NHKテレビで中国語コラム『アジアの中華メシ』2014年8月号第5回『あまり変化していない餃子』

日本に来た中国人が確実に驚くことの一つに「ラーメン・半炒飯・餃ギョーザ子セット」というものがあります。中国料理屋さんのランチメニューなどにあるものですが、中国ではほぼ間違いなく、この食べ方をする人はいません。なぜならこの3つは全て中国では主食に当たり、日本でいうなら、ご飯とパンと麺だけを一緒に食べるようなものだからです。中国では餃子はご飯(炊いたお米)と同じ扱いなので、ご飯にするか、餃子にするかの選択を迫られることがよくあります。

「それにしても日本人はどうしてあんなに焼き餃子が好きなんだ?」と中国人に聞かれることが何度もありますが、いまだに答えは見いだせていません。1980年代に筆者が上海に留学していた時、どうしても餃子が食べたくて、一流ホテルのレストランに行くと、餃子と言って出てくるのは水餃子ばかり。「焼き餃子」といくら言っても通じませんでした。「焼き餃子」は中国では「鍋貼」と言って、前日残った水餃子を翌日鍋に入れて油で焼いたもので、つまり日本人は残り物を再利用したものをわざわざ食べている、と思われたようでした。勿論今の日本の焼き餃子は再利用ではありませんが。

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日本と中国の餃子の違いで大きいのは、具にニンニクを入れるか入れないかでしょう。中国ではニンニクの代わりにニラを入れているケースもありますが、必ずしも全てではありません。というより、中国の水餃子の具の種類は数十種類にも及び、どれを選んでよいか本当に迷います。また日本では注文は1皿単位ですが、中国では注文する時に「餃子半斤(250g)」などと重さで言うので慣れが必要です。

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そもそも餃子を日本ではなぜ「ぎょうざ」というのでしょうか。留学中に訪れた山東省は餃子の故郷ですが、ここの方言で「ギャオズ」と聞き取れました。現在の中国東北地方には以前山東省から移住した人が多く、恐らくは旧満州でこれを聞いた日本人が戦後日本に持ち帰ったものと推察されます。

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それでは、餃子は他のアジア諸国ではどのように食べられているのでしょうか。意外にも餃子は各国でそれほどの変化を見せていないようです。マレーシアでもインドでもさほどの違いは見られませんでした。

タイでは餃子のことを「キアオ」と呼び、スープ麺の中に入れて食べることが多いようですが、作り方はほぼ同じです。恐らくは中国から華人が持ち込んだものなのでしょう。そして何と焼き餃子のことを「ギョウザ」と呼ぶそうで、日本から入った外来語とも言われているとか。因ちなみに韓国でも「キョジャ」と言われていたと思います。

またタイでは揚げ餃子をスナックとして、甘いソースをかけて食べます。これは揚げ物文化が中心の東南アジアで発達した餃子の食べ方かもしれません。餃子はアジア及び世界に広がりましたが、おかずではなく主食であることから、その変化は意外に少ないということでしょうか。中国の影響がそのまま伝わっている餃子は、家族総出で作り、食べるものでもあり、非常にアジア的な食べ物と言えますね。

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