NHKテレビで中国語コラム『アジアの中華メシ』2014年10月号第7回『春巻きは春に巻くもの』

餃ギョーザ子(第6回)が出たら次は春巻きかな、今回は点心シリーズ第2弾としたいと思います。春巻きも非常にポピュラーな食べ物ですが、アジアへの広がりという意味では、餃子よりもむしろバリエーションがあるような気がしています。

春巻きは広東料理の1つであり、春の初め、豚肉と立春の頃に採れた野菜など
を小麦粉の皮で巻いて揚げた物。名前から見ても春巻きは春を告げる食べ物
だったと言えます。なお中国北部では春餅と呼ばれる食べ物がありますが、これは具を自ら取って巻き、そのまま食べる方式で、やはり旧暦2月頃に食べられていました。

日本人が飲茶でオーダーする定番は焼シューマイ売、蒸し餃子、そして春巻きでしょうか。飲茶の本場香港でも春巻きは定番メニューですが、日本とは大きな違いがあります。日本では醬しょうゆ油をつけるのに対して、香港ではウスターソースをつけて食べるのが一般的なのです。最初は戸惑うでしょうが、これが意外に美味く、慣れると癖になります。

ソースと言えば、先日インドのムンバイで食べた春巻きにはケチャップが一緒に出てきて驚きました。インドの人々はまるでフライドポテトなどスナックを食べるような感覚で、ケチャップをつけて食べていましたが、これも立派な中華メニューでした。因ちなみにインドの春巻きは焼きそばの具(キャベツ、ニンジン、ピーマンなど)が詰まった感じで、ベジタリアンでも食べられ、しかもかなりの大きさでした。そういえば形は違いますが、サモサ(インド料理のひとつ)も春巻きの変形なのではないでしょうか。

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アジアへの広がりとしてよく言われるものに、ベトナムの生なま春巻きがありますね。ところが正直にいうとベトナムを歩いていて生春巻きを見ることはあまりありませんでした。やはり揚げた春巻きが主流です。生春巻きはライスペーパーで巻くこともあり、現地でも春巻きではなく「夏巻き」と呼ばれて、別物扱いと聞きましたが、どうでしょうか。

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ベトナムの春巻きは福建省あたりの潤餅と似ているという話もありました。潤餅は福建や台湾の屋台などでよく見られる食べ物。鉄板で小麦粉の生地を焼き、そこに具を巻くもので、台湾風春巻きなどとも呼ばれているそうです。潤餅は海を渡ってフィリピンやインドネシアにも流れていき、ルンピアと呼ばれるようになり、普及したという話もあります。また潮州系華人が多いタイでは潮州料理の「薄餅」がポッピアと呼ばれる蒸し春巻きとして広がり、屋台料理としてよく食べられています。東南アジアにはよくフィットした食べ物と言えるでしょう。

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なお春巻きの変形として、中国では浙江省あたりの宴会の最後に、甘い餡子を包んで揚げたデザートが出てきた記憶があります。味の濃い料理の後に食べるとさっぱりとして、とても美味しく感じられました。

春巻き1つ取ってみても、なかなか奥が深いと感じませんか。アジアを旅する中で、1つの点心をテーマに各地を見ていくというのも面白いかもしれませんね。

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