バンコック ヨーガの旅2016(10)悲しみの王宮へ

テスコまで来たら何となく腹が減る。仕方なく、いや無謀にもそこでかつ丼を食べてみる。まあ期待はしていなかったが、一応食べられる。だがセットメニューにはみそ汁の他にドリンクが付き、更には何とたこ焼きが付いてくる。これがタイ人の好む日本食かとある種の感動を覚えた。これで145バーツは高いのか、安いのか。

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夜は久しぶりにテレビを見る。大河ドラマは佳境に入っていた。タイのテレビはやはり何となくシックな番組が多く、中には亡くなった王様を偲ぶ番組もあった。実は私が今日合宿を切り上げたのは、明日やりたいことがあったからなのだが、何と明日は祝日、それも王様の誕生日だと知り、計画が狂ってしまった。こうなれば、明日は王匡に出掛けてみようと思い立つ。

 

125日(月)
王宮

翌朝は5時には起きず、ゆっくりする。私には睡眠時間の確保が重要であり、無理をするとすぐに体調を壊す傾向がある。ちょっとアーサナだけをやり、8時半を過ぎたのでいつものコムヤーンで朝ご飯を食べる。最近店に行ってもあまり笑顔を見せないおばさんだが、今日は孫?を抱いてご機嫌だった。

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その場で食べようとするとお知り合いのKさんと遭遇した。色々とお世話になっているのだが、今回は特に連絡していなかったが、期せずして話が聞けた。やはり王様の逝去はタイ国民にとってかなりのショックだったが、徐々に立ち直りつつあるようだ。彼も今日はお休みで、これからジムへ行くという。バンコックでタイ人にジムが人気らしい。それでも東京のように混むこともなく、料金もまだ安いとか。

 

Kさんにバスの番号と乗り場を教えてもらい、バス停へ。やってきたバスは無料バスだった。バンコックには一番安いエアコンなしのバスに、時々無料のものがある。以前それに乗った話をIさんにしたところ、『それは貧しい人たちのためにあるのでお金のある外国人が乗るのは良くない。政府が廃止を検討している』と怒られた記憶がある。だが次にいつ来るかわからないので乗り込んでしまう。

 

バスはスイスイと見慣れた道を進んでいく。チャイナタウンを過ぎ、カオサンの近くまで来た時、大勢の人々が見えてきた。しかもほぼ黒い服を着ている。バンコックでこのような光景を見るのは初めてだ。私も洗濯した黒いポロシャツを着てはいたが、ズボンは茶色だし、違和感ありあり。外国人だから許して、と思っていると、ノースリーブの白人女性が歩いていたりもする。

 

いつもは楽しそうに歩いているタイ人も、この場ではかなり違っていた。花を持つ人、王様の写真を掲げる人、バイクにタイ国旗と遺影を付けて走って人までいるが、皆が整然として、続々と王宮を目指している。そしてゲートが設けられており、セキュリティチェックを受ける。そこからは広いイベント会場のようになっており、大勢の人が歩いていた。英語や中国語での案内表示もあり、国内外から人々がその死を悼んでいることが分かる。

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駐車場だった場所を見ると、そこには医療車両があり、看護師さんが待機している。ブースにはお医者さんもいるようだ。皆さん、不測の事態に備えている。その向こうではなんと警察官や軍人が通りゆく人に食べ物や飲み物を配っている。曇りとはいえ、暑さはあるので、水分補給は重要だが、彼らはすべて業務ではなく、ボランティアで行っているように見える。

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他のブースでも食事や飲み物、団扇やティシュなどが配られており、ここにいれば無料で何でも手に入ってしまいそうだ。国王の逝去を悲しむことと、人に施しをすることが結びついている。普段はバラバラ、自分勝手に見えていたタイ庶民の団結力をそこに見たような気がする。王様の弔問には毎日長い行列ができているとは聞いていたが、実際にそれを目の当たりにすると、自分が見てきた世界が違って見えた。

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様子が分かったので横から外側へ出た。タマサート大学、博物館ともに、弔意が表されており、博物館は今日は休みだが、来年1月末まで入場無料らしい。偉大なる王の業績なども展示されているのだろう。それからカオサン方面に歩いて行く。バスを待つ人が沢山いた。カオサンの雰囲気はいつもとそれほど変わらない。

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結局カオサンを通り抜け、大好きなお寺、ワット・ボウォーンニウェートへ行く。ここは王様が出家し、修行した寺だ。ラーマ5世以降歴代国王が出家したというから由緒はあるのだが、その規模は決して大きくはない。この寺の何が好きと言って、本堂に座っている時吹いてくる風がとても気持ち良いのだ。勿論今日は大勢の人が参拝に来ており、いつものような風を感じることはなかったが、ここでも王様への熱い思いがあふれ出ていた。

 

王様が出家修行していた頃の写真が何点も飾られている。特別の祭壇も用意され、そこに座って拝む人の姿もある。端の方にはテントがあり、ここでも飲み物が無料で支給されていた。ちょっと疲れていたのでコーラをもらい、椅子に座って休むと気持ちがよい。流れに流されることなく、ここで初めて王様のことを深く思う。私がタイに初めて来たのが1987年、それ以来王様はずっと一人だった。寂しい。

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