中国鉄道縦断の旅2015(9)冬至 太原で餃子を食す

9:56武漢始発の高鉄に乗る。この旅で初めて速い列車に乗った。昆明にはまだ高鉄は通っていなかったから昔の旅を楽しんだが、今や中国はどこでも高鉄の時代。武漢から北に進路を取り、河北省の信陽を通る。信陽もその昔行ったことがある。毛尖という有名な緑茶があるからだ。実は中国ではこの信陽より北では茶葉の商業生産は行われていない。北限ともいえる。本当は降りてみたかったが、無情にも列車はどんどん進んでしまう。

 

今日も天気は良くない。靄で何も見えないところが多い。そんな中でも列車は300㎞のスピードを平気で出していく。以前は350㎞だったが、最近はこれでもスピードを抑えている。Nさんは乗務員にカメラを向けるが車内撮影拒否。掃除の女性など、凄い剣幕で拒否している。

 

昼はどうするか。高鉄の弁当は45元もするので、敢えて買わずカップ麺を取り出す。超現代的な高鉄の中で3元のカップ麺を啜る。これが絵になるというのだ。確かに中国のカップ麺は偶に食べると美味しいと感じる。周囲でも皆が湯を汲みに行き、カップ麺のにおいが充満する。そんなところへさっき45元だった弁当が値下げされ、20元で販売されるが買う人などいない。

 

あっという間に列車は河北省の石家庄まで来てしまった。どうやらこの路線、まっすぐ北へ向かったのではなく、北京方向へ走っていき、ここで西へ進路を取り直すようだ。それでスイッチバックという現象が起きた。鉄道ファンなら興味のあるところかもしれない。一部乗客が降りると、残った乗客は一斉に席を立ち、座席を回転させ始める。それは運動会の競技のように全員参加だった。中国でも、見ず知らずのみんなが力を合わせる、こんな光景が見られるんだなと妙な感慨にふける。

 

30分ほど停車した後、太原に向けて出発した。周囲には雪が残っており、相当に寒いと感じられた。列車の窓から見えるのは一面の丘。夕方になり、少し太陽が出てきてホッとする。高速鉄道の旅、6時間は終わりに近づいている。それにしても高速というだけあってやはり速くてよい。

 

7. 太原
冬至の夜

列車は太原駅を通過し、16:00に太原南駅に到着した。駅自体は新しく、大きいが何もないがらんどうだった。やはり太原駅へ行こうということでバスを待つが、相当に寒い。ボロバスがやってきて市内へ1元で行った。スピードは凄く遅い。白タクが10元で行くというので、乗ればよかったと後悔しても私に選択権はない。市内はかなり広く、乗客はどんどん増えて行き、結局50分もかかってしまった。

 

太原駅前、あたりは暗くなり始めている。風も吹き寒さが堪える。早くねぐらを探さなければということで、駅横の宿に入るが、外国人はダメと断られる。ショックだ。国防賓館、鉄路賓館などという興味をそそるホテルもあったが、すべて外国人はお断りだった。仕方なく、駅前の結構立派な昔風のホテル、中城賓館に入る。シングル179元、ツインは209元。私は狭い一人部屋となる。

 

夜は本当に寒かった。部屋には暖汽があるので暖かかったが、外は零下5度以下。近所に湯気に上がっている食堂があったので真っすぐそこへ入る。気が付けば今日は冬至!餃子を食べる日だった。一人で1斤も食べている人がいる。3人で80個食べるおじさんもいた。皆餃子なんだ。暖房が効いていて暖かいが、美味しい餃子を口に入れると更に暖かく感じる。でも隙間風も吹いて、やはり寒い。

 

流石に疲れからだろうか。ちょっと風邪気味になっている。喉はゴロゴロ、何となく体はスースー。これは熱が出る兆候だと思い、スーパーでオレンジジュースとビスケットを調達して、部屋で軽く食べて、シャワーを浴びてサッサと寝入る。こういう時には暖かい部屋で十分な睡眠をとるのが一番だ。

 

1223日(水)
なぜか石炭工場へ

 

朝起きて熱いシャワーを浴びると気分はすぐに治った。でも朝飯のビュッフェには粥もなくパンもなかった。残念。散歩しようと言われて外へ出る。駅前のバス停をキョロキョロしていたS氏が当然、ここ面白うそうだ、と言い出す。ちょうどそのバスが来たので、郊外の選炭廠へ行くことになった。なんで?

 

街中を走り抜けて、約1時間、1元。ゆっくりと市内から郊外へ走りゆく。着いたところは選炭廠であり、国営時代の名残が色濃かった。ここはそれが1つの街なのだ。敷地内に多数の住宅があり、工員と家族が今も住んでいる。山西省と言えば確かに石炭が有名だ。でも最近は石炭価格が暴落し、経営は厳しいことだろう。何となく消えゆく街、という感じで見てしまった。工場には入れないので周囲を歩いていると線路が見える。引き込み線があり、石炭が運ばれているのが分かる。

 

 

30分に一本のバスのバスに走って乗り込み、駅前に引き返す。ホテルのチェックアウト時間である12時に何とか間に合った。このホテル、清掃員の愛想が実にいい。田舎のおばさんに見えるのだが、何故だろうか、天性、それとも教育?ホテルに荷物を預けてランチに出る。山西省と言えば刀削麺だ。でも汁は殆どなし、麺にはこしがあった。満足。

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