九州で茶旅2014(6)長崎のそのぎ茶

4.長崎

彼杵

今日もOさんが来てくれた。これで3日目、申し訳ないが、Oさんとの旅は楽しい。嬉野の山を越えると、そこは長崎県だった。彼杵(そのぎ)という地名は初めて聞いた。嬉野の山の反対側にも茶畑が広がっていた。特に大村湾を望む景色はなかなか絵になる風景だ。因みに嬉野の人々は飛行機に乗る時、佐賀空港より長崎空港の方が近いらしい。

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茶樹は比較的若く、なだらかな丘陵に大きめに畑が広がる。近年開拓した茶畑のように見える。そして気になる看板が。『貸して安心あなたの農地』とか、『農地の相談は地区の農業委員へ』など、どうも農業を辞める、高齢で続けられない農家の為に町が色々と苦心している様子が伺える。

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Oさんは『彼杵の茶畑はもっと山の中に小規模にあると思っていた』と言い、山にも分け入ってみたが、茶畑は見付からなかった。既に大規模?農業への転換を図っているのだろうか。基本的に彼杵茶というブランドは確立されておらず、嬉野や八女茶として鹿児島あたりへ送られて、混ぜものにしていたのだろう。近年何とかブランド化を図ろうとしていると思われるが、その試みはウマく行くだろうか。長崎にも茶畑がある、それを知っただけでも収穫だ。

 

大村湾へ降りていく。彼杵町がある。町役場には長崎国体のポスターが貼ってある。来月長崎で開かれるらしい。国体、まだやっているのか?自動販売機に『そのぎ茶』と書かれたアルミ缶がある。買って飲んでみると悪くはない。ついでに茶ちゃ焼という、大判焼きのような物も食べてみる。特に茶葉が入っているようには見えなかったが、そのぎ茶が入っていると書いてある。意外とおいしい。

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公園に古民家が移築されており、古墳もある。そのぎ茶の起源は明らかではないが南北朝時代には茶樹が植えられていたと推定していた。最近は大規模茶園が出現し、長崎県の荒茶の60%を生産しているとある。ということは長崎には他にも茶産地があるということか。

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なぜか大村には珈琲園があるというので行ってみる。小さな植物園という雰囲気の出で立ち、日本初の観光珈琲園となっている。コーヒーの木が沢山植えられており、やはり植物園だが、ここで珈琲を収穫し、作っているのだろうか?レストランが併設されており、話のタネにコーヒーおにぎりを食べてみたかったが、生憎当日は定休日。このチャレンジは次回に回そう。

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大村駅まで送ってもらう途中にランチの場所を探したが、この街自体が定休日なのか、店が開いていない。時間もなかったのでイタリアンのチェーン店に入る。15分ぐらいで平らげて、駅へ急ぐ。Oさんとの別れ、3日間本当にお世話になった。Oさんが和紅茶と本をくれた。その本は彼自身が書いた『和紅茶の本』という題名だった。

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私は初めてOさんが『和紅茶の世界の第一人者』であることを認識したが、既に彼の車は遠くに去っていた。因みに彼の佐賀の店は紅葉(くれは)http://creha.net/。和紅茶マニアが集うらしい。そういえば『現在和紅茶にはブームの兆しがあるが、自分の店はブームと関係ない、ブレない』と言っていたのを思い出す。10数年、和紅茶一筋で店を運営する、半端ではできないことだ。再会が楽しみだ。

 

長崎で再会

大村駅からJRに乗り、長崎駅へ向かう。何ともローカル線の匂いが漂う。実は北京の知り合いTさんの故郷が諫早でちょうど里帰りしているというので会うことにしていた。長崎までの途中に諫早があるので、そこで下車すればよいと思っていたが、Tさんの都合により長崎駅で会うことになった。

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電車に乗ること40分で、長崎駅へ着いた。長崎に来るのは1991年以来23年ぶり。殆ど何も覚えていない。改札を出るとTさんとご主人のIさん、そして可愛い坊やが待っていてくれた。Tさんと初めて北京であったのが7年前。息子が北京留学した時に大変世話になっていた。その後テレビなどの番組を制作するIさんと結婚。今も北京在住だ。

 

駅ビル内の喫茶店に入る。長崎といえばミルクセーキということで、注文した。これは食べる物?たまご風味の冷たいお菓子、という感じ。好みだな、この味。長崎といえばカステラだが、こちらもイケル。そういえば23年前は茶碗蒸しを食べるためにここに来た。他にもチャンポンや皿うどんがあるのにね。

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何とも楽しい再会だった。Iさんは番組制作の中でお茶も取り上げたいということだったので、今回の茶旅を含めて、色々とお話した。いつか茶旅が、いやお茶が取り上げられる日が来ると面白いな、とは思う。

 

出島ワーフの夕陽

携帯電話が鳴る。Xさんが駅にやって来た。これまた北京繋がり。Xさんは2007年に北京に赴任した際、紹介されたのだが、すぐに長崎大に赴任してしまい、今では教授になっている。これまでも広西やモンゴルに一緒に行った仲であり、実に面白い人物としてお付き合い頂いている。

 

荷物を持ったまま、歩き出す。10分も行かないうちに、出島ワーフに出る。この辺の距離の近さが長崎の良い所。街がこじんまりしているので、便利この上ない。夕日が傾いてくる中、港が見える店の屋外から2人で夕陽を眺めた。これも面白い情景だ。そして美味しい魚料理を食べていると夜が寄って来た。

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更に2階のバーに入り、話を続ける。Xさんとはいくらでも話が出来る。不思議な空間が存在する。彼はとても優秀な人だが、それを感じさせない語り口がいい。世俗の話から経済、金融まで、幅広い分野について率直に語り合えるのが良い。大いに情報を交換し、参考になる。

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今日はXさんの計らいで大学のゲストハウスに泊めてもらった。由緒正しい作りだが、最近改装したようで、中は実にきれいだった。トイレに電気のボタンはなく、全て自動だった。田舎者の私は少々面食らう。あまりに便利ではあるが、何だかなあ。いずれにしてもとても快適な夜を過ごした。

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9月26日(金)

長崎散歩

朝の散歩。気持ちが良い。Xさんと奥さんが迎えに来てくれ、長崎見物に。長崎大の彼の研究室に少しお邪魔をした。それから長崎の湾が一望できる展望台へ。いい天気でよく見えた。三菱の造船所も健在だ。原爆ドームにも初めて行った。修学旅行生が神妙な顔で説明を聞いていた。近い将来、このようなことが起こらないことを祈るしかない。

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駅近くのバスターミナルへ。そこで簡単にランチを食べて、バスで長崎空港へ。長崎空港は大村湾の付近にあり、昨日来た道を戻って行く感じ。だがウトウトしている内にバスは空港に着いた。ここは海に面している。

 

長崎から飛行機で神戸

スカイマークで羽田行を買っていたが、自動チェックインするとチケットが2枚出てきた。何となくどこかで一度下りるという認識はあったのだが、それが神戸とは意外。何故だろうか。搭乗した瞬間に寝てしまい、気が付くと飛行機は着陸していた。全員飛行機から降ろされた。だからチケットが2枚あったのだ。

 

驚いたことに神戸空港も海辺だった。『長崎から船に乗って神戸に着いた』という歌があったが、まさか飛行機に乗って神戸に着くとは。神戸はスカイマークのハブの1つらしい。伊丹や関空もあるのになぜと言っても仕方がない。

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また小1時間飛行機に揺られ、羽田に着いた。ここも海辺だった。まるで船旅をしたような気分に一瞬なるが、すぐに雑踏に紛れた。

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