ミャンマー紀行2004(7)ヤンゴン チン州のお婆さん

  1. 出発まで (1)白い像 8月9日(月)

翌朝はカラオケで気分爽快??ゆっくりし過ぎて寝過ごす。朝飯も食わずにS氏と事務所へ。今朝はSSがミャンマーコーヒーを入れてくれる。何しろ今日はTTM、SSを伴ってミャンマーコーヒーの産地、メイミョーに行くのだから気分も大いに盛り上がる。SSも愛想がいい。

 

4人で空港に。S氏はタイエアーでバンコックに。我々は40分後のフライトでマンダレーへ。空港に到着してS氏が国際線ロビーへ入るとTTM、SS共に大きなため息をつき、そして『さあ、これで仕事は終わった』と伸びをする。おいおい、一応私も彼らにガイドを頼んだお客なんだけど??しかし彼らが旅行を楽しむ気分でいてくれることが嬉しいし、又これからの旅に期待が持てる。

 

S氏からは空港でお茶でも飲んで飛行機を待つように言われていたが、その時間を無駄にするTTMではない。『白い象がいます』という。良く分からないが連れて行ってもらう。空港から10分ほどで、大きなパゴダが見える。政府が最近建てた貧しい人々の為のパゴダだという。軍事政権も人気取りをすることがあるようだ。

ミャンマー 040m

 

そのパゴダの道の向かい側に白い象が飼われていた。入り口を入ると長い歩道があり、公園のようになっている。その奥に大きな屋根があり、そこに4頭の象が見える。『白い象は吉兆』、政府も象を保護しているようで、入場料はなし。と思っていたが、見に来た人は寄付をするか、500kでパンフレットを買う。やはりミャンマー政府に保護を求めるのは無理のようだ。象は運動の時間なのか、皆揃ってリズムを取って踊っているように見える。真っ白ではないが、薄いピンクの肌である。小象もいる。ミャンマーという国は明るいのか、暗いのか?きっと明るい国なのだ。

 

(2)チン州の老婆

まだ時間があるとTTMがいう。どうするのかと思っていると何と『昨日ボージョーマーケットの服屋で見た写真集に載っていたチン州のおばあさんを訪ねて写真を撮りましょう』という。え、何で??TTMは以前偶然にこのおばあさんに出会ったことがあるのだという。その折に一度写真を撮らせて欲しいと頼んでいたようで住所を聞き出していた。突然の訪問で大丈夫なのか?TTMは下手なガイドより余程面白い。

 

そのおばあさんの家は空港へ向かう道路沿いを少し入ったところにあった。雨でぬかるむ坂道を行く。周りはチン州出身者が多く住む地域だ。その中で親戚の家の裏に彼女はひっそりと暮らしていた。娘さんがヤンゴンに出て来た際に、一緒に来たのだという。彼女の部屋へ行く道はかなり狭く、S氏だったら通れなかったに違いないと皆でニヤリとしたほどだ。

ミャンマー 041m

 

簡単な炊事場と寝床。それが彼女の全てのようだ。実にシンプルな暮らし。ニコニコしていたが、少し戸惑った様子を見せていた。写真を撮らせて貰った。耳には昨日の写真にあったあの大きなカップの付いたピアスをしていた。チン州の人々の風俗は非常に興味深い。恐らく東南アジア、延いては日本の原型風俗なのかもしれない。是非一度ちゃんと調べてみたい。

ミャンマー 046m

 

因みに彼女に色々と話を聞きたかったが、ミャンマー語が通じないらしく、TTMもSSも殆どコミュニケーション出来ていなかった。残念ではあるが、人の家にズカズカ上がり込んで、いきなり話を聞くのもどうかと思って反省した。

 

(3)空港で

おばあさんの家を辞した。ついでに近くの市場に行く。朝の市が開かれていた。雨を避けながらも皆辛抱強く座って野菜や果物、魚や肉を売っている。その中で目に付いたのが、キンマ?の葉っぱを売っているところだ。1枚ずつ葉をきれいに螺旋状に積み重ねて売っている。何だろうと思い聞いてみると、ここではコーンと言い、この葉っぱにビンロウを混ぜ、併せて石灰のような白いものを入れて巻く。食べると口の中が赤くなり、苦い味がする。思わず吐き出す。10k。ミャンマーでは老人も含めて大勢の人が噛んでいる。刺激がある為、トラック運転手などが眠気覚ましに噛むものである。

ミャンマー 050m

 

そろそろ出発の時刻だと空港に戻る。ところが出発は大分遅れるらしい。エアマンダレーなどはどんどん出発して行くのに、我がヤンゴンエアーはアナウンスがない。これでS氏が言ったとおり、本当にお茶を飲むことになる。(実際にはお茶を飲むことも無く、ただ椅子に座っていたわけでクーラーが利いていて寒かった)

 

TTMが知り合いを見つけて挨拶に行く。良く見ると昨年あの日航ホテルで出会った日本人のお坊さんではないか?何でTTM が知っているの?暫くするとTTMが来て紹介すると言う。飛行機も飛ばないし、暇なので挨拶に行く。彼はこの1年間に40回ミャンマーに来たという。実は昨日はバゴーにいて、例の高僧にも会っていたとの事。世間は狭い。更にあの寺にはエメラルドを埋め込んだ高価な仏像があることなどを話してくれる。(私は見ることが出来なかったが、特に残念とも思わない。それがこの旅の良い所。)

 

又ミャンマーを訪れた中で一番印象に残っているのはモールメンの蛍だと言う。10月頃に行くと何十万という蛍が集まってくる。それらは成仏しない日本兵の魂なのではともいう。ミャンマーには無念の死を遂げた日本人が大勢いる。彼らの魂は何時癒されるのか?前述の古山高麗雄氏の『断作戦』『龍陵会戦』『フーコン戦記』の3部作を読むと普通の兵隊がどのような状況であったかが、よく分かる。我々はこの歴史を忘れてはならない。

 

1 thought on “ミャンマー紀行2004(7)ヤンゴン チン州のお婆さん

  1. わたしも見ましたが、あのゾウの動きは踊りではなくて、
    「常同行動」というものです。

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