インドでアユルベーダを2017(6)眠気との闘い

先生は今晩知り合いの結婚式に出席すると言っていたので、私のことは忘れてしまったのかと思っていたが、ちゃんと6時頃にやって来た。そして気分がよくなったのなら、まずシャワーを浴びて、それから夕飯を食べるようにとのこと。もし先に夕飯を食べる場合は、シャワーは食後2時間してから浴びること。理由は消化を優先させるから、と明快だった。

 

当然ながら体がオイルマッサージでベトベトなので、シャワーが先になる。部屋のバスルームから夕日が少し差し込む中で、熱いシャワーを浴びるのは何とも心地よい。椅子が置いてあるので、座ってゆっくり浴びられるのも有難い。それにしても髪の毛にこびり付いたオイルはなかなか落ちない。

 

そしてすぐに食事をとる。チャパティがここでは私の好物となる。ライスは既に腹には重たいと感じるようになっていた。茄子の煮物がやけに美味い。体に食物を流し込んでいる、という感覚がよく伝わるようになってきた。同時に、これを今食べると消化できるか、と考えるようにもなる。人間、意識することが重要だ。それにしても、いわゆるカレーというものはここでは出ないのだろうか。

 

やはり食事をすると眠気が襲ってくる。消化を考えると15分位ゆっくりと歩くのがよいとも言われたが、暗い夜道を歩く気にもなれず、そのまま本を読んで過ごす。ネットが繋がらないことを想定して、本を持ってきてよかった。8時には眠気に負けて、ベッドへ入り、すぐに寝入る。だが、夜中蚊に襲われて何度か起きる。

 

219日(木)
クリニック3日目

 

明け方、急に便意をもよおす。昨日から始まった治療はパンチャカルマと言い、数日後に体中から毒素を出すことになるのだが、まだ始まったばかりなのに、ものすごく便が出た。このような経験は極めて稀だが、その昔初めてミャンマーに行った時に、食べ物に中った訳でもないのに、午前中何度もトイレで出してスッキリしたのを思い出す。あの時はなぜかすべての緊張から解き放たれたような気分だったが、ここでも同じ現象が起きたのだろうか。

 

同時に夜中が涼しいせいか、何となく頭痛がする。薄いパジャマで寝ていたのだが、念のため持ってきたフリースに着替えるとすっと寝られた。それでも7時には目が開いてしまい、またアーサナをする。そして読書。これはこれでいい生活だ。朝からトイレのせいか、体は軽い。

 

8時半ごろ先生がやってきて脈診。脈を計った瞬間に、『かなり便が出たね』と言ったので、驚いた。この先生の前では、隠し持っている日本のお菓子を食べても、脈で分かってしまうだろう、と思う。食欲はなく、朝食はなし。そしてまたギーを飲むことになる。飲めば気分が悪くなり、食欲は更になくなる。それにしてもギーだけは、飲み慣れるということがない。常に不調になる。

 

明後日選挙があるという話になる。市議会レベルだというが、現在のモディ首相の信任が問われるらしい。先生は完全にモディ氏を支持している。彼の政策は非常に素晴らしいと言い、あの高額紙幣廃止さえも支持するという。『インドにとって最大の問題は政治の腐敗、汚職だ。それを止めさせるには資金源を断つ必要があり、今回の措置はブラックマネーの排除にあるのだから、彼の政策は正しい』というのだ。

 

ただ勿論反対勢力はいつもいるものだし、与党BJPも、モディ氏以外の閣僚などには問題のある人がいるのも事実だ。それでもインドの前に進められるのはモディ氏しかいない、と先生は言う。ギーを飲んだ体にモディ、という名前が反芻される。そして『これからは内需』という言葉が突き刺さる。我々外国人はお呼びでなくなるのだろうか。だから外国人だけが両替制限が厳しいのだろうか。

 

そんなことを考えているとモヤモヤするので、外へ出てみた。気持ちよいほどの温かさだ。部屋は涼しいので、太陽の光が実に心地よい。歩いているインド人、老人は皆ゆっくりしており、身なりもきちんとしている。若者はTシャツやジーンズ。好対照だ。20分ぐらい日向ぼっこのように散歩して部屋に戻る。

 

すると少しして気分が悪くなり、吐き気も催す。眠気も相変わらずだ。寝てはいけない、という一言がズシリと重い。勿論この症状は私に特有なもののような気がするが、ギーを飲むと眠くなるのは共通らしい。11時頃ヨゲーシュがやってきて、そんな私をマッサージ。昨日よりはだいぶ軽く終わる。そしてスチームバスを出ると何となく爽やかに気分になる。体は軽くなったものの、やはり食欲なし。

 

午後1時半頃、また気分がすぐれない。部屋にいても寝そうなので、ソファーでダラダラしていると、そこへフランス人、ビンセントが登場した。彼はここにも何度も来ているようで、今日もカイバリヤダーマから自力で鉄道に乗り、ここまで辿り着いたらしい。かなりのおしゃべりであり、私の気分を紛らわすにはちょうど良い人が来たと喜んだ。

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