ミャンマー紀行2005(9)ティボー 洋館で充電を

1月18日(火)

充電でトラブル

朝まだ日が出る前に、電気を点けてみたが、まだ電気は来ていなかった。これでは今日の写真は全くお手上げである。フロントに行き、聞いてみると『ホテルでは電気は夕方だけしか供給しないのです。皆さん蝋燭の明かりで夜を過ごす事が非常に気に入ってくれています』との答え。

 

しかしよく見るとフロントの一角では電気が点いている。また聞けば『これは最低限業務に必要なものです』と言う。いくら頼んでも絶対に電気は供給しないと分かり、さすがに怒ってしまった。停電なら仕方がない。しかし電気があるのに点けない。それも充電するという非常に僅かなものに対してもだ。

 

TAMとSSがやって来た。どうしたんだ、と慌てている。事情を説明するとTAMが交渉を始める。おじさんでは埒が開かないらしく、奥からおばさんを呼んで来る。少し話をしていると思ったら、突然TAMが大声を出す。英語で『4000チャット払ってやるから、電気を点けろ』と凄む。これまでに見たこともない凄い勢いだった。あまりの事に私が間に入り、もういいから行こう、と外へ連れ出した。

 

TAMが切れた、あの冷静なTAMが。小さな体が震えた。興奮が収まらないらしい。運転手に車を出してもらい、朝ごはんを食べに行く。こんな状態で果たして食べられるのか?ミャンマーに来てほぼ初めての異常事態に私も呆然とした。これはきっと昨日私が漏らした不満に起因していると思う。彼女のショックは相当のものだったに違いない。私の後悔も段々深くなる。

 

(4)朝ごはん

昨夜行った場所は実はメインストリートではなかった。バスターミナルのある場所に町並みが見えた。立派な、そして伝統的な建物が見えた。写真を撮りたいと思い、車を停めてもらった。しかし充電していないのでカメラは動かない。この建物は何とレストランであった。中に入ると天井は高いが暗い。電気が来ていない。TAMは注文だけするとどこかへ行ってしまった。メニューは何とも中華風。お粥と揚げパンだ。なかなか美味い。周りを見ると漢字で書かれた書が掛っている。どう見てもこの家は中華系だが、しかし建物は洋館だ。なぜだろうか?

Myanmar2005a 049m

Myanmar2005a 050m

 

TAMが戻って来た。この店で充電させてくれるという。急いでカメラを持っていってコンセントに差し込む。TAMは余程気にしていたのだろう。食事も取らずに懸命に動いてくれていた。しかもこの洋館のオーナーを捕まえていた。充電している間、彼と話しをした。彼は雲南省から来た中国人。中国語は今一つだが、英語が話せたので、英語で聞きたいことを聞く。

Myanmar2005a 051m

 

この洋館は1927年建造。イギリス人の手によって造られたと思われる。その頃はいくつかの洋館が建っていたらしい。第二次大戦中ここティボーにも空爆があり、この1軒を残して全てが破壊された。日本軍がやって来てこの洋館を占拠して、食料も全て奪われたと聞く。

 

これらの話は全てこの地の老人から聞いたという。彼自身は80年代にこの洋館を買い取った。これからは中国人の時代だという。確かにこの辺り、中国人が多いように思われる。昔イギリスが侵入し、日本が占領し、今また中国からの侵略を受けるのであろうか?充電は電源が弱くてあまり出来なかったが、貴重な話が聞けた。

 

車に乗りホテルに戻る途中、TAMが静かに言う。『私はシャン人が嫌いだ。あのホテルの家族は典型的な悪いシャン人だ。人が困っている時は黙って助けるものだが、彼らは何もしない上に、お金を要求した。私には耐えられない。恥ずかしい』と。この時から私もシャン人を少し警戒した。

 

ホテルに戻り、支度をして直ぐに荷物を持ってチェックアウトした。こんな所に一刻もいたくない気分になる。フロントの男性は何故かニコニコしている。しかし我々が全く笑わず、お金を払って出て行こうとすると突然『充電させてあげる。お金は要らないよ』と英語で言い出した。

 

これには呆れたし、かなり馬鹿にされた気分になる。外国人の印象を悪くしては損だとでも考えたのだろう。充電など出来なくても良いから、早く立ち去りたい。荷物を車のトランクに入れているとフロントのおじさんとシャワーに連れて行ってくれたにーちゃんが『何で充電しないんだ。必要なんだろう』といいながら、寄って来た。全員無言で無視して車を出した。

 

外の道には托鉢を終えた僧侶が列を成して壺を持って、歩いて行った。一方このホテルの隣は学校だったようで、沢山の生徒がたむろして開門を待っていた。それを見ながら少しずつ心をしずませた。

Myanmar2005a 045m

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です