香港歴史散歩2004(15)春坎角

【香港ルート24春坎角】2004年10月16日

次男と2人で留守番になったので、何処かに行こうと言うことになり、洞窟探検を決行することとした。我が家から春坎角までは63番のバスで一本なので気楽に出掛けたが、このバス香港には珍しく30分に一本しかない。香港で乗り物を30分近く待つのは苦痛である。

(1) 春坎角海辺のトーチカ

バスはレパルスベイを過ぎると山沿いとなり、春坎角道に入った途端、寝込んでいる次男を起こして慌てて降りる。ところがここからビーチまでは何と歩いて20分以上あった。但し緩やかな下りと爽やかな風で難なく降りられる。

次男は学校行事で以前このビーチに来た事があり、バーベキューをしたそうだ。シーズンオフとまではいわないが、海水浴客も殆どなく、西洋人が日光浴をしている程度。実に静かでこじんまりした良いビーチだ。

 

次男は前回来た時、変なものを見たという。その場所に行ってみると正に探していたトーチカであった。第2次大戦開始時に日本軍が香港に侵攻。それを阻止する為にここにトーチカが作られ、上陸を阻もうとした。実際には日本軍は北側から上陸した為、このトーチカが使われることは無かったが。

(2) 春坎角砲台

ビーチから道を戻り、春坎角道のバス停の所まで来る。この辺りは別荘風の豪華な家が並んでおり、西洋人が多く住んでいるようだ。そこから右に行くと急に道が狭くなる。道は平坦、左に山、右に海を見ながら進む。風は実に爽やかで、散歩日和。

しかし普段あまり歩いていない次男は足が痛いという。香港というところは歩かなくても良いように便利に出来ている。土日には沢山の香港人が、自然を求めて、また安価なレジャーとして、そして何より健康のためにハイキングをしている。今後次男ももっと散歩に連れ出す必要がある。

15分ほど歩くと左右の壁面に建物が埋め込まれている。異様なのは全て窓、入り口部分は塞がれていること。どうやら昔の兵舎、監視所跡のようである。砲台が近づいていることが分かる。

更に行くと右手にジョッキークラブが建てた慈氏安養院がある。体に障害のある人々が車椅子で日向ぼっこしている。長閑な雰囲気。実はここは以前砲台の上部砲座が置かれていた。

 

その先を少し下り右に曲がると行き止まり。そこが春坎角砲台下部砲座である。今はモニュメントのようになっているが、1930年建造。小高い場所には火薬庫の建物が見える。

この場所で驚くのは寧ろ海が一望出来る場所に設置されたバーベキュー設備ではなかろうか?現在は午後3時半であり、若者グループが1組、遊んでいるだけだが、これ程のロケーションでバーベキューは贅沢である。3つしかない設備は取り合いではなかろうか?(事実我々が帰る時には車で数組が到着し、海の方に殺到していた。)

 

ここから見る夕日はどんなものだろうか?

(3) 張保洞窟

さて、本日のメインイベント。次男も心待ちにしていた洞窟探検である。バーベキュー設備の横から階段で降りる。ここはかなりの絶壁で階段も急。眼下には一面の海。いい眺めである。

本によればこの洞窟20人は入れ、中は真っ暗ということでかなり怖い。懐中電灯を忘れたので、途中で買うなど準備をしてきた。旅行者の名所であったと言う。この洞窟、名前を張保洞窟という。張保とは清の嘉慶年間に活躍した大海賊の首領の名。後には官に下り澎湖諸島の守りに着く。その時のボスがあの林則徐。何という歴史的な巡り合わせ。清廉潔白と大海賊。張保は民間伝説では多くの財宝を洞窟に隠したと言われている。この洞窟もその内の1つ。

降りて行くと途中に建物のようなものがある。そこを潜ると行き止まり。海を見る最前線になっている。後ろを振り返るが洞窟は無い。これ以上は進めない、どうして??建物の跡には漢字の落書きが多数。観光地に良くある『がっかり』した気分。

 

理由は分からないがここにあった洞窟は塞がれてしまったようだ。本を見ても、どう考えても場所はここである。恐らくは何か事件があり、危険または悪ふざけ防止などの理由で閉鎖されたのだろう。次男の落胆は大きい。足が痛いと言いながらもここまで頑張って歩いてきたのに。

次男の強い希望でもう一つの階段に挑戦する。それは春坎角公園(安養院の横)から降りる階段。かなり狭く急であるが、一生懸命降りる。絶景ではあるが、高所恐怖症の私にはキツイ。だんだん木の枝、丈の伸びた草で道が狭まる。恐らくは人が通らない道なのである。次男は懸命だったが、それでも茂みと急な段差で断念。洞窟探検の夢は幻と終わる。

帰りは疲れた足を引きずるように歩く。バス停までは2km以上はある。結構気が重い。ところが幸運なことに安養院の前まで来るとミニバス(16M)が停まっている。神様からの頑張ったご褒美か?このミニバス、柴湾までを約30分で繋ぐ。帰りは行きと全く別ルートを通り、丁度1周して家に到着。

 

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