丸子清水茶旅2015(1)雨の小田原城

《丸子清水茶旅2015》  2015年9月25-26日

 

静岡のお茶雑誌『月刊茶』の連載を始めてから、静岡とのご縁が少しずつ出来てきている。ただ静岡は広い。茶畑も多い。これまで行ったところもまだ限られている。今回は丸子紅茶の産地からお声が掛かり、何とか予定を合わせて、訪ねることになった。ただ何のために行くのかは、全く分かっていなかった。

 

1.小田原

9月25日(金)

雨の小田原城

これまで静岡に行く時は、急ぎの旅を除いて、新幹線などには乗らず、在来線で行くことにしている。下北沢から小田急線で小田原へ、そこから東海道線に乗り換えて行く。しかし小田原で降りたことは一度もなかった。実は小田原という場所にはほんの小さな思い出があるのだが、それを無視するように、5歳の時以来、降りることを拒んでいたようにも思う。

 

何故だろうか、幼少時の記憶は極めて曖昧であり、何か嫌なことがあったのかもしれないが、はっきりとは思い出せない。ただ1つ記憶があるのは、小田原城に登って、そこから下を見て、とても怖いと感じたこと、自分が高所恐怖症であることを悟った場所だったのではないか、と推測しているのだが。出来ればそれを確認したく思い、今回は余裕を持ってやってきた。

 

小田原駅で降りると、何と雨が降っていた。それもかなり強い雨。これはまた歓迎されていないと感じてしまうのだが、意を決して道を進んでいく。目指すは小田原城のみ。途中蒲鉾屋さんなどがあり、小田原らしさを感じる。だが濡れながら何とか到着した小田原城は、無情にも耐震改修工事中だった。仕方なく、行ける所まで行く。勿論5歳の時の記憶はない。

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幅の広い橋を渡り、お濠を越える。古めかしい建物がある。滑りそうになりながら階段を登っていく。小田原城といえば、堅固な城。北条氏が立てこもり、秀吉の大軍が取り囲む、という図式が思い出される。伊達政宗が遅参を白装束で詫び、お茶で言えば山上宗二が秀吉の逆鱗に触れた場所である。宗二は利休の高弟だったが、2度秀吉の怒りを買い、北条氏に使えていた。利休の計らいで和解するはずが三度目の逆鱗に触れ、耳と鼻を削がれた上で打ち首になるという壮絶な最後となる。そして落城と共に、戦国の世が終わった場所とも言える。

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北条氏滅亡後、江戸の防衛の要として大久保氏が幕末までこの地を統治、明治になり城は解体され、関東大震災で最終的に石垣なども壊滅したという。そして私が生まれる1年前、天守閣が再興されたらしい。私が上った天守閣は、再興されて5年後ぐらいだった。当時話題になった後ぐらいだということ。当時辻堂に住んでいたので、親族一同で小田原に出向いたようだ。

 

上まで行ってみたが、完全に改修中で、城は何も見られなかった。勿論上ることも出来ない。近づけないのである。雨のせいで観光客もおらず、食事を取ることも出来なかった。何と寂しい45年ぶりの訪問だろうか。しかし恐らくこれには私の歴史の何かが関係していると思えてならない。腹が減ったので駅の方に戻ってみる。小田原といえば宿場町でもあり、それらしい蕎麦屋に入った。東海道五十三次の9番目の宿場、最初の城下町。次は箱根宿だ。

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今日のランチセットはカツ丼と書いてあったと思い注文したが、実は完全な見間違いをしてしまう。最近注意力が実に散漫で、本当に困る。子供たちからはボケの前兆か、と思われているようだ。カツ丼と蕎麦のセット、勝手にセットにして注文したことになり、かなり高い料金を取られるものと覚悟したが、なんと30円しか違わず、胸をなでおろす(笑い)。それにしても、出てきたカツ丼が熱すぎる!

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本来であれば、有名人の別荘や庭園などがあり、小田原で歩くべきところは沢山ある。だが残念ながら雨のせいもあり、また気分的な問題もあり、もうこれ以上歩く気力はない。小田原駅の改札を見上げると、大きな小田原提灯がぶら下がっていた。おサルの駕籠屋か。箱根登山鉄道の方へ行くと、龍神あんぱんというのを売っていたので、それを買ってみる。有名なのだろうか。仕方なく次に進むべく、東海道線に乗り込み、ダラダラと静岡へ向かった。

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2時間後には静岡駅に到着した。前回名古屋から広島までスイカで行ってしまい、怒られた記憶が蘇る。やはりここでも熱海でエリアが変更になっており、スイカでは出られないことが分かった。数人の乗客が精算のために並んでいる。だがここの若い駅員さんは『お手数をお掛けしています』と言って、にこやかに精算してくれた。JRもデカい組織、人によって対応が違うのだろう。

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1 thought on “丸子清水茶旅2015(1)雨の小田原城

  1. 私の子供の頃の記憶では、東京から箱根山に行く乗換え登り口と小田原カマボコしかありません。

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