広東・厦門茶旅2019(3)芳村から潮州へ

527日(月)

芳村で

 

翌朝はご飯を食べると、ホテルを引き払い荷物を持って地下鉄に乗る。ラッシュ時間帯で、乗り換えもあり、ちょっと大変だったが、何とか乗り切り、芳村駅で下車。そしてそこから歩いて、茶葉市場方面へ向かう。かなり荷物が重く感じられる。張さんとの待ち合わせ場所に向かったはずだが、間違って着いてしまったのは、張さんの昔のオフィス。彼女が会を辞めたことは知っていたのに。今はどこにいるのだろうか。

 

 

 

結局電話して迎えに来てもらう。彼女は自らのオフィスを既に立ち上げ、活動を始めていた。これまでの古いやり方の茶葉販売を新しく変えたい、そんな活動だと理解した。折角着いたのに、すぐにまた出掛ける。タクシーが呼ばれたが、行先は芳村駅の向こう側、非常に近い場所だった。しかもここには以前来たことがある。そう、最初に張さんと会った時、予約してくれたホテルがある、インキュベーター向けオフィス群があるところだった。

 

 

 

その入り口付近に、瀟洒な建物がある。入口の前は竹で覆われていた。中に入ると広々としており、キレいな空間があった。器などがすごい数、置かれている。何と向こうの方には畳のスペースがあり、誰かが打ち合わせをしている。ここは一体何なのだろうか。老板はやはり潮州出身で、工夫茶の茶芸なども披露してくれる。『基本的に商売ではなく、趣味で集めている。その方が色々な人が古くてよいものを沢山もたらしてくれている』というではないか。

 

 

 

打合せしていた人を紹介されたが、何と大阪と神戸から来た華僑、しかも福清人だったので驚いた。ここには日本の物もたくさん集められているが、彼らのような人が持ち込んでいるのだろうか。それにしても、日本の茶道の道具が多い。やはり茶道をやっている人が亡くなり、その子孫には価値が分からず、骨董屋が集めて中国に流れていく、ということだろうか。

 

私が見たかったいくつもの、東南アジア各地の老舗茶荘の茶缶などが出てくる。錫製の茶缶は清代の物だろうか。先日訪ねた福建茶行の名前を見ることもできた。ここに居れば、いくらでも自分のおもちゃが出てくるような感じでワクワクする。もう少し勉強してから、もう一度訪ねてみたい場所だ。

 

 

 

昼時となり、老板とお客が食事に出るという。我々も一緒について行くことになった。車はどこからか郊外に出たような感じの場所に行く。そこはどう見ても田舎の村、こんなところにレストランがあるのか思うところだった。だが中に入るとお客で満員盛況。食にうるさい広州人が集まるのだから期待が持てると思ったが、期待以上の味付け、美味しさに思わず涙する。料理が来ると一口食べる間に皆が手を出し、すぐに無くなってしまう。それほどうまいということだ。久しぶりに満足感のある食事だった。

 

 

 

潮州へ

 

我々は広州南駅から高速鉄道に乗る時間が迫っていた。だが最後の最後まで食べた。そして急いで車を呼び、皆を残して失礼した。何とも申し訳ない話だが、効率は実に良い。南駅は遠かったが、何とか時間に間に合う。外国人である私はチケット取得に時間がかかると踏んで、昨日広州駅で取っておいたのが功を奏した。予約が別々のため、彼女らとは別の車両となる。

 

広州から潮州へは約2時間半かかる。そしてその時間以上に同じ広東省内なのに、文化や言語が異なる世界が待っている。そんなことを考えているといつの間にか着いている。だがそこは潮州駅ではなく、潮汕駅という名前だった。汕頭駅は別にあるのに、何故なのだろうか。この辺は複雑な事情がありそうだ。

 

 

 

駅には車の迎えがあり、30分ぐらいかけて、潮州の街に入る。潮州に来るのは2001年の春以来、実に18年ぶりであり、どこを見ても見覚えがない。何だか城壁の中に入り、路地に今日の宿があった。そこは今流行りの民宿であり、古い民家を改造して、宿泊施設にしていた。それはそれで雰囲気は良い。

 

 

 

すぐに夕飯の時間となる。潮州と言えば牛肉だそうで、牛肉のしゃぶしゃぶを食べる。確かにこれはうまかった。それよりも、張さんが実は非常にグルメであり、食へのこだわりが強いことに驚いた。聞けば、お父さんは湖北省で特級調理師だったというではないか。子供の頃から、その舌はお父さんに鍛えられたらしい。これは何とも頼もしい。

 

 

 

食後は、川沿いを散歩した。何と午後8時からは、ライトアップまであった。今や中国の多くの街で採用しているが、ここではお客さんが少なすぎだろう、経費はどうなっているのだろうかと思うほど、贅沢だった。特に1000年前に作られた浮橋が見事に浮かび上がり、かなりきれいだった。風も心地よく吹き、良い散歩となった。

 

 

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