京都茶旅2015(2)至福の町屋に泊る

茶濃香

過去何度か来たことがあるTさんの家、茶濃香。だがいつもは車でスーッと入ってしまうので、外観の印象がない。柿の木が植わっている。『日本緑茶発祥の地 宇治田原』という看板が見える。だが何となく見覚えがない道だ。何とか見つけて上って行くと玄関がある。家のベルを押すと、おばあさんが出てきて招き入れられた。Tさんも急いで帰ってきてくれた。

 

Tさんは、チェコのプラハ、ドイツのベルリンなどヨーロッパを中心に日本茶の輸出している茶商さん。まるで寅さんのように、特製の茶道具箱を抱えて各地を転戦し、日本茶のパフォーマンスをしながら、煎茶や抹茶の普及・宣伝に務めている。これまで何度もお訪ねして、茶の海外輸出の難しさ、ヨーロッパ人の関心の持ち方などについて、色々と教えて頂いていた。今回も2日前までヨーロッパに滞在しており、帰国直後を直撃した形となった。

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ヨーロッパでの日本茶人気は相当に高まっている。チェコのプラハにはティーハウスが沢山あり、紅茶はティーバッグではなく、リーフで出すことをうたって成功しているハウスが伸びているなど、アジアでは聞こえてこない情報が沢山溢れだしてくる。ドイツ、イタリア、フランスなど、私の知らないお茶の世界がこの空間で花開く。私もそろそろ脱アジアか、と真剣に考える。来年はアフリカと並んで旧東ヨーロッパは外せないだろう、と思う。

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少し話していただけだと勝手に思っていたが、既にあたりは暗くなっていた。奥さんから『夕飯、食べて行って』と言われ、恐縮ながらお言葉に甘える。そしてアジアの旅の話などをしながら、栗ご飯を頂く。本当にこのようなご飯は有難い。気を使わせてしまっていると思いながらも、いいご縁が繋がっていると感じられる時だ。帰りは9時近くになり、Tさんに車で駅まで送ってもらう。毎度申し訳ないことだが、私にとってはとても良い勉強の場だ。

 

2.京都

金閣寺まで

京都駅に着くと既に10時近かったが、金閣寺行きのバスはまだあった。結構人が並んでおり、昼間の観光客とは違う、通勤・通学の人々が沢山いることが分かる。バスは暗い中を走り、どこへ向かうのかよく分からない。ただ京都は碁盤の目のような道、何となく方角が分かり、安心はできる。意外と乗客の乗り降りが激しい。京都は勿論かなりの都会なのである。

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京都駅から50分近く乗って、ようやく金閣寺参道に着く。すぐ近くの町屋が並ぶ一軒に本日宿をお願いしたISO茶房はある。勿論既に閉店しているが、Iさんがちゃんと待っていてくれた。そして荷物を置いて、椅子に座るとすぐに中国茶が出てくる。本当に申し訳ない。泊めて頂いた上に極上のお茶まで淹れてもらうとは。ただIさんはお茶の淹れ方がうまい。淹れて頂いたら、遠慮なくどんどん口に入ってしまう。お茶も極上であるから、これは仕方のないことだ。

 

1階はテーブル席もあるが、畳の部屋もあり、私はそこに布団を敷いて、寝かせてもらった。町屋に泊る、何とも贅沢な環境だ。京都はWi-Fiが普及しており、こちらの茶房でも、すぐに高速で接続が出来た。これは便利。周囲はとても静かで布団に包まるとすぐに寝入ってしまった。

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10月5日(月)

高山寺へ

翌朝は7時過ぎに目覚める。何とIさんがキッチンに立ち、焼き魚に漬物、ご飯とみそ汁という純和風の朝ごはんを作ってくれた。これはもうビックリポン!!たらふく食べる。そして更にいい天気の庭で、優雅に台湾茶。あれ、もうこれは出来過ぎの展開だ。こんな幸せがあった良いのだろうか。至福の時、という表現があるが、まさにこの時に為にあるに違いない。

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そして今回の目的地である高山寺へ向かう。ISO茶房からすぐのバス停から、高雄行きのJRバスが出ていた。Iさんに行き方も時間も調べてもらい(相変わらず自分では何もしない。ガイドブックすら借りていく)、殆ど待つこともなく、うまく乗り込んだ。席にも座れた。

 

Iさんから『京都でバスに乗る時には、500円の1日券を買うのが節約になる』と言われていた。但し高雄はその券の利用範囲外のため、差額を払う必要はあるとのことだった。だがバスの運転手に聞くと『JRバスはこの券を車内では販売していない。高雄のバス停でも販売していないので、この往復には使えない』と回答してきた。さすがJR様、完全な殿様商売だ。

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最近私の旅日記の中では、JRに批判的な内容が増えているなと自分でも自覚している。しかしそれは私が恣意的にして行っているものではなく、結果的にJRの営業努力が、少なくとも私鉄などと比べて劣っていると言わざるを得ないことを物語っている、と理解してほしい。高雄までかなり時間がかかると思い、早めに出てきたのだが、何と僅か30分で、高山寺の横まで来てしまった。

 

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