苦難の台北散歩2016(2)なぜか三峡老街へ

929日(木)
2. 台北
松山空港へ

5時間ぐらいは寝ただろうか。当然周囲は明るくなり、強い日差しが窓の外に見えた。実は今日は夜まで確定した予定がない。疲れているなら、このまま寝ていてもよいと思ったのだが、まずはシムカードを手に入れる必要があるので、外へ出た。だが、宿の近くの中華電信ショップはまだ開店していなかった。

 

そもそも旅行者用の短期シムを街中のショップで売っているのかも分らなかった。どうせならいつものように空港で買おうと思い立ち、MRTで松山空港へ向かう。ところが文湖線に乗り換えたところで、なぜか電車が止まっている。何か故障があったようで、進まない。あとでニュースを見たら、この日は大混乱だったらしい。この線はいわくつきだ。

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何とか空港に辿り着き、いつものシムを買う。よくわからないのだが、102日に台湾を離れると言ったら、4日間の滞在なのに、3日間用の一番安いシムを売ってくれる。初日は無料だから、ということらしい。これは有り難いし、無駄がない。でも空港を出てMRTに戻ると、またノロノロ運転だ。

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今日はどうしようかと思ったが、今回の旅でちょっと調べてみたいことがあった。それを調べる手掛かりになるかどうかはわからないが、その昔日本時代に三井が作った茶工場が今やきれいに修繕されて、資料館として開放されているらしい。折角だからそこへ向かう。但し1つ問題があった。HPで場所を確認しても、車で来る人しか参考にならない。というか、車以外では行けないのだろうか。

 

台湾の友人に調べてもらうと、バスに乗れば近くまで行けるとの回答があった。文湖線から何とか板南線に乗り換え、最近延長された終点の頂埔駅まで行く。ここは昨年、桃園の茶農家を訪問する際、待ち合わせた駅だった。あれからもう1年が経つ。早いものだ。妊婦に運転させてしまったな。その後無事出産したようだ。

 

3. 三峡
違うバスに乗って三峡老街へ

地上に出て、バス停を探す。道の反対側にバス停があり、頻繁にバスが来ているようなので安心した。私が目指す大寮茶文館はバスで三峡区にある皇后鎮農場まで乗ってそこから歩くらしい。それにしても最近の台湾のバス停は凄い。ちゃんとバスの待ち時間が表示されている。私が乗るべきバスを探して唖然。『67分待ち』、どうするんだ?

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そこにバスが来て、数人が乗り込んだ。バスのフロントガラスには『三峡老街』という表示があった。そこへ行けば何かわかるかもしれない。やはり67分は待てない、と乗り込んでしまった。それにしてもこのバス、どちらの方向へ向かうのだろうか。普通の路線バスのように次のバス停でも停まる。どこまでいくのか。遊遊カードで15元引き落とされただけだ。

 

それから30分ぐらい乗っていると、突然古い街並みのようなものが見え、何人もが降りて行った。私はその次のバス停で突然降りた。理由はない。そのバス停の前には昭和レトロを思わせる看板を大きく掲げた食堂があった。平日の昼過ぎながら、結構客がいたので、入ってみる。

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これは完全に日本の昭和のようであり、日本統治時代を再現していた。店内には森進一のおふくろさん、が流れている。名物は昔風の排骨飯。そして魚湯。観光客相手の店だろうと思っていたが、予想よりうまい。まあ料金は普通よりは高い。今や台湾人は昔を懐かしむことが好きなようだ。

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そこから散歩してみる。この街には一体どのような歴史があるのだろうか。ちょうど歴史文物館というのがあったので入ってみた。その建物自体が歴史的建造物を利用していた。この街には清代に福建省安渓あたりから移民がかなり流入していた。そして1860年代、台湾茶が海外に輸出される段になると、イギリス商人などがここまでやってきて、茶樹を植えさせたらしい。

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安渓と言えば鉄観音の茶産地だから、ここに移住した人々にも馴染みがあったかもしれない。付近の山林の開拓が進められ、樟脳と茶が主産業になっていく。台湾茶は北部から起こった、と何度も聞いているが、この辺の歴史をもう少しきちんと知りたいなと、という気持ちが起こる。三峡茶の最盛期は清末から日本時代の終わりまでだったようだ。茶葉は川を下って、台北の大稲埕、茶葉の集積地から国外へ運ばれた。

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川沿いへ向かう。そこには立派な廟が建っていた。かなりの広さがあり、地元民も観光客も盛んにお参りしている。往時この地区がかなり栄えたという証拠かもしれない。そしてこの付近から茶葉は台北に向かったと思われる。その横から歩いて行くと、三角湧老街がある。三角湧というのが元々の地名らしい。かなりきれいに改修されており、完全に観光地化しているのはちょっと残念。並んでいるお店も観光用なので、さらさらって見て通り過ぎる。

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古い教会もある。台湾に限らないが、100年以上前に山の中まで宣教師がやってきて布教しているのは本当にすごい。三峡は藍染産業も盛んだったようで、その工場跡もきれいになり、公園になっていた。何だか疲れたので、帰ろうと思ったが、どうやって帰ればよいのだろうか。来た時に乗ったバスを探すと30分以上来ない。

 

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また少しフラフラして時間をつぶそうとすると、他のバス停から台北方面を行けるとおじいさんが教えてくれた。ちょうどバスも来たのでそちらで乗り込む。バスは高速道路を走り、あっという間に板橋に着く。ここまで30元だった。ここからMRTに乗れば、すぐに宿へ着く。

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