NHKテレビで中国語コラム『アジアで中国語を使ってみた』2013年11月号第8回『トルコ』

第8回『トルコ』

アジアとヨーロッパをつなぐ街、イスタンブールを擁する国、トルコ。そのエキゾチックな街並み、そして世界遺産カッパドキアの奇岩など、豊富な観光資源を持つこの国は、ヨーロッパ人にも、そして日本人にも極めて人気の高い観光エリアです。ギリシャ的、中東的、そして中央アジア的な顔立ちが混ざり合うまさに文明の十字路と言えますね。近年は経済成長も著しく、若手実業家が颯さっ爽そうとビジネス街を歩く姿はこの国の勢いを象徴しています。

イスタンブールのグランドバザールは、アジア最大の市場と言われ、その規模は壮大、必ず迷子になると言われるほど、店が入り組んでいます。店には絨毯、服やバッグから、チャイと呼ばれる紅茶を飲むかわいいグラスなど、実にさまざまな物が売られています。ここは中国人、台湾人観光客も多く訪れるため、中国語を使って声を掛けてくるモノ売りがいます。そして足を止めるとすぐにどこからともなく、チャイが運ばれてきて、まずは商談の前にお茶を一杯となるのがトルコ風で面白いですよ。

イスタンブールの観光の中心、スルタンアフメット地区を歩いていると、漢字の貼り紙があり、店に入ってみるとそこには広州と香港で中国語を勉強したトルコの若者がいました。彼によれば「残念ながらトルコ人は一般的に中国人を警戒している」とのことで、同胞であるウイグル人を気に掛けている様子が見えました。そんなシリアスな会話をするかと思うと二言目には「絨毯は買ったか?」と聞いてくる、これがトルコの商売でしょうか。

トルコには中国料理店がほとんど見られません。イスラム教国であり豚肉が手に入りにくいことが理由だと言われましたが、そもそもイスタンブールのような国際都市にチャイナタウンが無い、華人がほとんどいない、それは単に距離が遠いというものではなく、現在の中国とトルコの関係を物語っています。

一方中国人観光客はどんどん増えているようで、イスタンブールでも地方都市でも中国人を何度も見かけました。カッパドキアの奇岩を眺めている中国人観光客に声を掛けると「我が国にも西洋と東洋が混在した場所はあるにはあるが、これほどのスケールではない」と言い、また「実は昨年は国内旅行で新疆ウイグルへ行って虜とりこになってしまった」と、興奮気味に話していました。中国人にとっての異国情緒とはこんな場所なのかもしれませんね。

土産物は何を買うのかと聞いてみると一言「金製品」。トルコではトルコ石が宝石類としては有名ですが、中国人によれば「トルコ石はトルコでは採れない。もしかすると中国からの輸出品かもしれない」と警戒しているのです。中国産トルコ石、何だか見てみたくなりますね。どこで買っても価値がはっきりしている黄金を好む中国人、やはり実利的な人々と呼べるのではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です