北京寄り道散歩(2)視界不良な北京

10月18日(土)

バックパッカーの会

翌朝はゆっくりと起き上がる。朝からネットが繋がらず、旅行記を書いた。10時過ぎにはホテルを出てTさんの家へ行く。Tさんとは25年来の付き合い、今年彼が北京赴任を果たしたので、訪ねていく。有難いことに自宅に泊めてもらえるとのことで、1泊お願いした。取り敢えず、1泊分の荷物をかれの部屋へ運んだ。この家、昔から何人もの知り合いが住んでいる古い場所。懐かしい。

 

すぐに崇文門へ向かう。地下鉄1号線、2号線と乗り替え、何とか辿り着く。そこから指定のレストランまで、意外と探すのが難しかった。北京の道は基本的に碁盤の目、だったが、偶に曲がった道などがあると調子が狂ってしまう。また近いと思っても歩くと距離があるのが北京の特徴。

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ようやく見つけた店は紹興料理、懐かしい「咸亨酒店」。魯迅の小説、「孔乙己」の舞台になった咸亨酒店から店名が付けられた。紹興にある咸亨酒店は1894年に魯迅のオジサンが開業したとか。そういえば北京には「孔乙己」という名のレストランが3軒あり、よく通ったものだ。これまた懐かしい。

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個室が予約されていたが、何と定刻に誰も来ていなかった。今日は北京のバックパッカーの会に呼んで頂いたのだが、皆さん、レストランが見付からず迷っていたとか。え、それでバックパッカー?と思わず突っ込むと『実は今日のメンバーはちょっと旅好きなだけで本物のバックパッカーはいない』とのこと。え、何で?

 

この会は主催者のNさんが3年ほど前に結成したものだった。私が6年前に結成?した旅好きの会、こちらは本当にディープな人が集まり、中国全省制覇した程度の生半可な人は放り出されたほどだったが。この会は随分と大人しい。まあ、それでも和気藹々、楽しく食事をした。今や旅好きの会の熱気が異常だったとしか思えない。

 

セミナー

2時にはここを出て、タクシーに乗り建国門へ向かう。今日は日本人会主催のセミナーに参加する予定で、しかもお話をしなければならないため、遅刻はできない。会場は賽特百貨店裏の高級マンション内にある、隠れ家的なプライベートレストラン。ワインを飲みながらフレンチでも食べる、と言った素敵な空間だった。

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既に主催者が集まり、順調に準備が進んでいた。開演の3時前には会場の席が埋まり、人が溢れた。私の話はありきたりのつまらない物だったが、第2部があり、そこでは北京で有名な人たちのパネルディスカッションが行われた。この人々を目当てに多くの人が詰めかけた様だ。

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北京という街は政治都市であり、また文化都市でもある。上海の方が日本人は遥かに多く住んでいるが、文化的な行事なら北京の方が人は集まる。それでも最近は日本人の数が若干減り、特に家族連れが減る傾向にある。以前駐在していた頃とは事情が違ってきているようだ。

 

そのまま、夜の部に移行し、ビュッフェパーティとなった。会場には顔見知りの人が沢山来てくれ、楽しく談笑した。定員40名とのことだったが、有料にもかかわらず、満員だった。ベランダに出ると夜風が爽やかだった。昨日も会った張さん旦那が鉄観音と白茶を皆に振る舞っていた。ワインを飲んだ後に白茶、いい組み合わせだった。

 

Tさん宅

パーティーがお開きになり、Tさん宅へ戻る。Tさんも別の会の関係で外出しており、いいタイミングで帰ることが出来た。昔話に花が咲く。何故かネットは繋がらない。不思議なくらい、ネットには嫌われている。Tさんの部屋は実にさっぱりしていた。余計な物は何もない、という感じ。スーツケース2個ぐらいでやって来てそのまま住んでいる、のではないか。もうある程度歳なのだから、それがシンプルでよい。

 

ただ映画好きのTさん、DVDや関連書籍はかなりあった。今日も映画好きの会を開いていたらしい。旧満州関連の研究もしており、かなりディープな感じが漂う。来月北京で開かれるAPEC、急に6連休になるとかで、アジアのどこかへ旅をしたい、と言われたので、バンコックを勧めたが、最終的にはチケットの関係などでホーチミンへ行ったようだ。

 

10月19日(日)

ホテルで朝和食

翌朝は6時台に起きてしまった。Tさんは日課のスイミングへ。私はすることもなく、ボーっとしていた。窓から外を見ると、やはりボーっと霞んでいた。北京の大気汚染の深刻さが良く分かる。実は今日は年に1回の北京マラソンその日。こんな中を走る人がいるのだろうか、と思ったが、翌朝の新聞では『毒ガスマスクをしては知っているランナー』などが1面を飾っていた。マラソンも命がけだ。因みに日本人参加者に聞くと、『参加料が高額で、しかも飛行機代まで払って、走らないで買える』という選択肢はないそうだ。まさに命がけ。

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朝食は近くのホテルで食べる。普通の朝食ビュッフェを食べるつもりだったが、何と『和定食』なるものがあったので敢えて頼んでみた。ウエートレスは一瞬『え?』という顔をしたが、そのまま注文を通した。しかし周囲の人々がどんどん食事を取り、どんどん食べる中、我々のテーブルには一向に食事が来なかった。まあ、急ぐ旅でもないし、ということで雑談しながら待った。

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かなりの時間が掛かって出てきた物は、確かに和食であったが、器は和ではなかった。焼き魚、豆腐、サラダ、ご飯とみそ汁。なるほど。最初は箸も出て来なかった。なかなか面白い。食事代はご馳走になったので良く分からないが、恐らく今の円安もあり、2500円位したのではないだろうか。またビュッフェより少し安いのかもしれない。北京の物価が上がったのか、円安なのか、何だかちょっと寂しい。

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それから部屋に戻り、また話し込む。11時過ぎにお別れして、また先日のホテルに戻りチェックインした。兎に角周囲が濃い霧に包まれており、心が沈む。北京に駐在する、ずっと住むのも大変だ。

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