『インドで呼吸し、考える2011』(1)ラダックまでの道

【インド ラダック/デリー紀行~インドで呼吸し、考える】

1.ラダックまでの長い道のり
3月のある日、思い立って表参道にあるブティックを訪ねた。知り合いのHさんが開いた店である。Hさんは本業以外にヨーガを教えるなどの副業をもっている。私のようなものがブティックに居ることはどう見ても望ましくはないが、何となく時々訪ねるのである。

その日店でお茶を飲んでいるとHさんのPCが光った。スカイプでの電話であった。相手はインドのプネー在住のA師。世の中便利になった物だ。インドと日本で顔を見ながら話が出来るなんて。Hさんが今日は珍しい人がいるよ、と言って、私を電話口、いやPC口に出した。

突然のことで何を話したらよいか分からず、「何しているんですか」という超月並みな愚問を発してしまった。当然電話しているだよ、と返って来るかと思うと、さすがA師、答えは違った。「今ドネーションの小切手を切っています」と。ドネーション、一体誰に?

「ラダックのP師、知っているでしょう」、意外な名前が出て来た。P師はチベット伝承医学を納めた尼僧、将来のインド領ラダックを背負って立つ人物と聞いていた。5年前、彼女が初来日した際、ご縁があり、東京で会っている。

「あなたも寄付したんでしょう、それならラダックに行かなければ」とA師が畳み掛ける。確かにあることで2度ほどドネーションに参加している。しかしそれとラダック行きはどう繋がるのか。頭が整理できずにいると「P師はきっと何かをあなたに見せてくれますよ、何かを。それがインド的なんです」と背中を押しだす。日本では寄付したらそれでお終い、寄付したことをわざわざ知らせることも恥ずかしいような感じだが、どうやらインドは違うようだ。

確かにP師からも「一度ラダックにいらっしゃい」とは言われていた。東京に比べて格段に空気が良いと聞いていた。そうは言っても、3500mの高地、2-3日行くわけにはいかない。最低10日は来てほしいと言われるともうお手上げ。サラリーマンの限界を超えていた。

そのサラリーマン生活を終了した今年、ちょうどA師に背中を押されて、決意した。しかしどうやって行くのか、全く分からない。A師より「夏にヨーロッパ人のツアーがあります。全て面倒見てくれるし、ヨーロッパ人がインドやチベットをどう見ているか分かって面白いですよ」との助言もあり、早速申し込む。ところが・・1か月経っても何の返事もない。おかしいなと思い、知り合いのS女に尋ねてもらうと、何と「今年はヨーロッパが不景気で、ツアー募集が中止になりました。来年また計画するのでその時に」とのメッセージを受け取る。

これはご縁がなかったな、と諦めようとしたところ、S女がSMさんに相談。SMさんはご主人がラダック人で、P師の活動も支援しており、直接問い合わせてくれた。するとP師の答えが「アクセプト」であったとのことで、あとはSMさんが色々とアレンジしてくれ、単独でラダックに行く運びとなった。

2.インドビザ
前回北京でインドビザを取得するのに大変な労力を要した。あと一日遅ければインドへ行けなかったほどだ。そのトラウマは大きい。旅行社からはビザ代行しますとのメールが来ていたが、代金が1万円もした。自分で行けば2135円と聞き、しかもビザセンターはオフィスの近くとのこと。自ら出向く。

場所は茗荷谷の近くでありオフィスからは徒歩30分。夏としては決して近くはない。10時半ごろ行ってみると既に沢山に人々が順番待ちをしていた。申請書を書こうとすると前回の訪問地など色々と細かい項目がある。何と私は英語でデリーすら書けない。前回訪問地も書けずブランクとした。書類は一応英語書きなのである。普通の日本人には辛いのでは?

意外に早く順番が来て書類とパスポートと写真を提出。受け付けたのは実に小柄な外国人。インド人にも小さい人がいるな、などと勝手に決め込んでいたが、後で事情通に行くとあれはフィリピン人でボスがインド人にため、英語が出来てコストの安いフィリピーナが使われていると言う。知られざる東京の外国人マーケットを垣間見る。

彼女の私への質問は2点。1点目は案の定前回訪問地。英語で書けないと言ったらカタカナで書けとの指示。なーんだ。もう一つはインドを出国した後、2か月以内に再入国の可能性があると言うもの。基本的にはないと答えたが、2か月以内再入国禁止の意味はよく分からない。当然仕事の場合はOKだろうが??

そして面白いのがビザの受け取り。翌日の午後5-5時半の30分しか受け取れない。そんな馬鹿なと思うがこれがルールで例外はないと言う。実際に翌々日に取りに行ってみると5時前に屋外に長蛇の列が出来ていた。半数は旅行社の人らしく、インド人ボスに挨拶している。受取は呆気なく終わり、北京の時との違いがあまりにも大きかった。因みに北京で日数と費用が掛かったのは東京のインド大使館に照会を出すため。東京に住む外国人も同じ目に遭っている。

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