3. ビエンチャン2
ビエンチャンへ戻る
そしてついにビエンチャンへ戻る。全く思いもかけなかったノンカイでの1泊。これはこれで面白い経験だったが、さすがに疲れが出た。帰りは実に呆気なく国境を越えた。ラオスへの入国書類を2日続けて書く、香港から深圳に通っている気分だ。
ホテルへ戻ると、スタッフが『帰ってきたか』という顔をした。それはそうだろう、折角チェックインしたのにそのままどこかへ行ってしまい、1日以上戻ってこなかったのだから仕方がいない。
部屋は偶々Kさんと2人一部屋にしていた。Kさんはこの部屋に泊まりたかった、と嘆く?実は彼は今晩日本へ帰るのだ。『とにかく1時間でも2時間でも寝れば』ということでベットに潜るとすぐに寝てしまった。私は久しぶりのネットに取り組む。
夕方ノイが迎えに来て、Kさんを空港へ送る。その車の中で、今回の目的である支援の打ち合わせが始まる。今回はノイプロジェクトの現状が理解できたこと、実際のイベントを見学できたこと、など、収穫はあった。Kさんのノイへの支援の気持ちは固まったと思う。そして晴れ晴れと空港へ消えていった。
ビエンチャンの華人
ノイの車で市内へ戻る。今日は沖縄のNさんに紹介を受けた日本人Mさんに会う予定であった。Mさんはラオスと日本を行き来しているが、実質20年以上ビエンチャンに滞在しているという。実は昨日教えられた電話番号に電話したところ、女性が出て、何と中国語を話した。それが中国系ラオス人であるMさんの奥さんだった。
ノイの車で到着したのは中華学校。ビエンチャンにも中華学校がやはりあった。この付近は華人が多いのだろう。Mさんが迎えに来てくれ、ノイを簡単に紹介したが、暗くて分からなかったようだ。後で『え、あのアイドルのノイだったのか』と残念がっていた。我々は普通に接しているが、何といってもノイは有名人なのである。
Mさんによれば、ビエンチャンも最近開発ラッシュなどがあり、相当変化してきているが、まだゆったりと暮らせるという。実際Mさんの家は居心地がよく、翌日から忙しいと聞いていたにもかかわらず、ダラダラと長い時間話し込んでしまった。
奥さんは華人の2代目だったが、色々な地域の華人の地が混じっいているようだった。他の場所だと『広東系、福建系』などときちんと色分けされているようだが、様々な事情でラオスの華人はベトナム華僑やタイ華僑などとの婚姻もあるようだ。ビエンチャンに住む華人はそれほど多くないが、一定の影響力は持っている。
この辺、夜間にタクシーはないという。するとMさんが近所にタクシーを頼んでくれた。やってきたのは奥さんの弟さん。当然中国語が出来るので、話してみる。『最近の中国からの進出の恩恵はないか』と尋ねると、『私たちはラオス人ですよ、今の中国人とは全然違う。彼らは金儲けしか頭にない』と強調していた。
7月23日(火)
ビエンチャンを歩く
翌朝は一人でホテルの朝食を食べる。私はこの朝食が好きだ。昨日予約していたのに、この飯が食べられなかったことは残念だった。でっかいフランスパンにオムレツ。今のホテルは基本的にビュッフェスタイルなので、このようにオーダーしてウエーターが運んでくるのが良い。
今日は夜まで予定がないので散歩に出る。先ずは直ぐ近くの文化会館の前を通ると何やらイベントが。なぜかパンダの着ぐるみが登場、結婚写真を撮るコーナーがあった。ベトナムやカンボジアを歩くと派手な結婚式に出くわしたが、ラオスも結婚式は派手なのだろう。
それからバトゥサイ(凱旋門)を見る。7年ぶりだが、この辺は特に変わった様子はない。ただ中国人観光客が目立っていたが。裏の道をどんどん行くと、立派な建物がいくつかある。役所だったり、ホテルだったり。更にその先はこれから開発される地域のようだった。最近の中国から急激な投資、ビエンチャンを変えていくのだろう。
