《奇想天外マレーシアの旅》(5)マラッカ 華人の開墾地マチャバルへ行く

マチャバルへ

ホテルへ戻りオーナーに相談事をしようと思っていたら、先客がいた。何と中国遼寧省出身の中国人女性で、現在シンガポールで働いているという。一人旅でここにやってきた。『最近は中国人女性の一人旅も増えてきた』という彼女、私も認識を改めなければいけない。

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実は今日はマチャバルという場所へ行きたいと思っていた。それは先日ソウルで会った華人女性のシュウシュウが、『マラッカに行くなら、是非黄さんに会いに行け』とメッセージを飛ばしてきたので、それに従ったまで。何度か電話したが、どうやらマラッカ市内から少し離れているらしいこと、夕方5時以降に来るようにということ以外、よくわからないため、オーナーから黄さんに電話してもらった。

 

その結果分かったことは、マチャバルはここから40㎞ほど内陸に入った所で、バスなどはなく、車をチャーターするしかないということ。また料金もKL‐マラッカのバス代が片道10rであるのに対して、マチャバルまでは40r、往復で80rも掛かるということ。何故行くのかと問われれば、それがご縁、というしかない。

 

運転手も華人で言葉は通じた。最初は普通の道を走ったが、途中から山道、田舎道の連続。池などもあり、いい場所ではあるが、本当にこんなところに人が住んだのだろうか。40分ほど、車も走らない道を行き、ついにマチャバルに着く。黄さんは海鮮レストランを開いており、場所は直ぐに分かった。

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だが運転手は1時間後には帰りたいという。黄さんを探し、聞いてみると、この村にはタクシーなどはなく、この車で戻るほかないことが判明。滞在は1時間と決まる。黄さん、74歳、50年以上前に家族と共にこの村に入植。マレーシア政府が華人の為に開墾を認めた村、マチャバルは中国語では新村。当初は色々と大変だったが、場所に恵まれ、農業が軌道に乗り、更にその後レストランを始めた。子供にも恵まれ、うち一人が台湾へ留学、シュウシュウと出会ったと言う訳だ。その彼女はインドネシア華人に嫁いでおり、既に不在。

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黄さんには電話で説明したつもりだったが、突然日本人が現れて驚いた様子。私の電話はレストランの予約だと思い込んでいたので、午後5時の開店に合わせてくるように言ったようだ。何はともあれ飯ということで、美味しい豚の角煮や野菜炒めが私の為に振る舞われる。黄さんは何度も『シュウシュウの紹介だったのか』と感慨深げである。シュウシュウはその昔、ここに遊びに来たことがあった。

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店は地元の人で繁盛しており、すでに老人の黄さんも何かと忙しい。1時間はあっという間に過ぎ、運転手もどこからともなく戻ってきた。何とも突然の出会いであり、そして突然の別れとなる。50年前の新村、マチャバルは若者がどんどん出ていき、過疎化している。今後どうなるのだろうか?帰りは真っ暗な道を無言で戻る。いずれにしても、このショートトリップは歴史の一コマを見るだけでも十分に意味があった。

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