突然行く台湾北部茶旅2015(3)坪林 お茶屋を巡る

お茶屋巡り

仕方なくトボトボ歩きだす。博物館の休館は、かなりのショックで珍しく引きずる。もう一度橋を渡って、お茶屋街へ進む。ただフラフラ歩いていれば、どこに入ってよいか分からないほど沢山ある。だが私の手にはMさんのマップがあった。これは何とも心強い。まずはお茶屋街に入ってすぐのところにある広い間口の祥泰茶荘が目に入る。初心者はここに行け、と書かれていた茶荘だ。

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入っていくと、かなり広い店には茶葉の袋がそこら中に置かれており、雑然とした感じで、如何にも問屋だった。近隣の農家から茶葉が運ばれてくる。その茶葉を奥で製茶しているようだ。その店の中央に若者が一人立っていた。そこへ近づき声を掛けた。彼は『博物館の紹介?』と聞いてきたので、『今日は休館日だよ』というとかなり意外そうな顔で、休館日なんかあったのか、と小声で言う。

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取り敢えず座って茶を飲み始めた。あまり包種茶らしいお茶を好まない、というと、ちょっと発酵度の高い、老茶と呼ばれる茶を出してくれた。今日は結構涼しいので、このお茶葉は有難い。特に朝一に飲むのに向いていた。店内を見渡すと、台湾のあらゆるお茶がありそうで、楽しみだった。

 

しかしこの若者はお茶の話題より、日本の話が好きなようだった。越後湯沢の日本酒博物館や福岡のラーメン屋の話で盛り上がる。台湾人の日本好きは相当なものだが、彼は酒やラーメンの本(中国語に翻訳されている)をよく読んでいるようで、年に一度は実際に日本に遊びにも行っているらしい。彼はこの店の4代目、かなり余裕がある。そんなに儲かるのだろうか。

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時々後ろの方をお父さんとお兄さんらしい人が動き回っているが、彼らは製茶担当のようだった。何だかんだで居心地がよく2時間以上居座っていたが、いざ何かお茶を買おうかとした時に、ベンツに乗ったお金持ち風台湾人3人がいきなり入って来て、茶を飲み始めたので、退散した。

 

続いて、この辺では有名な文平茶荘に行ってみる。付近には同じような店名がいくつかり、迷う。そして何とか見付けたのだが、店には誰もいなかった。食事にでも行ったのだろうか。仕方なく、この道を端まで行ってから戻る。それでもいなければ食事をしようと決めていくと、王さんが座っていたので入っていく。包種茶のコンテストでは常に入賞する有名人。コンテスト茶も飲ませてくれたが、私が好きな焙煎が比較的強いお茶も淹れてくれた。

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彼は根っからの茶農家であり、茶園管理をしっかりやり、焙煎にもこだわり、いいお茶を作ることには自信があるという。だが『コンテストで入賞したからって、お茶が売れるわけではない。そこが問題なんだ。消費者が求めている茶とコンテストで入賞する茶は全く別物さ』と内情を打ち分ける。30年前ならどんなお茶でも売れたのだが、今や台湾にもお茶が多過ぎた。

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そして『中国からの観光客は「茶葉は丸まっていないと台湾茶じゃない」という概念を持っているので、丸めてみた。品質なんかどうでもいいんだよ』と言って、包種茶を丸めて見せた。なるほど、お茶を売るとはそんなものか、とちょっと悲しくなる。いいお茶とは何か、ということをここでも考えさせられた。ただ坪林は阿里山ほど大陸客が来るわけでもないらしい。

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何だかんだで昼時になる。少し雨模様ながら、その頃にはそれなりの観光客がおり、皆が食堂で食事し始めている。坪林の名物は何だろうかと考えたが思い付かない。いつもは茶農家の美味しい昼飯をご馳走になってきているので、街で食べたことなどなかったのである。

 

取り敢えずお客さんが多そうなところに入る。一人だと頼むのも結構面倒だ。炒飯と団子スープで十分だろう。この店はお茶の販売もしており、そのプロモーションも兼ねて、おじさんがお茶を入れて持ってきてくれる。これは嬉しいサービスだ。だが食事は観光客料金であり、量的にも一人用ではなく、食べ切るのに苦労する。

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食べ終わると早々に店を出て、散歩する。坪林にも老街がある。古い廟を中心に、ごく一角だけが保存されている感じだが、この道にも何軒かの茶荘があった。情報によるとここにもお勧めの茶荘があると書かれていたが、探してもどれだか見付からない。腹も一杯なのでウロウロと運動した。

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ちゃんと真面目に探さなかったからだろう。実は私は、包種茶を沢山飲むことができない。どうもあの緑茶っぽい味が得意ではない。午前中の2軒だけでかなりの量を飲んでしまっていたので、ちょっと辛くなっていた。しかしMさん情報には合計7軒の店が掲示されている。あと5軒行くのは無理だな。近くの茶畑を見て和む。包種茶以外のお茶も飲みたいのだが。

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