ビエンチャンにも日本の銀行があると聞いていた。それがこのマルハン銀行。日本では考えられないが、パチンコ屋さんのマルハンがカンボジアで銀行を開業、今年ラオスにも進出した。ミャンマーにも出るようだ。
中に入るときれいな出来立てのオフィス。きちんと英語ができる女性が対応してくれ、日本語ができるスタッフもやってきて、丁寧に説明してくれた。基本的に口座が開設できるのは労働ビザを持っていることが条件。非居住者の私には無理だと分かったが、金利は米ドルで1年定期、6.25%と言われ、ちょっと心が動く。そういえば3年前にプノンペンで聞いたマルハンのレートは5%程度。開設記念キャンペーンなのだろうか。金融の世界では利益があるところにはリスクもある、ということは認識しておく必要はあるが、日本で預金しても0.1%などという実質0の国から考えると羨ましい。因みにその後見つけた中国工商銀行の支店にも立ち寄ってみたが、こちらは実質個人客お断り、の雰囲気が漂っており、金利もマルハンの半分だった。
歩いていると日本のお弁当を売っている店があった。後で聞くと日本人が経営しているという。ビエンチャンも着実に変化してきている。お昼はなぜかベーカリーでハンバーガー。このお店、7年前にもあって懐かしくて、入ってしまった。相変わらず欧米人が多い。
お寺にも行ってみようと思ったが、なぜかそこで足が動かなくなり、ホテルに退散。午後は旅行記を書いたりして過ごした。こういう時に快適なホテル空間が実にありがたい。日本人にとってホテルは寝る場所かもしれないが、本当はそこで過ごす場所。私のような者にとってはそこが住い。
日本のビジネスホテルはコンパクトで効率的だが、正直長くいるのに適さない。恐らくホテル側も分かってそうしているのだろう。逆に日本人に不可欠なのが風呂。だから日本のビジネスホテルは大浴場を併設するところが増えている。
夜は旧知のMさんと食事。何とホテルのすぐ近くに日本人が経営するレストランがあった。日本食レストランのイメージで探すとほぼ見落とすようなおしゃれな造り。ビエンチャン在住8年の日本人夫婦がオーナー。日本の家庭料理を思わせる食事が好評とか。
7月24日(水)
ラオセントラル
今日は朝8時の飛行機でバンコックへ戻る日。朝6時過ぎにホテルを出てタクシーを探したが、何と通りに車の気配がなかった。前日ホテルから『タクシーの予約は』と聞かれていたが、7ドルという料金をケチって予約しなかったことを悔いたが後の祭り。本当に途方に暮れそうになる。
よく見ると1台のバンが停まっていた。恐らくは客待ちの車だったが、運転手が空港なら行く、と言ってくれた。空港まで行って戻っても十分な時間がったのだろう。料金も6ドルで悪くはなかった。救われた。空港までは僅か15分程度。あっという間に着いてしまった。
今日は初めて乗るラオセントラル航空という飛行機。先日バンコックで新しいエアラインと聞いていたのでちょっと緊張していく。料金はLCC並の安さ。チェックインカウンター向かうと、私のパスポートを見た男性が『おはようございます』と流ちょうな日本語で言う。え、日本人、きちんとしたジャケットを着こんだその人はどう見ても日本人。
『こちらで働いておられますか?』と声を掛けると、なんとなんと『副社長です』との答え。外資系の航空会社を退職後、最近ここに入社したという。チェックイン後、2階の待合室にいると彼がまたやってきて話す。『とにかく新しい航空会社は安全第一です』という。搭乗時間になり、タラップを登ろうとすると副社長自ら、『行ってらっしゃい』とお見送りする。日本人がこれをすることが評判良いらしい。こんな人がいるんだ、とちょっと面白味を感じる。
飛行機は新しくはないが、サービスは悪くなかった。これで行きのバンコックエアーがガラガラだった理由が分かったような気がする。安くてサービスが良ければ客は流れる。この日の乗客はかなりいたことからも分かる。次回のビエンチャン訪問が楽しみになってきた。