鉈先生と行く雲南ラオス茨の道2016(10)落水洞の古茶樹と茶農家

まずは言われた通りに坂を上っていったが、そこには高さもばらばらの茶樹が植わっている茶畑が広がっているだけであとは何もない。道を間違えた、と思った頃にはかなり上まで登ってしまっていた。ただそこからは易武の街がよく見えた。この辺の茶畑は誰が管理しているのだろうか。

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坂を下りて、別の道を行くとすぐにかなり大きな木が見えた。相当の樹齢の大木の下に、その碑はあった。『馬帮貢茶萬里行』と書かれたその碑、茶馬古道という文字はなかった。それには何か意味があるのだろうか。この周囲はかなり雰囲気がある場所だった。風水的にはいいのだろうか。ここから細い道が下っているが、この場所が元々どんなことに使われていたのかもわからない。ただその細い道を降りていくと、すぐに先ほどの博物館がある、広場に出てきた。道が分かっていたら、簡単にたどり着けたのだ。ちょっとした表示でもあればよいのだが、そこは中国だ。

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そこに戻ると鉈先生と王さんが私を探していた。碑の存在を伝えると、2人は確認しに行った。そこで私はもう一度古い道を通り、その下の村を散策した。ここにはかなり古い家々が立ち並んでいる。特に目立つ建物を見ていると、易武武装暴動遺跡という文字が見える。この建物が何だったのかは書かれていないが、どうやらここを共産党が解放した過程の遺跡ではないかと思われる。愛国教育重点基地なのだろう。ただ現実にこの山奥で国共内戦中何があったのか、それは茶葉の製造、出荷にも大きく影響したことだろう。この辺の歴史が分かってくるとプーアール茶の世界が少し見えてくるような気がする。

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広場の付近の街沿いの家は一見古そうだが、実はそれほど古くはない、と王さんは言う。数十年前に大火があり、殆どが焼けて落ちて再建されたらしい。同慶号などの老舗ブランドの名前があるが、ここは店舗なのだろうか。閉まっているので、何もわからない。観光用かなと思われる。鉈先生たちが碑を初めて見たと言って、戻ってきた。碑に特に意味はないが、知っていてもよいだろう。

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落水洞へ

車は街中を抜け、山間部へ向かう。王さんが『落水洞へ行くよ』というので、そこはどこかなと付いていく。私にはその程度の認識しかないのだが、プーアール茶がご専門の方々にはなじみの地名だろう。20分も走ると『生態古茶 第一村』と書かれた碑が道路わきに見えた。ここが落水洞か、随分と近いのだなと感じる。

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そしてここには樹齢千年の古茶樹があるというので、そこへ歩いていく。周囲には灌木の茶樹が植えられており、手摘みする人の姿も見られた。古茶樹については入り口のところに注意書きがあり、色々と制限があった。道路脇からすぐのところに囲いに囲われて、その木がひょろっと立っていたのはちょっと意外であった。これで生態系が守れるのかな、とかなり不安になる。

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標高は1460m、昔はかなりの山の中だったのだろうが、今や道路脇。木の葉っぱもほとんど見られない。見学者は何人もやってきている。勿論この付近、もう少し入ったところには古い茶樹が生えているのだろうが、本当に千年も経っているのか、と少し疑念を持つ。ただ恐らく茶の起源は易武あたりであったろうと言われているので、その可能性は否定できないが、その歴史は不明である。

 

それから落水洞の茶農家を訪ねた。こちらでもまさに茶作りが行われていた。その忙しい中、王さんの知り合いが、公民館を開けて、我々のために茶葉の飲み比べをさせてくれた。出来立てのお茶と昨年のお茶、場所が違う茶葉を淹れてくれ、飲んでみた。出来立ての緑茶は当たり前だが、かなり強いので沢山は飲めない。ところでここは麻黒村に属するようだ。麻黒村もプーアール茶の世界では有名な産地であり、この付近が一大産地であることはなんとなく分かってきた。

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農家に戻ると早めの夕飯が始まった。農家の食事はいつ食べても美味しい。煮つけのようなものがあったり、鶏を煮込んだものも新鮮だった。発酵食品もあり、ご飯と一緒にかき込んだ。お決まりのように、地酒が登場し、勧められる。私は断ったが、鉈先生はここでも民間外交を開始、どんどん飲んでいく。誰が誰だかよくわからない近所の人、親戚の人、そこへ来たお客が参加している。ほぼ言葉が通じていないのに、どうしてこれほど仲良く酒が飲めるのか、と思うほど、お互いにぎやかに酔いしれている。

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私はお茶を頂きながら、2階のベランダへ出た。そこではやはり茶葉を干し、そして炒めていた。茶作りは始まったばかりだったのだ。茶農家で出来立てのお茶を、地元の美味しい水で淹れると、なんとも言えない、茶旅を感じる。私はこのためにこれまでの険しい道を歩んできたのだろう、と勝手に認識する。

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名残惜しかったが、酔っぱらった鉈先生を引きずるように車に押し込み、宿へ戻っていく。部屋のある2階まで上がるのも大変なほどだったので、当然ながら、そのままベッドへバタン。私も合わせてバタンと寝る。鉈先生、なかなかやるな。今日も一日が長かった。そしてその内容も濃かった。

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