのお祝いの儀式があるというので、行ってみることになったのだ。この儀式、何でも朝一番で豚を解体し、親戚一同に配り、集まった者で、肉を焼いて食べるのだそうだ。何だかとても原始的な儀式を想像してしまう。

 

車は霧社へ向かう道を登り始めたところで、横道に入った。眉渓という辺りらしい。そこには教会があり、そこに車を停める。周囲には民家がいくつもあり、想像していた山の中ではない。その一軒の家の前で小型トラックの荷台を使って男性が3人がかりで解体作業が行われていた。周りでは長老など集まった親族がそれを見つめながら話し、子供たちはその辺で遊んでいた。

 

次々に奥さんの親戚を紹介されるも、元々の関係が全く分かっていないので、とても覚えられない。しかも肝心の新郎新婦がどこにいるのかもわからない。後で新郎には挨拶できたが、新婦はこないのだという。この儀式は新郎側で行われていたのだ。結婚式は来週そこの教会で挙げ、披露宴は埔里市内で行うらしい。今日のそれは伝統行事の継承だろうか。

 

肉の解体が終了すると、新郎が長老に結婚報告のような形で、その肉などを渡している。後の人は各自持ち帰るようで、今日来ていない人の分も誰かが預かって持っていくらしい。そして全員が集まり、何かに向かって代表者が祈りの言葉を捧げた。更には殆ど人がキリスト教徒なのか、神にも祈りを捧げている。

 

この辺の宗教事情も知りたいところだ。光復後、物資がない時代にキリスト教の宣教師がやってきて、食べ物を与え、教育を与え、信者を増やしたらしい。今でもインドの山奥ではこのような布教活動が行われていたのを見たことがあるが、アメリカ人やヨーロッパ人が山の中で何十年も住みついているのもすごい。

 

それから食事が始まった。豪快に焼かれた肉の他に、木桶で炊かれたご飯や大皿に盛られたサラダなどがあり、皆好き勝手にとって食べている。肉のスープもあったが、これはあまりにも脂分が多くて濃厚だが、沢山は飲めない。

 

今日集まった人の中に、台北の大学で民族学を教えている人がいた。いわゆる原住民の歴史、これにも大いに関心がある私は、茶との関係などを中心に色々と質問してしまった。台湾に元々茶の木はあったのか、という命題と原住民は何らかのかかわりがあるように思えてならないのだが、そこはどうしてもわからない。ただこの近くの山でもお茶が栽培されているらしい。今度ちょっと調べてみたい気はしている。

 

軍の特殊部隊に所属しているという若者も来ていた。何となく高砂義勇軍なる言葉を思い浮かべてしまったが、不謹慎だろうか。中正記念堂の衛兵なども皆精悍な顔立ちだが原住民が多いと聞いている。勇猛果敢な人々は今も現役なのだろう。因みにこの地区の人々は霧社辺りから降りてきたセデック族で、いわゆる霧社事件のモーナルーダオなどとは系統が違うらしく、この事件については関係がないと言っていた。因みに家々の表札を見ると漢字名があり、その下にローマ字で元の名前が書かれていた。

 

学校の校長先生だったという方は病を得て車いす生活をしていた。それでも随分回復したと言い、皆と楽しそうに談笑していた。普段はインドネシアのメイドさんが世話をしているのだろうか。日本にも昔はこんな集まりがあり、親族が楽しく談笑していただろう。Iさんが日本酒を買ってきて差し入れた。さすがに皆、酒は強そうだった。

 

スマホの電池交換
車で送ってもらい、埔里に戻ってくると、なぜかスマホの電池がほぼゼロになっていた。いくら充電しても、すぐに無くなってしまう。これは充電コードの問題なのか、または電池か、それともアイホーン自体が壊れたのか。実は明後日から旅に出る予定であり、スマホは必須なため、スマホを修理してくれるところを探すことになる。

 

バスターミナル近くに1軒見つけたのでそこに飛び込む。若者がいたが、スマホを見るとすぐに電池の問題と断定した。まだ1年しか使っていないアイホーンだけど、電池の消耗が早過ぎ。でも背に腹は代えられない。電池交換を頼む。30分ほどかかるという。そうか、昔携帯みたいに自分で電池を入れ替えることは出来ないのだ。700元。

 

20分ぐらいして戻ると交換は完了していたが、充電が出来ていないので、そこで少し充電させてもらった。その間彼と話す。『実は彼女が東京旅行に行きたいっていうので先日お金を渡したんですが・・??』とまるで人生相談か。何となく面白いので、そのまま話を続けた。彼は東京旅行に行ったのだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です