突然行く台湾北部茶旅2015(2)坪林 休館だった茶業博物館

居酒屋の店長

午後2時に知り合いのBさんと会う約束をしていた。電話を入れて、中山駅付近で会うことになった。雨の日曜日の午後、その付近は混雑していた。喫茶店は満員で席がない。台北というのはどういうところなんだろうか。景気はいいのだろうか。まあ、新宿でも同じか。

 

何とか席を見つけておしゃべりした。彼には前回台南や台東の旅で知り合いをたくさん紹介してもらい、大変世話になっていた。ミュージシャンや俳優の顔を持つ彼の人脈は、当然台湾に住む、ほかの日本人とはかなり違っており、またその知り合いが皆さん何ともユニークで面白い人ばかり。人生、こんな人々と楽しくやれればいいよね、と思える人ばかりだ。

 

彼と前回会ったのは今年の5月だったが、その直後に重大な変化があった。何と居酒屋の店長になったというのである。一体どういうことだろうか。まあそれでは、ということで、一端宿に戻り、夜その居酒屋へ行ってみることになった。香港時代からの友人のH夫妻とお嬢ちゃんもやってきた。更には大学の後輩であるFさんも登場して賑やかな夕飯となった。

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1階にはいい感じのカウンターがあり、地下にはゆったりしたスペースもあった。かなり広い店だ。このお店、映画監督がオーナーで、そのお父さんが洋食のシェフ(日本でずっと洋食を作っていたそうだ)、お母さんが家庭料理を作って出すという面白いコンセプト。作り手は日本人だが、お客は台湾人が多いようだ。ハンバーグのデミグラスソースなどといわれると食べたくなる。新鮮な魚、オムライス、おばんざいなど、に次々反応してしまう。今日日本から来たとは思えないリアクションだ。店内には映画のポスターなどが展示されている。

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Bさんは見事に店長をやっていた。本人に言わせれば、この店は劇場であり、店長という役柄を演じているのだとか。なるほど、まさにそんな感じだ。中国語でも日本語でも、実にハマっている。そして店員の台湾人がやって来て、マジックを見せてくれる。それまで静かにご飯を食べていた子供の目が輝く。ただの居酒屋ではないぞ、ここは。更にはお客がいなくなった後、店長自らギターを取り出し、即席コンサート。弾き語りが良い。楽しい夜を過ごした。

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12月7日(月)

2.坪林

坪林まで

今回の旅で予定のない旅。翌朝は坪林に行くことにした。坪林といえば、包種茶で有名な茶産地。私は15年前に偶然ここを訪れ、茶農家と親しくなり、何度もその家へ行っていた。だがここ5年間はご無沙汰だった。包種茶は緑茶に近い烏龍茶だが、高山茶など、他にも飲みたいお茶が増えてきたからだろうか。今回はMさんの教えてもらった店を訪ねてみることに。

 

いつもは茶農家に連絡すると地下鉄の動物園駅まで車で迎えに来てくれていたが、普通はどのように行くのだろうか。昔1度、台北駅近くからバスに乗っていったことがあるが、えらく時間がかかったことは忘れられない。確か新店までは地下鉄で行ったほうが早かったはずだ。しかし今回はMさんからの情報で、『新店まで行かずに大坪林駅で降りてバスに乗ったほうが良い』と聞いていたので、その通りしてみる。

 

大坪林駅、そんな駅があったんだ、大そうな名前だな。駅で降りて地上に上がるとバス停がいくつかあったが、どこから乗るのか少し迷う。もう少し先に行ってみると、『新店‐蘇澳』行きのバス乗り場があった。ちゃんとチケット売り場まで設置されている。このバスに乗り途中で下車することが分かる。52元でチケット買う。1時間に一本、バスがあるらしい。少し時間があったので横の店で朝ご飯を食べる。バスに乗る人々が次々に買っていくので、店はかなり繁盛していた。蛋餅と肉まん、豆乳という定番朝食を食べながら発車を待つ。

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バスは3列シートでかなりゆったりしていた。自由席。高速道路に乗るので速いと聞いていたが、月曜日の朝だからだろうか、何と高速でちょっと渋滞にはまる。30分で坪林に着くと言われていたが、何と50分ぐらいかかってしまった。これなら新店からバスで行ってもあまり変わらないような気がする。

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教えられたバス停で降りたが、そこは学校の前。そして周囲に目立つものはない。取り敢えず今日の目的地である坪林の茶業博物館を探すと、橋を渡った向こう側に見えた。この博物館、10年以上前に一度見学したことがあるが、どんな展示だったかまるで記憶がない。今回はある方の希望で、ある物があるかどうかを見るために、やってきたのだが、時間はまだ9時過ぎだった。これならゆっくり見ることができるし、学芸員を探して聞くこともできそうだ。

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ところが正門は閉まっていた。まだ早過ぎるのだろうか。表示板を確認して愕然となる。今日は7日、『月の第一月曜日』、つまり月に一度しかない休館日だったのだ。そんなバカな、と思っても仕方がない。これもあまりにいい加減な、全く事前調査をしない旅を続けてきたツケが回ってきたのである。

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門の向こうに人が見えたので呼びかけてみると、反応があった。おばさんに『日本からわざわざ来たので、何とかならないか』と言ってみると、おばさんは中に入っていって聞いてくれたが、答えは『ノー』の一言だった。今や台湾でもそんな便宜は図られない。さてこんな朝早くからどうするんだ、俺は。

 

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