《奇想天外マレーシアの旅》(13)KL 膨大なお茶を持つ陳さん

5. KL2

ホテルからKLCC

先ずはホテルだが、チャイナタウンで一番わかりやすそうな場所を探す。それはモノレールの駅の近くだと思い、荷物をひいて向かう。ネットで検索してあったそのホテル、フロントに聞くとちょっと高い。仕方なく、PCを取り出して目の前でネット予約した。データが届くまで少し待たされたが、そんな客は大勢いるのかボーイは頓着しない。

 

部屋は狭いが清潔でよい。ネットも繋がる。外の音もそれほど気にならない。このホテルはさすがに華人と思われる人々が多く泊まっている。シンガポールやインドネシアから来ている人もいるようだ。

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夕方モノレールに乗り、KLCCへ。ある方の紹介でKL在住のHさんとお会いすることになっていた。この方は元インベストメントバンカーで鳴らし、小説のモデルにもなったという大物。私は日本のしがない金融機関の一員であったが、KLでこのような方を会えること自体がご縁を感じる。

 

KLCCはKLでも最も栄えている商業施設の1つ。夜のネオンが煌びやかで、山から下りてきた者には眩しすぎる。ユニクロ前で待ち合わせると、気さくなHさんが探し出してくれ、無事合流。階上のパブに入る。Hさんはロンドン勤務も長く、パブが似合う。ワンパイントのビールで乾杯した。

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お話の中で、KLへロングステイした経緯や現在の状況などが見えてきたが、何よりも『日本の現状への嘆き、憂い』というものを強く感じた。日本から離れた場所で日本人二人が日本を嘆く、外にいるものにはよくわかるが、国内にいるとはっきり分からないことが多いのだろう。私には『日本のために何かしよう』などという気負いは全くないが、日本に向けて情報を発信することには何らかの意味があるように思われた。

 

10月9日(水)

朝飯

翌朝は目覚めもよく、外へ出る。ホテルの前にある食堂で海南チキンライスを頬張る。安くてなかなか良い。ローカルな雰囲気がたまらない。この食堂は食べるスペースが共通で、各屋台が食事を提供している。朝から麺を食べるのも悪くないと思い、既に明日のメニューを物色。

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今日は陳さんに会う。彼とはひょんなご縁で、バンコックのポーラのお店で出会った。良いプーアールを持っているというので飲ませて貰っただけのご縁であるが、KLに行くと言ったら、『是非寄って』と言われたので連絡したのだ。

 

だが、KLに着いた初日にメッセージを入れると何と『今ブータンにいる』というではないか。これはダメだと諦めたが、7日頃戻ってくるというので、本日の面談が可能となった。彼の家がどの辺にあるのか分からない、と言ったら迎えに来てくれた。ちゃんとしたトヨタの新車、運転手付き。彼は何となくお金持ちだと思ってはいたが、どうなんだろうか?

 

車は北の方へ20分ほど走った。KL郊外という雰囲気。周辺に高い建物もなく、のどかな雰囲気。『この辺は全部、うちの一族の土地なんだ。あそことあそことあそこに、茶屋を出しているが全てうちの物。2階と3階にはプーアール茶がぎっしり詰まっているよ』と陳さんは笑いながら話す。『と言っても全てオジサンの物さ。うちのオジサン、92歳だけど、結構成功してね、お茶も好きで買い集めたんだ』とさりげなく言う。

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店に入ると、沢山お茶が並んでおり、箱からはみ出しているお茶が何と『宜興紅茶』だったのには驚いた。これは昔宜興の急須を売る人々が陰で飲んでいたお茶。最近の紅茶ブームで脚光を浴びたらしい。『いや、先月宜興に行ったら、美味しかったので買い込んだ』とか。陳さんはお茶屋さんなんだ、やはり。

 

『お茶屋だけど、茶旅が好きでね、それは同じだよ』と私の方を見る。彼は元々ロンドンにも留学経験がある会計士。5年前にその職を引退して、旅に出ているようだ。『オジサンから暇ならお茶屋でもやれ』と言われて、やっているらしい。彼の一族が一体どれだけのお茶を持っているのか見当もつかない。

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昼は近くのオープンレストランへ。既に仲間が3人待っている。美味しいそうな潮州料理が並ぶ。いつもこうやって仲間と飯を食い、気楽に過ごしているそうだ。理想的だ。一人は上海の復旦大学を出て上海で働いていた。彼だけが大変そう。後の2人はバイク屋などだが、既に息子に家督を譲っているとか。うーん、50代でこの生活、参考になる。

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たっぷり2時間以上昼を食い、更にまた陳さんの店でお茶を飲んだ。そして車でホテルまで送ってもらう。何だか夢のような体験だった。面白い茶旅!

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