カンボジアご縁の旅2015(7)シアヌークビル 熱いシャワーを浴びるには頭を使え

街の市場へ

その後さおりさんは忙しそうに作業しに降りていった。私はゆったりとお茶を飲みながら、この景色を満喫し、いい時間を過ごした。さて、次はどこへ行こうかと思っていると、さおりさんが『市場へ行く』というので、付いて行くことにした。ビラに通じる新しい道はかなり急な坂になっていて、歩いて降りるのも、ちょっと難儀だ。ここを登って来るのは大変だと思われる。バイタクに断られるというのも頷ける。

 

下でトゥクを拾い、街の中心地へ。先ほど歩いてきた道を戻る。当たり前だが、実に速い。あっという間に市内中心部に着いてしまう。これで2₋3ドルなら歩く人などいない。ただカンボジアの物価からすると3ドルは意外と高いし、アジアで考えても、カンボジアには公共交通機関がないため、交通費はかなり割高だと思わねばならない。

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市場は午後の気だるさに包まれていた。雑貨、日用品を売る店、野菜を売る店、そして魚を売る店。さおりさんは仕込みとして、魚屋へ向かう。結構いい魚をおじさんが捌いていたが、売ってはくれない。それは他の人が持ち込んだ魚をさばくだけの仕事だった。氷ボックスにも魚が入っており、よさそうな切り身を買う。他の店で小エビも買う。自分が食べるかもしれない魚を目の前で買う、そしてどんな料理にしようかと考えている人を見るのは、実は久しぶりだ、とこの時思った。

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油や塩もここで手に入れる。味の素が大々的に売られている光景が新鮮だ。言葉は片言の英語。クメール語はこれから勉強というさおりさん、それにしてもわずか2か月でかなり馴染んでいて、驚く。ある意味、カザフで揉まれた経験から、カンボジアあたりは容易いのかもしれないが、それにしても順応力が非常に高い。そして必要な物を目ざとく見つける技、昔中国に留学していた時のことを思い出す。欲しいものを見つける力、そして即座に判断して買う能力、これは鍛えなければ身につかない。

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市場で買い物して結構疲れたが、そのままスーパーにも行く。このスーパーは外国製品も多く、日本の醤油や麺なども売っている。お茶のコーナーを見ると、何とカンボジアの茶が売られていた。ベトナムへ一度輸出された物が、こちらに輸入されているところが、如何にもカンボジアだ。美味いのだろうか、このお茶。

 

さおりさんが『少しサボっていきましょう』と言い、市場近くのカフェに入る。ここのコーヒーが美味いというが、私は暑さに負けてライムジュースを飲む。カンボジアでもタイでも基本的にレモンというものはなく、ライムである。これが安くて美味いので、冷たいものを飲む時は大体ライムジュースにしている。当たりはずれも少ない。

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さおりさんの家はこの近くらしい。シアヌークビルでも色々なトラブルがあるが、カザフに比べればかなり楽だという。それは先ほどの市場の様子を見れば明らか。何といってもこちらのほうが断然ゆるい社会なのだ。カザフは社会主義ソ連が色濃く残った世界。かなり緩くなったとはいえ、日本人には厳しい環境だ。長野生まれで、後は富山に住んだだけで、いきなりカザフへ行った彼女にとって、ここは安住の地かもしれない。『親や兄弟もここなら呼べるような気がする』という言葉が妙に印象的だった。

 

GHで騒ぎ

さおりさんと別れて、テクテク歩いて帰る。かなりリフレッシュしたので、足取りは軽い。ただシャワーを浴びたい気分で一杯になる。結局昨日からシャワーを浴びていないのだ。宿に帰れば部屋を替わり、熱いシャワーが待っていると思いきや?あれ。フロントに顔を出すと、ニーちゃんがしれっとキーを渡す。新しい部屋のキーかと聞くと『部屋は既に満室で替われる部屋はない』というではないか。当然文句を言うと、すぐにマネージャーのカンボジア人に電話を入れたが、答えは『12時半に来なかったから部屋はない』との一点張り。何だそれ?

 

ニーちゃんもさすがに困った顔をしている。『本当に1つも部屋はないのか』と聞くと、『実は1つあるにはあるのだが…』、何だと詰め寄ると、『いやー、鍵が壊れている部屋ならあるんだけど??』、え??鍵がどう壊れているんだ?説明を聞いても当然よく分からず、頭に血が上りそうになるのを押さえて、冷静に対処しようと努力した。まあ、とにかく、その部屋へ行ってみた。

 

確かに部屋のドアの鍵が壊れていた。内鍵はかけられるが、外出時に鍵がかからない。それならここに泊まるのは無理だ。だが・・、『お湯は出るんだろう?』と聞くと出るというので出してみるとちゃんと出る。ということは・・『私はここでシャワーを浴びる。それから自分の部屋に戻る、それでどうだ』というと、『いやー、その通り。それが言いたかったんだ』と言わんばかりの顔で、ニーちゃんは満面の笑みになる。彼も色々と苦しんだな、と分かる。

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それから部屋に戻り、着替えを持って、鍵の壊れた部屋でシャワーを浴びた。疲れと汗と怒りを流し、その爽快感は格別だった。だが、いざ外に出ようとすると、何と内側から掛けたチェーンが外れなくなってしまった。どうしよう、廊下に人の気配はなく、このままでは誰か来るまで出られない。仕方なく、力任せにガチャガチャやっていると、何とか抜けたので助かった。熱いシャワーを浴びるのに、これほど苦労するとはさすがカンボジア?

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