広東・海南大茶旅2017(5)新旧海南茶業を見る

8月27日(日)
茶廠2日目

翌朝は早めに起きたが、出発時間が分からず、部屋でボーっとしていた。午前7時半にホテルをチェックアウト、少し待っていると、茶園のオーナーという人が急いでやって来た。聞けば昨晩深夜に海口から戻り、あまり寝ていないらしい。それでも我々の相手をしに来てくれるのだから熱心な人だ。

 

まずは朝ごはんを、ということで、麺を食べに行く。やかんに番茶のようなものが入っていて意外と美味しい。それから車で20分ぐらい行くと、五里路茶業の有機茶園に到着した。ここは平たい場所に茶畑が広がる。10年前は荒れ地だったらしい。向こうの方では朝日を浴びながら、大勢の女性が編み笠を被り、茶摘みが始まっていた。

 

これからの茶業を考えているオーナー。有機は一つのキーワードであり、それを武器に売り込みを図っていく。近々ここにも茶工場を建てるという。大きな木の下で、茶を淹れてもらった。昨日と違って今朝は天気が素晴らしく、雰囲気も大いに作用していると思うが、ここで飲む緑茶は美味しかった。きっと水もよいに違いない。

 

そこから車で1時間ぐらい走った。ちょうど峠に差し掛かると、やはり車の調子が悪くなる。取り敢えず停まって休みながら、解決策を探る。私は景色がよいのでその辺を見て回ると、大きなダムがあったりする。地元民も峠の茶屋、と言った感じで、お茶を飲んで休んでいたりする。そこへ小型バスが来たので、ここがバス停なのだと分かる。

 

何とか車を動かして、次の訪問地へ向かう。そこはかなりの山間、小さな場所だった。女性オーナーは、非常に積極的な人で、2000年頃全くの未開の地だったここを開拓して茶園を開いたことを話してくれた。当時は道もなく、小舟で川づたいにやってきたというからすごい。

 

五指山椰仙という場所らしい。茶畑を案内してもらうと、樹齢100年を超える茶樹が植えられている。小さな丘のようなところに茶畑が広がる。そこでも少数民族が労働者として働いていた。ちょうど昼時で作業は終了したが、数人が何やら茶樹の下の方を掘っている。聞いてみると、そこに生えている野菜を取り、今晩のおかずにするというのだ。因みに『この野菜は何という名前か?』と聞いてみると『野菜さ』というではないか。まさに野の菜であった。

 

この少数民族、黎族がその昔から茶葉を利用して茶を飲んでいた、という話を何度か聞いていた。ただ今回来てみても、その当時どんな茶を、どのように作り、どのように飲んでいたかは、分からなかった。大変興味深い分野なのだが、漢族中心の歴史の中では少数民族の歴史は完全に埋もれてしまうようだ。

 

 

お昼ごはんにまた美味しい鶏を頂いた。鶏肉好きの私が、お世辞抜きで美味しいと思う地鶏。さすが海南島、レベルが高い。レストラン横の敷地では鶏が放し飼いで飼われており、元気に走り回っている。不謹慎ながら、このような地鶏は旨いに決まっている。肉の締まり方が違う。現地の野菜もうまし。

 

それから五指山の街に行く。そこに陳さんの知り合いの茶荘があったので、寄ってみた。午後3時前は、皆昼寝の時期で、茶荘の電気も消えており、慌てて起きだしてきた人もいた。地元の紅茶や緑茶が出てくる。味にすごく特徴があるという感じではない。天気が悪くなり、雨の気配があった。

 

そんな中をもう一度山の中へ向かう。五指山茶廠、そこも昨日行った2つの工場同様、開拓時代に作られた古い工場だった。後ろの方へ行くと、歴史資産として残し欲しいような建物が残っている。また一応現役ではあるが、将来は保存され、博物館になるのではないだろうか。

 

今日は日曜日だが、すぐ近くに宿舎があり、幹部がやってきてくれた。この工場の上部機関の人も来ており、その運営方針が話しの端々で出てきていた。今や儲けてなんぼの中国、茶業は既に儲からない業務という位置づけなのだろうか。なかなか難しい。オフィスに庭には大葉黄金桂などという珍しい品種が実験用として植えられているが、何となく寂しげだった。

 

夕飯を食べるというので近くの店に移動したが、そこは何となくワイルドな場所。雨が降っていなければ、恐らくは外で食べたであろう。ここの料理もやはり美味しかったが、他のお客が犬の肉を食べており、こちらにも回って来た。私は特に美味しいとは思わないが、好きな人は好きなようだ。ここでも我々がいるのも構わず、茶業についての議論が行われていた。

 

そして真っ暗な中、どこかの山を車で登っていった。よくわからないが、リゾートホテルのような場所へ来た。ここには茶畑もあると言われたが暗くて見えない。取り敢えず、静けさの中、部屋に入り、そのまま寝てしまうしかなかった。茶業関係者により、特別料金だった。海南島も色々あるんだなとしみじみ。

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