極寒の湖南湖北茶旅2016(2)安化は黒茶で生きていく

ホテルから歩ける範囲にある、非常に立派な茶芸館へ行く。ここは高級で、長沙では誰もが知っている有名店だそうだ。そこで福州老板、魏さんを囲んで、茶会が開かれ、長沙の茶関係者が集まってきていた。魏さんが茶産業の今後について力説すれば、参加者からも色々な意見や疑問が飛び出し、討論会のようになっていく。気が付けば、時間は10時近くになっていた。

 

さあ帰って寝ようと思っていると、参加者の一人が、宵夜へ行こうと誘う。今や中国人が観光に来ると必ず必要なアイテムとして、宵夜があり、どこの街でも夜遅くまで食べ物屋が店を開いている一角がある。長沙でも結構きれいな夜市が出来ており、人も沢山出ていた。

 

小雨の降る中、食堂の席に着き、ここで酒が出る。食べ物も沢山出てくる。どう見ても体に悪いだろう、ということを中国人はしているように思う。まあ、日本でもバブル期はあったかもしれないが。結局雨が降る中、たらふく食べてしまい、体調の悪い中、タクシーを何とか拾ってホテルに帰ったのは、午前1時だった。まさに連夜の午前様。

 

1218日(日)
長沙散歩

 

翌朝は当然ながらゆっくり起きる。午前9時集合と言っていたが、9時に来る者などいない。私は早めに粥を食い、チェックアウトして下で待っていたが、他のメンバーは『朝食付きでなかった』と言ってやってきたので、私の例を説明してあげると再度食べに行くという始末だった。

 

予約していたコースターに乗り込む。安化へ向かうとばかり思っていたが、時間調整があり、午前中は長沙市内の見学に当てられた。この辺が超中国的アレンジ。日本では考えられない。しかもどこへ行くかも決めておらず、運転手に聞いて出掛けて行くのだからすごい。

 

岳麗山へ行く。私は数年前に来たことがあったが、その時より車が多く、停車できないほどだった。ここは自然が残っており、静かで風景的にもよい。この木々を守るために個人が寄付をして、その名前が木に付けられている。これはよいアイデアだと魏さんが言い、福建も見習うべきだという。

 

この茶旅は、魏さんがスタッフとお客さん、友達を連れてきているのだが、まるで社員旅行のようなところがあり、社長の魏さん自らが、社員の写真を撮り、微信にアップしている。これは社員サービスなのか、それとも微信を使った宣伝なのか、とにかくまめにアップしていてすごい。

 

午前中はあまり時間がなく、見学はすぐに終了した。それから長沙の高鉄駅へ向かう。魏さんの友人の到着を待つためだった。だが1年前に来た時、長沙に高鉄が走っているとは聞いていなかった。走っていても長沙駅から赤壁へ向かっただろうが、今回この後武漢へ向かう私には朗報だった。

 

バスに全員が揃い、安化に向けて出発した。ちょうど昼時だったので、適当な麵屋に入り、米粉を啜る。これが意外とうまい。その後、車は一路安化に向かった。初めは高速道路がありスイスイ、そして一般道をだらだら走って、3時間半ほどかかって安化に着いた。4年前に行った時は、道路工事中ですごく時間が掛かったが、今回はまあ順調な方か。

 

3. 安化
安化の茶工場

 

広い川沿いの道を一路走っていき、夕方5時前に茶工場に駆け込む。先方はずっと待っていてくれたことだろう。安化第一茶廠、1902年に作られたということが、建物を見るだけで分かる歴史的な工場だった。副総経理が応対してくれ、見学した。ちょうど千両茶が干されていた。最近復活して人気の黒茶だった。

 

立ち入り禁止区域内は更に古い感じだった。大きな門は創業時からあるらしい。木造の倉庫が並び、工場は50年代にソ連の設計で作られたとか。1915年の万博で金賞を受賞したという紅茶はこの付近で作られたはずだが、何となく今は黒茶しか見られない。試飲室でお茶を頂いたが、黒茶ばかりが出てきて紅茶はなかった。聞けば最近、大手国有企業の傘下に入り、この工場は黒茶専門に指定されたらしい。

 

紅茶はないのかと聞くと、歴史的なサンプル品の中にはいくつかあったが、最近の物はなかった。缶に入った物が展示されている。最近でもわずかには作っており、飲ませてもらった。『安化は黒茶で勝負する。これから紅茶は自分たちが飲む分だけに作る』という言葉が印象的だった。湖南省では2010年の上海万博で黒茶ブームを仕掛け、ある程度成功していたので、一気に黒茶シフトが起こっていた。安化紅茶は消えていく運命にあるのだろうか。結構美味しいと思ったんだが。

 

もうすっかり暗くなっており、外を歩くと寒かった。夕飯は川沿いのレストランで食べた。あたりは真っ暗で明かりもなかった。部屋は冷えていたが、暖房をつけ、温かい湯気が上がる料理が並んだ。味もそれほど辛くはなく、食べやすかったので、思いっきり食べてしまった。体が温まる。

 

食後、宿へ向かった。有名なチェーンホテルだった。予約はされていたが、私がパスポートを出すと、フロントは困った顔をした。香港人が香港IDを出しても、同じだった。このホテルはチェーン店に入ったが、外国人宿泊のライセンスを持ってはいないようだった。幸い部屋数に合うだけの中国人が居たので、最終的には問題はなかったが、本当に困ったことだ。

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