福建茶旅2019(5)福州で

4月10日(水)
福州へ

翌朝は雨が降っていた。朝ごはんはお宿でお粥と卵。今日は自力で福州へ移動する。鉄道もあるらしいが、近くにバスターミナルがあるので、そちらでチケットを買い、バスに乗り込んだ。福州行は1時間に一本はあるようで、それほど混んではいなかった。車内はきれいで、座席も快適。バスは高速道路を走り抜け、途中で海辺を見ながら、2時間ほどで福州駅横に到着した。

 

福州駅で地下鉄を探して乗る。福州には何度も来ているが、地下鉄に乗るのは初めてだろう。路線があまりないので不便だと地元の人は言い、これまでチャンスがなかった。どこの都市もそうだが、最近できた地下鉄はみなきれいで、料金は安いのに乗客は少ない。利用できるときは今後はこれを使おう。

 

今回のお宿は、最近の定宿チェーンホテル。これまで福州ではいつも魏さんたちの手を煩わせてきたが、ついに自分で予約してみた。場所も地下鉄駅からすぐで、かつ三坊七巷にも近く、何かと便利かと思われた。魏さんのオフィスまでは歩くと少し距離があるが、これは致し方ないか。

 

地下鉄を降りるとかなり雨が降っていた。傘は差したが、荷物を引いていたのでちょっと濡れた。その状態でホテルに入り、チェックインすると、これまでのどの地域のフロントよりも対応が悪い。このチェーンの良い所は対応の良さにあると思っていたので、ちょっとショック。まあたまたまそういう人だったのかもしれない。しかも部屋も小さめ。

 

どうしても腹が減ったので、また外へ出た。地下鉄駅の向こうまで行くと、小さな食堂があるのは分かっていたが、雨が激しく降りつけてくる。それでも頑張って進んだが、結局午後3時という中途半端な時間では麵屋しか見つからず、色々とトッピングした麺をすする。ここの店主は愛想が非常に良い。

 

夕方、魏さんのオフィスに向かうが、どうも雲行きが怪しいと思い、バスを選択する。僅か2駅で到着するので油断していると、何と雷雨となり、激しい雨が道路を叩きつける。そしてバスを降りると、既に道は冠水しており、びしょびしょになりながら、オフィスを目指すが、靴が耐えられそうになく、雨宿りする。大勢の歩行者がビルの下で雨を眺めながらおしゃべりしていた。

 

ようやくオフィスに着くころには全身ずぶ濡れだった。それを乾かすように、お茶を少し飲み、そのまま図書室に入って、資料を見始める。福安での経験から、張天福老師の歴史について、もう一度きちんと整理する必要を痛感しており、『茶葉人生』をはじめ、一連の本を読み返す。さすがに資料はそろっていたが、時間はすぐに過ぎてしまい、ほんのちょっと垣間見た程度で終了。

 

夕飯は、魏さんの会社メンバーとともに食べる。魏さんの会社は従来紅茶販売がメインなのだが、最近は少し方針転換を行い、社員に評茶師などをそろえていることから、評茶試験を請け負う、ある種の教室を始めていた。日本でお茶の資格と言えば茶芸師だが、中国では国家資格である評茶師への関心が高まっているようだ。確かに単純に茶葉の売買で利益が出る時代は終わっていると思われる。

 

それから魏さんと二人で雨上がりの三坊七巷を散策する。ライトアップは年々きれいになっているようだ。何だか新しい道まで出来ているが、歩いている人は少ない。そして連れて行かれた茶荘は、昨年も訪ねていた。ここで著書もある先生から茶の歴史を聞いたのを思い出す。ここの店主は武夷山出身の若い女性だが、非常に活発な人で、日本にも一人で旅をしに行き、言葉は十分ではない中、自らの興味のある茶や茶器を訪ね歩いているという。こういう中国人が増えているのではないかと思う。

 

武夷山に行ったばかりだが、ここでも岩茶を美味しく頂く。その後ホテルに向かって歩いていく。途中の細い路地は風情があり、そこにも茶荘が出来ている。ここが先日福安で世話になった鄭さんの店だと分かり、ホテルとはほんの目と鼻の先なので、ちょっとびっくり。やはりご縁は続いているようだが、彼は未だ福鼎にいるので、今晩は寄らずに帰る。

 

不思議なことは、あんなに食べて続けているのに、ちょっと腹が減る。いや確実に胃袋が大きくなっている証拠だろう。また駅付近をウロウロしたが、さすがに夜10時を過ぎるとやっている店は少ない。思わずケンタッキーに入ると、そこは若者仕様で、アニメが壁に書かれている。そこでフライドチキンを食べているおじさん、どう見ても怪しい。

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