タイ中部横断の旅2018(15)指輪を切断する

8月21日(火)
病院で指輪を

翌朝はいつものように朝Yさんとコーヒーを飲んでいたのだが、実は最近不安なことがあって思い切って打ち明けた。私の左薬指には20年以上結婚指輪が嵌ったままだが、それは指の第2関節が太くなってしまい、取れないからだった。ところが最近体重の増量に伴い、指の太さまで増量している事態となり、このままではいつか指輪で指が締め付けられ最悪壊死してしまうのではないか、と思い始めたのだ。

Yさんはすぐに検索をはじめ、指輪が取れない時の対処法を探してくれたが、その答えは何と『消防署に行く』だった。なんでだろうかと、思いながらも急に心配になってしまい、『バンコックで消防署には行けないが、有名病院なら日本語デスクもあるので対処法を教えてくれるのでは』と期待して、午後病院に行くことを決めた。石けんでこすっても無理なことは分かっていた。

 

朝はかなり溜まっていた洗濯物をいつものランドリーに出したりして、忙しかった。そして昼には何とちょうど話題の高校野球『大阪桐蔭対金足農業』の決勝戦がNHKで見られるというので、昼も食べずにそれを見ていた。太田幸司の始球式、だが試合は一方的な展開となり、Yさんに誘われ、昼飯を食いに行き、最後まで試合を見ることもなく、タクシーで病院に向かった。

 

この病院には何度かお世話になっており、日本語専用デスクの存在も分っていた。受付の若い男性は完璧な日本語を話していたが、名札はタイ姓のように見えた。きっと日本育ちなのだろう。事情を話すと取り敢えず外科に繋いでくれた。同時に『保険が効くかもしれないので電話したら』とも言ってくれたので、電話してみる。

 

外科に行くと、脈拍や血圧を測られたが、ベテラン婦長が出てきて私の指をつまんで即座に『これはあっちね』という仕草をした。そして小部屋に案内されると、そこには二人のレスキュー隊員がおり、私の指を抑えて机の上に押し付ける。まるで指詰め?の儀式のようだ。ちょっと怖い。そのまま金属のへらで指の隙間を開け、ペンチを差し込み、切ってしまった。僅か5分の出来事だった。

 

もうこれで大丈夫。指輪は曲がってしまってけれど、どこかで元に戻せるのでは、とも言われる。そして『本件は医療行為ではないので、病院は一切費用を請求しません』というではないか。そして通訳の女性が小声で『よろしかったら、有難うと言って、この二人に200バーツぐらい渡しては如何でしょう』というので、喜んでお渡しした。

 

因みに奥さんには外科に来た段階で『指輪を切ってしまうかもしれないが、やむを得ない事情なので了解して欲しい』旨、ラインで送っていたが、やはり実際に切られた指輪の写真を送ると、『これはどこかで治らないのか』と言われてしまう。私としてはまずは20年締め付けられた指の回復を優先させたいと考えている。

 

日本では消防署に行くという意味もようやく分かった。消防ではなく、救急だったのか。部屋を出ると保険会社から本件請求可能との電話をもらったが、既に本件は終了したと伝えて電話を切る。こういう経験もしてみないと分からないものだ。病院からバイタクに乗り、BTSの駅へ出る。

 

プロンポーン駅から終点のサムローンという駅へ向かう。昔この路線にはよく乗ったが、当時はバンナーが終点、のちにベアリングという駅が出来たのまではしているが、サムローンはいつできたのだろうか。バンコックは1年に駅が1-2は増えているようだが、終点の名前がかわると乗る電車を間違える可能性もあり、ちょっと困っている。

 

なぜこのサムローンへ来たのか。それは以前からのお知り合いMさんが家を買って、バンコックにいる間はここに住んでいたからだ。駅に着いたが、それほど新しい、と言う感じはしない。すぐ近くにショッピングモールがあるというので、そこで待ち合わせたが、一昨日のターミナル21などとは大違いで、1階からして小さな店が沢山あり、高級感とは無縁だった。

 

聞いてみるとここはバンコック都下からほんの少しはみ出しており、バンコックではないのが大きいらしい。それで地価も安く、BTSが通って便利でもそれほどは高くないようだ。近所の市場もかなりローカルチックで広い。その昔は、日本的に言えば、バンコックを出た最初の宿場、だったのだろう。

 

ローカルチックとは言ってもちゃんとしたお店に入り、美味しいものを食べる。バンコックではないと言ってもそれほど珍しいものや名物がある訳でもないが、タイ語堪能なMさんが頼んでくれる料理は何となく美味しく感じてしまうのはなぜだろうか。またたわいもない話をして時間が過ぎる。

 

帰る時はMさんに教えてもらったバスナビを使って、バスで帰ることにしたが、何だかうまく機能せず、一本で帰れるバスを捕まえることが出来ずに、かなりの時間待った。そして結局乗り換える羽目になり、素直にBTSに乗ればよかったと反省し、やはりバスは難しいとの結論に達する。タイ語が出来なと大変だ。

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