埔里から茶旅する2016(13)茶荘に両替に行くと

 どうやって戻ろうかと考えていると、守衛さんが『バス停なら、この先の大きな通りにあるよ』と教えてくれた。特に急ぐわけでもないので、その助言に従った。だが、既に夜も10時半、バスは未だ走っているのだろうか。通りに出るとちょうどバスが来た。どこ行きか分らなかったが慌てて飛び乗ろうとしたが、運転手から、このバスは次が終点だぞ、と声が掛かり、すごすごとバスから降りた。そして初めてバス停の表示を見たが、よくわからない。ただもし表示が正しければ、そしてもしバスが来るのであれば、何とここから一本で、台北駅前近くまで戻れることが分かった。

 

果たしてバスは来るのだろうか。ちょっと待っているとちゃんとバスはやってきて、思う方向に進んでいく。途中からは乗客も増えていく。賑やかな夜市の横も通った。台湾鉄道松山駅の饒河街夜市だった。こんなに規模が大きいとは思いもよらなかった。ガイドブックによれば全長600m。靴が凄く安売りしているのが目を惹く。ここは食べ物だけではないらしい。ちょっとワクワクした。降りて覗いてみたかったが、このバスが今日の最終だったので諦めて次回に譲る。この付近にもホテルが沢山あるようだったので、花蓮方面に行く時など、一度ここへ泊るのもよいかもしれない。1時間近くかけて、バスは円環まで来た。あとは人気のない道を歩いてホテルに帰った。

IMG_2437m

 

5月22日(日)
茶荘に両替に行くと

翌朝はゆっくり起きて、ホテルの朝食を食べた。ここにはちゃんとした食堂はなく、ロビーの奥に簡易のスペースがあり、ビュッフェ形式で提供していた。お粥とおかずを取り、サクサク食べる。このホテルの客は香港人など華僑系の人が多いように見受けられた。食後は部屋で休息。何だかとても疲れを感じていた。昼前になり、ようやく始動。取り敢えず部屋をチェックアウト、荷物を預けてホテル周辺を散歩。そしていつもの店でランチを食べる。もうこれは定番化している。

IMG_2438m

IMG_2442m

 

それから天津街にある先日も泊まった宿へ行き、一番安い部屋が空いていたので、そこを押さえた。だが支払うべき台湾元がなかった。今日は日曜日で銀行は開いていない。そこで思い出したのが、20年以上前から付き合いのある茶荘。昔は出張に来るとまずこの店へ行き、両替したものだ。今は基本的に両替はやっていないが、馴染み客なら便宜を図ってくれると思い、小雨の中、林森北路を北上、歩いていく。

 

まだやっているかな、と店を覗くと、おじさんもおばさんも健在であった。だが何となく雰囲気は違っていた。店には日本人観光客が座って茶を飲んでおり、美味しいと言って、大量に茶を買っていく。彼らが去ると入れ替わるように、また3人組が入ってくる。全て日本語ガイドが連れてきているのが分る。私がゆっくり話そうとしても、お客さんは予定が詰まっているので、おばさんはお茶淹れに終始して、どんどん勧めて行き、話す暇さえない。その後も驚くほど引っ切り無しに観光客が入ってきては茶を買い、すぐに出ていく。

IMG_2445m

 

しかも昔から売っている凍頂烏龍茶以外に、ジャスミン高山茶とか、黒烏龍茶とか、台湾でも聞いたことがない茶を客に飲ませている。客も茶のことが分からない人ばかりで、自分のイメージで茶を注文する。恐らくはお客ニーズ(日本人が知っているジャスミン茶と高山茶をミックスするとか)に応えた結果、生み出されたお茶を販売しているのだろう。だが、それでよいのだろうか。何となく怖い。いつの間にかこの店はガイドとつるんで商売を始めたらしい。長居は無用だったが、ようやく1時間後に両替ができて、店を出た。

 

台北駅のたまり場

そして歩いて台北駅前まで戻る。ホテルに預けた荷物を取り出し、先ほど予約したホテルに移動した。荷物を引いて台北駅の横、普段通らないところをたまたま通ってみた。すると、何やら不思議な光景が。人が集まっている店を覗き込むと、そこにいた人が発していた言葉は、恐らくはインドネシア語。店ではサテーを焼いている。メニューにも漢字はなく、何やら読めない文字がある。ここはインドネシアから出稼ぎに来ている人のたまり場ではないのか。その横にはフィリピン人らしい人もいた。台北駅のすぐ脇が、外国人労働者のたまり場と言うのは意外性がある。

IMG_2447m

 

香港でも日曜日のセントラル、オフィス街をフィリピン人メイドが占拠していた。その後、インドネシアメイドは ビクトリアパークに集っていた。今や台湾も外国人労働者が底辺を支えており、香港のような状況になっている。そして日曜日である今日は週に一度の休みの日。久しぶりに母国語を話し、国の料理を食べ、ストレスを発散する場がここ、なのであろう。何となく今の台湾の裏の一面を覗き込んだような気分になる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です