神奈川茶旅2020(2)横浜を歩く

最後に開成にあるTさんのお店にも寄った。普段は小田原に住み、茶畑は山北、店は開成と拠点が多すぎるので、変更を検討しているという。ただこれもまたご縁。(その後山北駅前商店街に移転したとのこと)

Tさんは漢方アドバイザーでもあり、漢方を取り入れたブレンド茶を特色としている。正直漢方の生薬や花の入ったお茶は苦手だと思っていたが、こちらのお茶は実に飲みやすい。そして効き目も期待できるとのことで、早速購入して飲んでみることにした。特に目が疲れやすいので、それに合わせた茶を選ぶ。これは意外な発見だった。

そこからWさんの車で横浜駅まで乗せてもらった。何と今晩は人生初の横浜泊なので、駅ビル内で夕飯も一緒に頂く。横浜駅といえば人が多いことで有名だが、レストランはどこも閑散としており、ちょっと心配になるほどお客はいなかった。我々もサクッと定食を食べて、さよならした。そういうご時世なのだ。

横浜駅から日本大通り駅まですぐだった。そこから歩いて5分ほどのチェーンホテルを予約していた。夜この付近を歩くとライトアップもあり、雰囲気はよい。何と1泊朝食付きで3000円は格安だろう。フロントの対応もきびきびしていて気持ちが良い。枕も選べるのがうれしい。部屋は変型2段ベッドになっており、広くはないがスペースがある感じ。普通はファミリーが使う部屋なのだろう。

8月26日(水)横浜を歩く

翌朝はゆっくりと目覚めた。午前8時に朝食を食べに行ったが、何とパンか弁当かの選択。そしてすでにパンは無くなっており、朝から量の多い弁当を食べる羽目になってしまった。これもコロナのせいだ。部屋まで持って行くのも大変だったが、意外と多くの人がそうしていた。やはり感染は怖い。

9時には宿を出て歩き出す。ここはどこに行くにも便利な場所。先ずは何となく中華街へ行く。勿論人は歩いていない。天后廟をお参りする。それから山手の方へ向かい、外国人墓地に辿り着く。自由に入れるのかと思っていたが、一般の見学は制限されており、お墓を探すことはできなかった。

港が見える丘公園、こんなところを歩くのは何十年ぶりだろうか。風が少しあり、さわやかだ。旧ゲーテ館やイギリス領事官などの建物が見える。神奈川県近代文学館もあるが、今回の目的と関連がないのでパスして、公園から港を眺める。何となくユーミンの曲を思い出す。

少し下っていくと、古びた建物が見えた。ここはフランス山と呼ばれ、幕末から明治初期、フランス軍が駐留し、その後領事館などが建てられた場所だったという。この時代の歴史、そして茶貿易には大いに興味が湧くが、この遺構を見ても残念ながら汲み取れるものは何もない。

そこからバスに乗って、伊勢山皇大神宮に行く。ここに来た理由、それはウキペディアに『大谷嘉兵衛像』があると書かれていたからだ。ところが広い境内、階段を上り下りしても、一向にそれは見つからない。もう一度ネット検索してみると、私と同じようにそれを探して、ここにはないことを確認したとの報告があった。戦時中像は供出されてしまったようだ。

大谷嘉兵衛は三重出身で、幕末に開港したばかりの横浜へやってきて、若くして茶業を始め、明治期日本一の茶業者になった男だ。茶業組合の会頭も務め、明治の茶業界に大きく貢献した。特に茶葉輸出が重要であったため、横浜に像が建てられたのだろうが、今ではそんな彼を知る人は一部の茶業関係者だけになってしまっている。

神社のすぐ近くになる神奈川県立図書館に立ち寄る。ここは幕末の開港場建設のために神奈川奉行所が置かれた場所だとある。中に入るとコロナ禍で人は少なく、静か。だが資料を探す環境は整っており、また多くの資料が眠っていたので、有意義なコピーができてよかった。

そこからトボトボ歩いて宿の方に戻る。途中にレトロで立派な建物があったので、思わず入ってしまった。目立つ時計塔がある横浜市開港記念会館だった。中もレトロでステンドグラスがきれい。このステンドグラスに描かれているのが、ペリー来航時の黒船ポーハタン号だ。岡倉天心がこの付近の生まれであることなどを知る。

シルクセンターまで歩いていく。ここは元英一番館があった場所で、今は記念碑だけが建っている。ここは旧山下町居留地一番館であり、あのジャーディン・マセソン商会横浜支店があった場所ということになる。ここでは往時活発な茶貿易が行われたのだろう。明治初期には吉田健三(吉田茂の養父)が支店長をしていた時期もあり、何とも興味深い。

そして今日のメインイベント、横浜開港資料館へ行く。英一番館の反対側にある。コロナ禍事前予約が必要で、予約しておいた。午前か午後を選ぶのだが、入れるのはわずか4人という狭き門だ。この建物は元英国総領事館として使われ、歴史的に貴重であり、そして中にも貴重な資料が残っていた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です