福建茶旅2018(1)福州で台湾茶の歴史を学ぶ

《福建茶旅2018》 2018年4月14日-23日

台湾茶の歴史を勉強していると分からないことが沢山出てくる。資料はなかなか見つからず、有効な答えに出会えないことも多い。先日の包種茶など、やはりどうしてもしっくりこない。こんな時は対岸の福建省、元々台湾茶の元祖である福建の茶の歴史に当たるべきではないかと思い、出掛けてみることにした。ついでに1月に沖縄で出た疑問、『ちんすこう』の歴史についても学んでみたい。

 

4月14日(土)
1. 福州
新しい宿

台北松山空港を飛び立った厦門航空は、順調に飛行した。LCCではないので食べ物は出たが、バナナとパンと水だけ。まあ1時間ちょっとのフライトだから国内線並みか。午後10時頃に福州空港に到着。イミグレも順調で、あっという間に外へ出た。意外と涼しい。すぐに市内に向かう空港バスを探す。ちょうどバスには1席だけ余裕があり、滑り込む。これは結構助かった。

 

もうこのルートも慣れており、夜の暗い街を走る間も寝入る。1時間弱でいつものアポロホテルに到着。そこでタクシーを拾い、今日の宿へ向かう。実は昨年まで、定宿としていた如家というホテルチェーン、ついに予約を断られてしまった。仕方なく、他に泊まれるところを探してもらったところ、意外と安い宿が見付かったというので、そこにしてみた。

 

もう真夜中の12時、道には車は殆ど走っていない。簡単に見つかるはずのその宿は、なぜか入り口が見当たらない。タクシーの運転手も2回回って、降りて探してくれ、と言って走り去ってしまう。探すと実に小さな入口があり、入っていくと『ああ、日本人の人ね』と予約があることが確認できる。

 

この宿、実はXX会館の宿泊部として登記したらしい。外国人が宿泊することを想定してライセンスを取得していたため、安い料金ながら合法的に泊れる場所となっていた。廊下の壁のペイントなどはかなり若者向け。部屋はこじんまりしており、特に何もないが、それが何となくよい。今やベッドとWi-Fiがあれば、どうにでもなる。入口の横には雑貨屋があり、夜中でも飲み物が買えた。有り難い。

 

4月15日(日)
茶の歴史を求めて

翌朝目覚めると、外は相当に寒かった。まるで冬のようだ。それほど厚手の服装を持っていないので、ちょっとまごつく。午前9時に魏さんのところの鄭さんが来てくれる。実は魏さん、急な出張が入り、私の方に日程の変更を求めてきたが、こちらも変更できない事情があり、福州に押しかけてしまった。そこで鄭さんが案内役に指名された訳で、日曜日に申し訳ないことだ。

 

外に出て朝ご飯を探す。福州名物?海蠣餅が目に入る。それにつられて中に入ると鍋辺糊がある。寒い朝にこれは抜群に良い。お客も満員で、皆熱々の物を食べている。なんでこんなに寒いんだろうか、そしてなんでこんなに美味いと感じるのだろう。

 

そこからちょっと歩いていくと、集合住宅がある。入って行くと、小さな事務所のような場所があった。そこは台湾人、李さんのお茶屋さんだったのだ。なぜここを訪ねたかというと、この李さんは、何と昨年亡くなった張天福先生の弟子で、先生を慕って台湾から20年ほど前に福州へ移住した人だったのだ。

 

彼なら台湾茶と福建茶の両方に詳しいだろうということで、その歴史を聞きに行く。彼は私が包種茶について質問すると、一つ一つ紙に書いて丁寧に説明してくれた。その説明を聞いていると、中国では定義が比較的はっきりしているのに、台湾では福建から渡って来た後、改良が重ねられ?定義が曖昧になっているように思えた。品種と商品名など、ちょっと複雑になってしまい、それが分かりにくくしているという印象も受けた。

 

ここで学んだ大きなポイントは、『台湾茶の歴史を台湾内だけで調べていても埒が明かないものがある』ということだ。やはり起源は中国大陸にあり、そこには正しいかどうかは別にして、文献や定説が存在する可能性がある。台湾の方が書かれたものが少ないのは残念ながら事実だ。

 

白茶などを頂きながら、2時間ほどお話しして失礼する。昼ご飯も暖かい物ということで牛肉麺を食べる。やはり中国に来ると牛肉麺は捨てがたい存在だ。そしてちょっと銀行に寄ろうとしたが、歩くと少しかかる。鄭さんが『シェアバイクで行こう』と言い出したのだが、私は北京で昨年シェアバイクを試し、その際保証金が返還されずにその会社が倒産した経験があって、今は使っていなかった。

 

だが鄭さんは『今は保証金なんていらないよ』というではないか。聞けば、芝麻信用なる個人の信用度をはかるものがあり、それが一定以上の点数だと、保証金は不要なのだとか。試しに私の信用度を見てみると、残念ながら保証金不要になるほどの信用度がなかったので諦めた。私は支払宝を数回しか使ったことがなく、芝麻信用に信用されるほどのユーザーではなかったらしい。結局二人で歩いて銀行を往復し、更には三坊七巷へ向かう。

 

そこでおしゃれない茶館に入る。観光地には最近はデザイン力もある、人の目を惹く茶館が本当に増えたと感じる。ただお茶を飲むのが目的ではなく、ここで著名なお茶研究者の温老師と待ち合わせていた。温老師は何冊もお茶関連の本を出している方で、お茶の歴史にも詳しかったので、色々と質問し、これまでの情報を踏まえて、全体を整理できてよかった。

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