ある日の埔里日記2017その2(9)桃米坑から鹿篙へ

3月30日(水)
鹿篙へ

 

本日は埔里滞在2回目の最終日。Wさんがバイクでお茶屋さんに連れて行ってくれるというので、お言葉に甘えて、後ろに跨る。私もバイクに乗れれば行動範囲が大いに広がると思うのだが、どうも長年、車にすら乗らないので、バイクも怖くてしり込みする。そのくせ、人の後ろに乗るのは慣れており、問題はない。

 

まず向かったのは、埔里郊外の桃米坑という場所。ここの山間部にも茶畑がある、とWさんが言うので、行ってみた。確かに狭い道路脇に茶樹が植わっている。それも結構古い。但し人の手は入っており、誰かが管理して茶を作っているように見える。それでも産量は殆どないだろう。ここがもし日本時代に植えられた場所なら、さる有名人が茶園を作った場所ではないかと勝手に妄想が膨らむ。Wさんによれば、この付近にはほたるが多く生息し、夜はほたる見物客が訪れる所らしい。

 

進んでいくと、小さな牧場のような場所に出会う。ここでキャンプができるらしい。最近の台湾のトレンドだな。更に行くと山の中にきれいな茶畑が見られた。これは最近植えた台茶18号だろうか。実はこの先まで行くと蓮華寺という、相当古い文献にも名前が出てくる茶畑があった場所に至る。この付近全体が台湾でもかなり古い茶の産地だったのだ。

 

バイクで走ると結構速い。私は茶畑が見えるとすぐに反応するが、Wさんは樹木に反応する。ある木をパッと見て、すぐに『ああ、ここにはカブトムシが来る』と叫ぶ。人間というのは自分の興味により、見ているところが全然違うと悟る。鹿篙へ向かって、バイクは進んでいく。

 

昼ごはんを食べようというのだが、こんなところに食堂があるのか?ところがあるのだ。ここには大学がある。日本人でこの大学で教えている人がいるそうで、その人から教わったとWさんは言う。昼時、若者で満員だった。食堂は1軒ではなく、3軒ぐらいある。結構ビックリだ。そして出てきた食べ物はかなりうまかった。学生街だからボリュームもある。嬉しい。腹一杯食べた。

 

そして鹿篙へ。大きな通りから道を入る。ここは6年前から何度も通っている。見知ったお茶屋さんもあるが通過。そして日據紅茶廠というところに着いた。ちょうど茶摘みを終えた地元のおばさんたちが皆でお茶を飲んでいるところに遭遇。何だか楽しそうだな、と一緒に混ざって紅茶を飲む。

 

ここの老板、王さんに話を聞くと、日本時代ここは持木さんの畑があり、おじいさんはその茶園管理の仕事もしていたらしい。その持木茶園は今では全く無くなっているという。1980年頃には紅茶作りをする家はほぼ無くなっていたが、お父さんは細々と作っていたともいう。そして紅茶ブームが到来し、皆が一斉に作り始めた。大陸の観光客も来て、一時は飛ぶように売れ、レクサスを買うまでになった。だが、最近は茶葉の価格が下がり、観光客も来なくなり、厳しい状況に陥っているという。

 

工場には若者が茶作りの修行をしていた。ジャカルタから来たというインドネシア籍の女性も手伝っている。紅茶に将来性があると思い、この道を選んだというが、製茶修行も大変なら、その前途にも暗雲が立ち込めている。裏山のかなり急な斜面には、アッサムや台茶18号が植えられている。所々にコーヒーも見られた。パイナップルなどフルーツと共に植えられているのがよい。

 

帰りもバイクで送ってもらう。バイクならいつでも行けるのだが、歩いて行くわけにもいかず、自転車でも坂がきつそうだ。次はいつ行けるだろうか。夜は大腸麺線を食べて満足した。帰りに廟の前でお祭りのように、皆が食事をしている姿が見られた。

 

3月31日(木)
大陸へ

ついにまた埔里を離れる日が来た。今朝は5時に起き、6時半のバスで高鉄駅に向かった。バスで桃園空港に行くことも考えたが、万が一に備えて、電車を使ってみることにした。高鉄駅では、指定席は40分先までなかったが、自由席なら20分後があるというので、自由席にしてみる。まあ座れなくても40分の旅だから問題はない。

 

結局自由席は空いていて、席にも座れたし、荷物も何とか置くことができた。高鉄の問題点は荷物置き場が狭いことなのだ。そして8時過ぎには高鉄桃園駅に着いた。これまではバスで空港に向かうのだが、ついに先月MRTが開通した。初めて乗ってみることになる。正直席はツルツルで座り難いし、やはり荷物置き場は狭い。でも桃園駅から15分位で着くし、何よりバスのように待つ必要がなく、時間が読めるのは有り難い。モノレールなので景色もよい。今月は料金も半額で嬉しい。

 

9時には空港に到着する。フライトは12時過ぎなので、なんとチェックインカウンターすら開いていない。埔里の家から空港までこのルートなら3時間はかからないのが分かり、今後の参考となる。さあ、次はいつ来るのだろうか、台湾。

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