3月21日(金)
中国人が押し寄せる故宮
翌朝は初台湾のF嬢の希望もあり、故宮博物院に同行する。私自身は駐在時代に数十回は行ったと思うが、ここ10年はご無沙汰。その間に大改修工事があり、新しくなっていると聞き、見に行ってみた。
台湾人から『故宮は朝一番に行かなければならない』と聞いていたので、8時にMRT士林駅で待ち合わせたが、改札が2つあり、ちょっと惑う。そして駅のすぐ近くにあるバス停に行くとちょうどバスが来たので乗り込む。一人15元、お釣りはくれない。他にも故宮に向かう日本人が乗り込んできて、支払方法が分からず困っていた。
15分ぐらい乗っていると、あの故宮が見えてきた。何となく懐かしい。階段を上がっていくと、昔と変わららない姿を見せていたが、中は相当に変わっていた。何より噂通り、中国人観光客がガイドに先導され、見学に向かうため待機していた。
我々個人客は160元支払い、すぐに2階へ。以前とは異なり、目玉展示物は個室に収納されており、翠玉白菜、肉形石(豚角煮)をササッと見学することに成功した。しかしその頃にはもう通路から階段まで長蛇の列ができており、中国人観光客に故宮は占拠されてしまったようだ。最後の目玉、象牙球はかなり並んだが、何とかミッションコンプリート。まあ、台湾人が故宮に行きたがらない理由は良く分かった。
その他の展示物をサラッと見て、1階の喫茶コーナーへ。故宮と言えば昔は4階に三希堂という雰囲気の良い休み処があり、よくお茶を飲みながら、お菓子を食べた物だが、改装後は雰囲気も一変、お洒落なカフェになってしまった。
モスバーガー
そしてHさんとのランチの約束の為に、市内に戻る。タクシーが一番早いと言われていたので、故宮前でタクシーを拾う。ここにいるタクシーは昔観光客を騙すよからぬ連中が多かったが、どうだろうか。恐る恐る近づくと『市内片道は後ろの車に乗れ』と相手にされず、気の弱そうな運転手の車に乗る。
車は実にスムーズに走り、すぐに市内に入る。更には高架道路もガラガラであっという間に目的地に着いてしまった。この間わずか10数分。あまりに早さにビックリ。朝夕の渋滞はあるのだろうが、台北は車が少なくなったとの印象を強める。
Hさんに電話したところやはり早過ぎる、ということで、近くのモスバーガーで時間を潰す。モスバーガー、本当に懐かしい。25年前、台湾財界の大物が日本のファーストフードを台湾に持ち込みたい、と色々と検討した結果、選んだ先だった。90年代はそれほど多い店舗数ではなかったが、いつの間にかどこにでもある。凄い。
コーヒーを頼むと1杯で1杯無料だとか。かなり得した気分。担当のおばさんも実に愛想がよい。平日の主婦バイトかな。店内も空いていて、ゆっくりF嬢と話ができると思っていると、Hさんから電話。やけに早いな、と思っていると、何と我々をショウロンポー屋に送り届け、自分は一度GHへ行き、そしてまた我々をピックアップするという。何とも申し訳ない。
そしてそのショウロンポー屋に着き、席に座った瞬間、違和感が。そうだ、バッグがない。モスバーガーに忘れた。あのバッグにはパスポートとお金、航空券のコピーまで入っている。もし無くなれば重大事だ。F嬢に注文を頼み、走り出す。5分ぐらいでモスに着き、店内を見るとバイトのおばさんが『どうしたの?』という顔をしたが、その時私の座っていた椅子にちゃんとバッグが掛かっているのを発見し、思わずおばさんに笑顔を振りまく。
ショウロンポーと鶏飯
その済南鮮というお店は、元は知る人ぞ知る店だったが、Hさんがいち早くガイドブックで紹介し、日本人観光客にも有名になったらしい。確かにお客の何割かは日本人だったので驚く。日本人は本当にガイドブックに頼る傾向がある。
出てきたショウロンポーは確かに美味かった。店はどんどん込んできていつしか満員になったが、Hさんは戻ってくる気配がない。空心菜炒め、パリパリの餃子、これまたウマイ炒飯まで食べてしまい、皿を下げられると出ていくしかない。
今日は予想以上に寒い日だった。熱帯に来るつもりだったF嬢は何とも薄着であり、先ほどから風邪をひきそうな雰囲気。何とかするためには上にはおる物を買う必要があるのは明らか。腹ごなしの散歩がてら、服屋を探すがなかなか見つからない。偶にあっても『趣味が合わない』とのことで、買うに至らない。風邪ひいても知らないよ。
そしてHさんの指示で今度は鶏飯屋へ。鶏飯と言えば嘉義の名物。本格的な鶏飯は台北ではここしかないらしい。お客はここでも列をなしていた。HさんはGHの男性客をもう一人連れてきていた。
ようやく我々の順番が来たが、席を割り振る仕切りニーちゃんが、我々を飛ばす。4人掛けがないらしい。しかし目の前には4人が座れるテーブルがある。Hさんが怒り出し掛けあうが、『俺がルールブックだ』と言わんばかりの対応に呆れる。まあ何とか座り、鶏飯を食べると美味しいのだが、すでに腹が一杯。おまけにニーちゃんとのトラブルもあり、何だか残念な気分になる。