九州で茶旅2014(3)福岡 八女茶の星野村

9月23日(火)

犬塚へ

翌朝ホテルをチェックアウトして西鉄の駅へ向かう。今日はついに福岡の茶産地、八女を訪れる。最近では中国のお茶関係者でも『八女』は知られており、その状況を聞かれたが全く答えられないという経験をしている。玉露の産地として名高いが、その実態はどうであろうか。

 

今回のアレンジをしてくれた北京のFさんから『八女では羽犬塚に泊まれ』と指示を受けていた。『羽犬塚』とはちょっと奇妙な名前だなと思っていたが、何と司馬遼太郎の『モンゴル紀行』にその名が出てきたので大変驚いた。終戦時の満州で亡くなった学校の女先生が羽犬塚の出身だったから記していたのだが、この地は元々街道沿いで馬を替える場所だったらしい。それがいつしか訛って、馬が犬になったとか。福岡と長崎の中間地、という位置づけだろうか。今は駅前に犬の像があるようだ。

 

JR羽犬塚へ向かうはずだったが、JRに乗るには博多駅まで行かねばならず、西鉄にも犬塚という駅があるのでそちらへ行く。Fさんに紹介された、佐賀で紅茶屋さんをしているOさんが面倒を見てくれることになっており、Oさんに連絡すると『八丁牟田』という駅で降りるように指示がある。佐賀の紅茶屋さん、この響きが実に特殊。

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西鉄で一昨日も通った路線を特急で進み、花畑や久留米などを通過し、途中の大善寺で各停に乗り替えて、何とか八丁牟田に着いた。ここまで50分、東京なら十分に通勤圏内だが、この辺は完全な農村の風景だった。何とかスイカが使えたので駅を出ると、そこには作務衣、雪駄姿のOさんが立っていた。なんだかとても格好いい。

 

2.八女

そばの前にコーヒーを

Oさんの車で八女に向かう前に、腹こしらえ、ということで、とても雰囲気の良い森にあるそば屋さんへ行った。だが時間はまだ11時前、11時半からと言われ、横にある喫茶店に入る。いつも思うのだが、日本の地方都市にある小さな喫茶店やレストランのレベルの高さは他のアジアには見られない。きめが細かく、拘りがある。

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このお店も本格的なフレンチを出すらしい。コーヒーも美味い、室内装飾も実に良い。ワインボトルも置かれているから喫茶店ではなく、森のレストランだ。オーナーの拘りが随所に出ていた。デザートのケーキも美味しそうだったが、これからランチなので控えようと思っていると、何とサービスで小さなケーキをプレゼントされる。凄い!

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そば屋へ移動。平日の昼なのに予約が結構入っており、お客が次々にやって来たのには驚いた。恐るべし。手打ちのそば、とろろを入れると歯ごたえがあって美味い。汁も実に繊細な感じでよい。いいな、こんな生活。ここのご主人もかなりの拘り派だと思われる。まだ何もしないうちに感動してしまった。

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星野村の茶園

それから車は八女の星野村へ向かった。この辺が一番の産地ということで、連れて行ってくれたのだが、相変わらず予習を全くしない私には良く分かっていなかった。一軒のお茶屋さんに入る。星香園(http://www.seikaen.com/)、名前がいい。そこの責任者は何と23歳のY君だった。お父様はお茶作りで有名な方だったが、急に亡くなってしまい、別の仕事をしていたY君が急遽家業を継ぐことになったという。

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うちの息子と変わらない歳で偉いな、と思う。日本の茶業は正直上り坂ではない。そんな中で若者がこの仕事に就く、かなりの覚悟が必要だったはずだ。勿論周囲のサポートもかなりあるようで、お父様の友人のオジサンも一緒に話をしてくれた。八女も茶農家の年齢はどんどん上がっており、100軒で青年部の会員は10名ちょっとだとか。

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お店で煎茶や玉露を頂いた後、Y君運転の車の荷台に乗り、茶畑を見学した。かなり樹木の生えた山道を行き、出てきたところは天然の要害。まさに四方を木で覆われた自然な茶畑がそこにある。この環境は素晴らしい。良いお茶が出来そうだ。品種も三種類ぐらい植わっていた。

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Y君と別れて、道を行くときれいな棚田が目に入る。日本の原風景だな、としみじみ思うが、そういえばアジアにも、ミャンマーやベトナムでこんな風景を見たな、感動したなと思い出す。日本とアジアが近いことを改めて思う。

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八女のお茶といえば、かぶせ。道沿いの茶畑にも鉄の枠が見える。ここに覆いをかけて、かぶせ、るのだろう。今は来年に向けて茶樹を育てる時期。茶葉が出てきている。下の水田では稲穂が実り始めている。茶処の秋、の風情が良い。

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