三重 亀山茶旅2024(2)幻の品種F4

実はYさんらは、このF4を使って紅茶などを製造しているのだが、F4は元々台湾の山茶で、戦前日本に導入され、静岡から三重に分譲されていた。最近台湾ではある種の山茶ブームが起きており、台湾の研究者からもF4の歴史に関心が寄せられていた。山茶について台湾での重要性が高まった背景には、中台関係が影響していると勝手に思っているが、どうだろうか。

結局三重茶の歴史を含めて、4時間以上話し込んでしまい、気が付くと周囲は暗くなり始めていた。Nさんが帰り、入れ替わりにスタッフさんらがやってきて、夕飯の準備が始まった。今晩はここで美味しい創作料理を食することが出来た。野菜は自ら育てていると言い、新鮮で甘い。

食後はお茶室に移り、お茶を飲みながら話を続けた。皆さんが帰って行くと疲れが出てしまい、すぐに部屋に行って布団に入ってしまう。古い家なので部屋は寒いかと思ったが、エアコン、ヒーターと電気毛布でとても暖かく、あっという間に寝入ってしまった。まあ一泊なのでPCも持ち込まず、こんな日があっても良い。

12月27日(金)幻の品種を求めて

朝は早く起きた。戸外はかなりの寒さで、散歩を控えた。それでも家を一周するだけでも楽しい。私の部屋はかなりこじんまり(暖房という観点では有難い)していたが、Oさんの部屋は一段上がったところに入り口があり、趣が全く異なる。中庭は四合院作りの庭のように見え、玄関もかなり広い。藍染をする部屋もある。天井の梁も太い。

朝ご飯は用意されていた物を温める。基本的にOさんがやってくれたが、初めての場所で勝手が分からず、右往左往する。お茶一杯飲むにも、電気ポットではないので、色々と探す羽目になるが、そういう環境もまた楽しい。何だかとてもゆったりとした気分で過ごす。ここはエアビーなどで予約するようだが、外国人に好まれそうな宿だ。

9時頃、関宿にあるYさんのお店を見学する。極めて素敵な内装だ。骨董なども集めており、興味のある人にとっては嬉しい参観だろう。裏の倉もまた開放されていて、かなり広い空間でお茶を飲んだり、話をしたりすることが可能だ。基本的にお客が来れば開けるというスタイルのようだ。

茶畑に向かうメンバーが集まった。何とその中に見知ったNさんがいたのには、本当に驚いた。彼は無類のお茶好きで、その歴史から現代まで、何でも吸収してやろうという意気込みがあり、あらゆる機会を捉えて参加し、知識を得ている。基本的に関西か関東にいると思っていたが、まさか三重で会うとは。もう一人の男性も茶旅活動に興味があるという。喜ばしい。

車で20分ほど行くと、べにふうきなどが整然と植えられている茶畑が出てきた。その脇に、ちょっと鬱蒼とした場所があった。そこに植えられていたのがF4という品種。葉が大きく、日本にある品種とは明らかに違っていた。この付近を10年ほど前、Yさんたちがきれいに整備して、茶葉を摘み始めたという。

更に林のようになっている場所にもF4は見られた。元々茶畑があった場所、茶が必要なくなり木を植えたが、F4は元気に育っている。だが、他の品種は枯れてしまい、そこに山茶の強さが感じられるという。耐寒性、日差しの必要度など、こういうあたりから色々と学べるようだ。暖かくなれば、この木の下でお茶を飲めるらしい。

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