突然行く台湾北部茶旅2015(5)台北のお茶屋を巡る

デパートを出たが、まだ時間があったのでちょっと歩いてみた。少し行くと何となく懐かしい国父紀念館が見えてきた。ここに入ったのは何十年前だろうか。まあ、ここの敷地を通過して行こうと思い、中に入る。メインの建物の写真を撮っていると、中で何かをやっているのが見えた。入っていくとまさに衛兵の交代式の真っ最中だった。これは忠烈祠や中正紀念堂では何回も見たが、ここでもやっているとは知らなかった。沢山の観光客が見入っている。緊張感のあるこの儀式は、1時間に1回、今や人気の観光イベント、資源である。

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その後、ついでに資料展示も見てみた。国父と呼ばれている孫文の歴史が飾られており、蒋介石との関係や孫文が台湾にやってきた時のことが語られている。こういっては何だが、何とか歴史を繋ごうという感じが見えてくる。国民党が台湾に移るはるか前に亡くなった孫文は、現在の事態を予想だにしていなかっただろう。歴史というのは、その時々の都合で語られる、そういうものだろう。外へ出ると、101がまじかに見えている。これも驚きかも。

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茗心坊

そのまま歩いて大安駅まで行く。結構距離があるが、それほど暑くないので、ちょうどよい散歩となる。そこでNさんと待ち合わせていた。Nさんは宮崎の人で、ヨーガの合宿で一緒になった人だった。この2か月間、台北で宮崎料理屋さんを手伝っていたのだが、その仕事も終わって暇なのだという。何だかこんなところで会うなんて面白い。まずはこの駅のすぐ近くにある茗心坊というお茶屋さんへ行くことに。この店に行くのは10年ぶりだろうか。

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店に入っていくと、先客が大勢いた。聞いてみると、お茶教室の生徒さんたちで、先生がここへ連れてきて、店主の林さんの講義を受けていた。林さんは日本語もできたはずだが中国語で話している。生徒が台湾人と日本人、両方いるかららしい。我々のために席を用意してくれたが、それでは申し訳ないので、帰ろうとすると、ちょっと待って言われるしばし留まる。

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しばらくすると男性がやってきた。日本語もできる彼について、奥の席に場を移す。これでゆっくりお茶が飲める。元エンジニアという林さんが作っている高密度焙煎によるお茶、自ら工夫した機械が横に置かれている。水分をいい具合に飛ばし、香りを引き出す。焙煎はデータに基づいて、時間を図り、綿密に行われるという。このお茶には味わいがある。この茶葉は5年置いても味は変わらないという。それが本当にいいお茶という物だろう。我が家にも貰い物の茗心坊のお茶がある。いつ開けて飲もうか、いつも考えながら、既に5年は過ぎている。

 

少しお茶を飲ませてもらって、お店を出た。林さんは申し訳なさそうに、『次回は事前に電話して』という。確かに10年前とは違う。林さんも忙しいだろうから、今度は事前に予定を確認しよう。FBのお友達にもなっているのだから、連絡するのも簡単だ。次回はゆっくり話を聞こう。Nさんも初めての本格的なお茶屋デビューだったらしい。いいお茶を飲んで飾れたのは幸せかなと思う。

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小楊の買えないお茶

そして歩いて小楊の家まで行く。ここも1年ぶりか。台湾にはよく来ているようで、それほど来ていないなと確信する。これからは少しの期間、台湾を拠点にできないか、真剣に検討しなければならない。小楊の家は相変わらず5階にあるがエレベーターはない。年々この階段がきつく感じられる。まだそんな歳ではない筈なのに、どうしてだろうか。運動不足が身に染みる。

 

小楊と奥さんも相変わらずだった。部屋も変わっていない。ただNさんにとっては、驚きの空間だったかもしれない。畳はあるは、火鉢に炭を入れ、鉄瓶を掛けて湯を沸かしている。その鉄瓶も年々豪華になり、ついに今回は金ぴかだった。相当値の張る純金とか。さぞやこれで沸かす湯は凄いだろう。小楊によれば、これで沸かした湯を飲むだけで健康になるという。

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小楊は聞いてくる。『買える茶を飲みたいのか、買えない茶を飲みたいのか』と。私はすかさず、『買えない茶が飲みたい』と答えて、それで成立した。禅問答のようにNさんには聞こえたかもしれない。彼女は昔中国語を習ったことがあると言っていたが、お茶屋さんに来て、こんな中国語を使うだろうか。

 

そして美味しいお茶が出てくるのだから、幸せだ。武夷岩茶の老茶が登場する。私はこれが好きだ。また黒茶が飲みたいというと、20年物のブロック型のプーアール茶をわざわざ削って淹れてくれた。何ともマイルドな味わいがあり、コクが感じられる。一体いくらするのかは知らないが、買える値段ではないということ。台湾のお金持ちというのも、すごい人々だ。鉄瓶にしても平気で日本円で500万円から1000万円出してくるらしい。まあどこにでも金持ちはいるものだが、それにしても桁が少し違ってきている。

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ダラダラと2時間以上、茶を飲んで、他愛のない話をしていたが、このままズルズルしていてもよくないと思い、辞することにした。これから東京のお茶会で使う、パイナップルケーキを買いに行かなければならない。名残惜しいが、お別れした。階段は下りにも拘らず、何となく重たく感じた。

 

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