タイ北部お茶散歩2015(14)アユタヤの工場で

7.アユタヤ

2月21日(土)

雨とスリ

ついでに翌日の出来事を記しておくことにした。バンコックに戻った翌朝、日本からやってきた中国人のお知り合いX氏のお供で、アユタヤに行った。正直前日までの疲れが残っており、かなりだるい寝起きとなる。まずは大学の同級生Oさんとエンポリアムで待ち合わせ、それからX氏のホテルへ迎えに行き、一緒にアユタヤのOさんの工場を見学する予定だった。

 

私は疲れていても基本的に歩く主義。朝6時に家を出ると、チェンライほどではないが、結構涼しいので助かる。いつもの道を歩いていくと、ポツポツ雨が降りだした。2月のバンコックで雨が降るなど、珍しいなと思っていると、突如スコールのようなどしゃ降りに変わる。当然こんな時間に都合よくタクシーは来ない。傘も持っていない。見ると目の前をバスが走っていき、数人のタイ人が乗り込んでいたので、慌てて一緒に乗る。

 

バスは混んでおり、雨足が強くなるにつれ、人がどんどん乗り込んできて来て、身動きができなくなる。久しぶりに満員電車に乗った気分だ。バスは人の乗り降りが激しく、その度に体の接触があり、バッグが邪魔になる。30分後にようやく解放された時は正直ホッとした。

 

そしてエンポリアムのシートに座った時、背負っていたバッグを下ろしてみてビックリ。完全にチャックが開いており、本が今にも落ちそうになっている。瞬時に『やられた!』と感じ、雨に濡れた体が更に冷えた。ところが、中身を確認するとパスポートからお金まで、無くなったものは何もなかった。これは一体どういうことだろうか?単に私のバッグの締め方が甘く、バスの中で勝手に開いてしまったのだろうか。

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いや、そうではあるまい。プロはパスポートやカードには手を付けないことは前回マレーシアのマラッカで遭った集団スリで経験済みだ。すると現金があまりにも少額で取るに足りない?と判断されたようだ。現金をあまり持ち歩かない、これが正解だ。それにしても乗客は誰も気が付かなかったのだろうか。見て見ぬふりをしたのだろうか。いずれにしてもボーっとしていてはいけない。

 

Oさんの工場で

シーロムのホテルでX氏をピックアップした。このホテル、かなりの老舗、私も10年ぐらい前に一度泊まったことがある。古いがロケーションが抜群で、人気がある。さすがにロビーは改装され、見違えるようにきれいになっていた。日本人の観光客が多い。ゴルフに行くおじさんたちが通り過ぎる。

 

Oさんの車でアユタヤへ向かう。土曜日の朝、ということもあり、道は左程混んでいない。何故か雨も上がっている。車の中では早速OさんがX氏に中国関連の質問を浴びせ始めた。Oさんはタイを中心に東南アジア、インドなどの経験は豊富だが、中国に関しては殆ど知識がないという。今度4年ぶりに仕事で上海へ行くので、その予習という意味合いもあり、ニュースや本で得た知識の確認を行っていた。

 

残念ながら、大手マスコミのニュースや偉い先生のご本では本当にビジネスで役立つ中国情報は得られ難い、とこのOさんとX氏の会話を聞いていて、切実に思った。20年前の話と今現在の話が入り乱れてしまうし、既成概念と実態がかけ離れている例なども沢山出てきた。Oさんは『どこの国の人とでも仲良くすれば、ビジネスも上手くいく』という考えの持ち主で、事実タイでそれを実践している人。尊敬に値する人物だが、果たして中国ではどうだろうか。

 

実はOさんのアユタヤ工場も2011年の大洪水で、冠水してしまった。水は自分の背の高さより高く、機械設備も成すすべがなかった。工場に水は浸水していく中、数十人の従業員が工場に水が入るのを防ごうとしてくれたという。自分の家も危ない時に来てくれたタイ人、Oさんと工場が如何に従業員から愛されていたかの証拠だろう。

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そして今では完全に復興し、インドネシアにも工場を作り、ここで働くタイ人が出張して指導に当たっているという。普通は日本の本社から人が派遣されるのだが、アジア人同士の連携、実に素晴らしい。自動車関連部品を製造するこの工場の未来、タイだけではなく、広くアジアを捉えて、すでに準備を始めているということだろう。

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Oさんの話を聞き、工場を見学し、そしてランチは工場内で食べた。さすがにタイ料理、結構ピリッと辛かったが、美味かった。従業員は自分の好きなおかずを買い、皆で楽しそうに食べている。1皿、10バーツだそうだ。『従業員の満足度を上げる』という課題にもチャレンジしている。

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タイ人にとって重要なことは『サバイ(気持ちがいい)、サヌック(楽しい)、サドゥワック(便利で快適)』だとか。当然労働環境にもこれが適用されるのだから、気持よく働いてもらう環境作りと日本的経営にどう折り合いを付けていくのか、そこがポイントだろう。言うほど簡単な話ではないが、少なくともこの工場では楽しそうな人が多いのが良い。

 

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