カンボジア・タイ 国境の旅2016(14)パタヤの夕日

 夕焼け

部屋でエアコンを掛けて、昼寝した。一人旅でのリゾート地滞在は予想以上に厳しい。ここには見るべきものがなく、寝るぐらいしかすることもない。その後部屋から外をボーっと眺める。ホテル群の向こうに海が見える。少しずらしてみると、マンションの建設なども行われている。パタヤはタイを代表するリゾート地であり、バンコックからも一番近いリゾートだというのに、実は20数年、来たことはなかった。発展したものだな、という思いと、自然が薄れたなという思い、それぞれの感じを持つ。

 

段々夕方になってきた。暑さも少し和らいだ頃、もう一度外へ出た。風が心地よい。ビーチは既に黄昏だった。雲が垂れ込める中、強い光がそろそろと降りていく。ビーチに腰を掛け、それを見るともなく見ている。歩いている観光客もちらちらと見ている。そのうち大勢が足を止め、見入るようになる。皆が海に吸い込まれていく。

 

私はなぜパタヤに来たのか。それはやはりこの夕日、この光景を眺めるためだったのだろう。私は以前から夕日好きで、様々な夕暮れを見てきたが、この眺めは結構上位に入る。喧騒から一転、静寂の訪れ。そのギャップがよいのかもしれない。ただ日が落ちるのが何とも速い。至極の時間はあまりにも短く、日が落ちてしまうと、また喧騒が広がっていく。私もしばらくして無念の思いで腰を上げる。

 

そのままビーチの端から端まで歩いて見る。高級リゾートホテルが立ち並び、外国人観光客が多いが、中国人がやはり目立つ。2-3年前まで多かったというロシア系の姿は殆ど見られない。バーなど夜の部が開くのはまだ早く、買い物をする姿が多い。レストランを探したが、一人で入るような手軽なところはビーチ沿いにはない。少し奥に引っ込んで歩いて見ると、声を掛けられたので、すっとそこへ入る。

 

そこで焼き鳥を頼むと、ちゃんとご飯が付いてきて、飲み物を合わせても70bで済んでしまった。自動的にコーラが付いてきた。何だか面白い。しかもこの鶏肉が意外とうまい。言うことない。腹一杯食べてしまい、フラフラとまた歩き出す。特に寄る所もなく、何かしたいこともなく、ホテルに戻り、また外を眺めたが、夜景は特になかった。パタヤは何とも所在ないところだった。

 

83日(水)
バスターミナルまで

翌朝は早めに起きて、朝食へ。いいホテルの朝食は美味しいはずだ、ということで、そそくさと食事に行き、思いっきり食べた。昔家族旅行でアジアのリゾート地を回った頃も、ホテルの朝食が好きだった。北京に住んでいた頃も、わざわざ高級ホテルの朝食を食べる会を結成しようとしたこともある。ただ今回のホテルはフランス系なのに、パンも普通で期待には添わなかった。むしろおかゆを食べている方が落ち着いたはなぜだろうか。

 

荷物をまとめてチェックアウト。フロントでバスターミナルまでのトゥク料金を聞くと30b前後とのことだったので、ドアマンに呼んでもらったが、来たバイタクは60bだと言って譲らない。ドアマンもバイタクの味方となり、料金交渉には一切手を貸さない。とうとうバイクは去ってしまった。またいやな思いをした。仕方がないから自分で道路へ出て拾おうかと考えたが、ここではカルテルが成立しており、どうやってもうまくは行かないだろう。自分で歩いてバスターミナルまで行くか。かなり遠いし、道も分らない。

 

その時、日本人の家族が出てきて、ソンテウに乗り込もうとしていた。声を掛けると、150bでチャーターしたという。確かに日本円にすれば大した額ではない。私も50b支払うことで、一緒に乗せてもらうことにした。その家族には小学生ぐらいの女の子が2人いた。大阪から観光できたらしい。楽しい旅だっただろうか。奥さんが積極的で旅をリードしていた。パッケージ旅行ではなく、個人旅行をしており、色々と事前に調べて、前に進んでいた。

 

ターミナルではバンコック行バスが頻繁に出ており、すぐに出発するバスのチケットが確保できた。これまでのロットゥとは違い、大型バスで座席も広い。常に満員の盛況であり、パタヤの人気が分る。このバス、どこかで見たことがあると思っていたら、私がバンコックを拠点にしていた場所の近くを何時も通っていた。そう、いつかパタヤへ行こう、と思いながら、ついにいかなかったことに思い至る。では今回なぜパタヤに至ったのか。これも一つの流れなのか。目をつぶっていると、時が流れ、バンコック市内に入っていく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です