タイ北部お茶散歩2015(12)タイに殺到する中国ナンバーの車

Eさんの家で

チェンセーンを過ぎて、チェンコーンに行く街道沿いにEさんの家はあった。奥さんの実家だというその敷地には家が3つ建っていた。1つは奥さんのご両親が住み、2つ目はEさんが6年前に建てたが住まず、3つ目は昨年苦労して建てた新居だった。『タイ人に自分の思い描く家を作ってもらうのは大変だった』と振り返る。決め手は『おだてる』ことらしい。そしてちゃんと仕事に来るように酒を振る舞うなど。心配りが大切だという。原材料も自分で調達してきて、不良があれば自分で交渉して直していく。これは大変な作業だ。

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別棟のシャワーを使わせてもらい、リビングで寛ぐ。色々なお茶が出てきて、飲ませてもらう。タイ北部の緑茶、飲みやすい。そうこうしている内に夕暮れが近づき、食事が運ばれてきた。豚肉の素揚げ、美味しい。Eさんがチェンマイで買い込んできたしめ鯖や塩辛なども登場。毎日夕暮れから晩酌しているという。田舎生活の楽しみとして、日本食材があれば十分に暮らしていける。

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確かにビールは安いし、バナナなど買う必要もない。野菜もどこからか手に入る。タイ米に慣れていれば、それほどお金は掛からない。悠悠自適、とはこのことだ。Eさんはネットも殆ど見ないので、メールも使わない。必要がある人は電話して、という手法。これだと煩わしい付き合いから解放されるという。そして週1回ゴルフをやるが、日本人とはあまり付き合わない。日本人のグループに入ると面倒なことが多い。これは理想的なやり方かもしれない。私も何とかネットから自分を解放しようと抵抗しており、ラインや微信をやらないようにしているのだが、Facebookやメールには完全に支配されていると言わざるを得ない。

 

その夜はリビングのソファーベッドを使わせてもらい、早々に眠りに着いた。さすがに旅に出て1週間、疲れがたまっていたのかもしれない。が同時に、居心地がよかったことは否めない。やはりこのような生活、私にとってもある種の理想形かと思われる。それほどお金を掛けず、地域に溶け込んで生きる、それは素晴らしいリタイア生活だろう。

 

2月20日(金)

中国ナンバーの車

翌朝は早く起き、朝食を頂き、そしてEさんの車で家を出た。今日は夕方の便でバンコックへ帰るのだが、それまでEさんがチェンコーンを案内してくれるというのでお言葉に甘える。まずはチェンコーンの港へ行く。ガイドブックを見ても、ここから小舟でラオス側のファーサイという街へ渡るとなっているが、殆ど人はいなかった。小さなイミグレがあったので、ここで間違いはないはずだが。

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小舟も見たが、人が乗る気配もない。周囲の店も閉まっている。あまりにも寂しい国境だった。実は最近この近くに橋が架かった。その橋を見に行くことになる。途中、小中学生が遠足?に行く場面に出くわす。ずっと歩いて橋の方に向かっている。キャンプだろうか。タイの学校ではよくキャンプがあるらしい。何故だろうか。

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橋が見えてきた。この橋、タイとラオスに架かる国境の橋の4つ目らしい。第1の橋はタイのノンカイとビエンチャンに架かる。確か基礎調査は日本が行ったにも拘らず、建設はオーストラリアに取られ?日本国内ではかなりの批判があった案件。私も1度たった15分の国際列車に乗り、通過したことがある。第2の橋はムクダハンとサワナケート。今度は日本のODAで、日本のゼネコンにより建設された。第3はナコンパノムとタケクを結ぶ。タイの大手建設会社、イタルタイが建設した。

 

そしてこの第4の橋は、タイと中国が費用を折半したという。友好橋と言われるが、雲南省からタイまで一気に来ることができる。ラオスの抵抗もあり?開通はかなり遅れたと聞く。開通して1年になるが、橋にはまだ車両が殆ど走っていない。いや、旧正月で物流が止まっているだけかもしれない。ラオスへ行くバスが見える。既に小舟の時代は終わっている。ただ川を眺めると、橋の近く、車を乗せた船が行く。恐らくは密輸船ではなかろうか。いまだ、白昼堂々と川を越えてくる船がある。大らかな土地柄か。さすがゴールデントライアングル。

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この橋はアジアンハイウエーの一部にもなっており、周辺の道も整備されていた。何十台もの中国ナンバーの車が疾走している。Eさんがガソリンスタンドへ入った。そこへ車が数台やってきた。見ると雲南ナンバーだ。思わず車を下り、運転手に中国語で『どこから来たの?』と聞くと、『今朝早く昆明を出た。ここまでノンストップ、900㎞を6時間で来たよ』というではないか。そして『すごく快適なドライブだった』とも付け加えた。

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更にもう1台を見ると、何と陝西省ナンバーだった。乗っていたオジサンに聞くと『え、今日が何日目だったかな、あー4日目だよ、西安を出てから』という。車で旅をする愛好者のグループのようだが、それにしても、中国から東南アジアへこんな旅をする人たちが出てきたこと自体が、非常な驚きであり、またそれを可能にした道路網がすごい。彼らはこれから道を下り、バンコックまで行くという。

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実はここからバンコックまでも、昆明からここまでと同じ900㎞。ただEさんによれば、最短でもバンコックまでは12‐13時間はかかるという。そう、中国からラオスを抜けてくるのは簡単でも、タイ国内の道路整備は遅れているのだ。鉄道同様、タイは先進国ではなく、発展途上国であることを改めて感じる。同時に中国の物凄い勢いを、この国境で見せつけられた思いだ。安倍政権がアジア重視を打ち出しても、既に経済的には中国パワーがこの付近にはみなぎっている。新幹線を売り込む程度ではとても打開できないだろう。いや、政府は新幹線や発電所さえ売り込めれば、それでよいのか知れない。

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