ベトナム縦断茶旅2017(9)ダラットからニャチャンへ

駅を離れて、湖に出ると宿の方に歩き出す。さすがに反対に歩くと戻るのに相当の時間が掛かると見たからだ。宿の近くには市場があった。そこまで来て腹が減り、フラッと低い椅子に座り飯を食う。2万ドン、やはり市場の飯は安い。観光地ダラットにはきれいなレストランも多いが、自分にはこちらの方が合っていると感じる。市場では花が沢山売られていた。張さんが作ったものもあるのだろうか。

 

午後はそのまま湖と反対方向に歩き出す。こちらは地元民の道のようだ。ずっと歩いて行くと立派な門を持つ寺があった。霊山寺、1938年創建で、当時のフランスと中国の様式が折衷された独特の雰囲気の建物。ベトナムらしい寺だったが、人影は殆どなく、ベトナムの仏教はどうなっているのだろうかと思う。

 

疲れてきたので宿に帰って休む。だが何と眼鏡をベッドの上に置いてしまい、そこに手をついたので、眼鏡が完全に曲がって、使い物にならなくなってしまった。これは困った。仕方なくフロントで眼鏡屋の場所を聞くとすぐ近くにあるというので飛び出した。眼鏡をかけないと本当に看板が見えない。不安が過る。

 

何とか歩いて3分ほどで見つかったので中に入る。若者が片言の英語を話したので安心して預けた。ところが治し方が全然なっておらず、曲がったまま返されたので驚いてしまった。すると奥にいた父親が出てきて、その仕事を見て黙って眼鏡を取り上げ、自分で治し始めた。3分もするとほぼ完全に元に戻る。やはり伝統的な職人は違う。息子は未だ修行中なのだろう。修理費は5万ドン、まあ仕方がない。

 

眼鏡の件で驚いて疲れが吹き飛び、そのまままた散歩を続ける。すごく目立つお寺があったので近くに行ってみると、まだ建設中だった。誰がこんな大きな、立地もよい、豪華な寺を建てているのだろう。資金の出所が気になる。社会主義国ベトナムでも、宗教政策が進んでいるのだろうか。

 

湖の周囲を歩いて見た。夕方の散歩をする人、老夫婦や犬を連れた人が多い。馬車が置かれ、馬がのんびりしていた。湖はかなりきれいで、特に夕方の風景がよいようだ。湖と宿の間にはおしゃれなカフェが揃っており、ここは観光客向けかと思っていたが、意外と地元の若者も来ているようだ。

 

夜はちょっと寒いくらいだった。昨晩の標高1600mから少し下がったとはいえ、やはり高原なのだ。風が冷たい。とにかく温かい食べ物が食べたいと思い、フォーの店を探した。地元の人が行きそうな近くの店、そこでは若い三姉妹が切り盛りしていた。お客はどんどん入ってきて忙しいそうだ。野菜がたっぷり盛られた皿が出てきて、湯気の立つフォーも美味しかった。名物店なのかもしれない。部屋に帰ってすぐに寝込む。何とか寒さは凌げた。

 

11月16日(木)
ニャチャンへ

翌朝は6時台に起きる。この宿でニャチャン行のバスを予約しており、バスが迎えに来てくれるというのだ。120000ドン(5.5ドル)と安い。まあ、ベトナムなので、元々8時だったが、7時半に変わったと言われても、どうせ来るのは8時だろうとたかを括り、ゆっくりロビーでチェックアウトを終え、ソファーに座った。だがバスは本当にすぐに来た。荷物も車内に運び込んだ。

 

乗客は殆どいなかったが、すぐ近くの旅行社の前で停まったので、ここでたくさん乗ってきて、時間が掛かると思われた。ところがここでも殆ど乗って来ずに、すぐに出発した。何とも驚きだ。バスは昨日来たガウダットに向かう坂を上り始め、30分後には、ガウダットを過ぎ去った。何とも順調だ。

 

実はダラットから海岸線のニャチャンまでは車で3時間と言われて、そんなに近いのかと驚いた。ところが先日珍しく台風がやってきて、このダラットからの道が不通になってしまったと聞いていた。ただ道は2本あるので、もう一本は大丈夫だというので、乗り込んだわけだ。途中道路工事をしている場所がいくつかあった。恐らく不通にはならなかったものの、被害があったということだろう。

 

それにしても順調だった。途中で地元民が何人か乗り降りして行っただけで、このままいけば3時間もかからずにニャチャンに着けそうだったが、2時間弱走ったところで、休憩所に入った。もうあと30㎞ぐらいなんだから、休憩などしなくてもよいのに、と思ったが、仕方がない。トイレに行く。

 

乗客は、中国人のカップルと白人バックパッカー2人と私しかいない。まあまだ午前中ということもあり、誰も急いでいる様子はない。後から来たバスもここで停まった。ところがそのバスはトイレ休憩を済ませるとすぐに出発したのに、我々のバスは動かない。運転手はバスをきれいに洗った後で、ゆっくりご飯を食べているではないか。結局ここで40分余りも休憩してしまう。時間がもったいない。

 

後は平たんな水田の横を走り、それから市内に入る。ここでまたガソリンなど入れているから、白人はここで降りてしまったが、私はじっと終点まで乗っていた。その方が、次の展開がしやすいと判断していたからだ。最終的には11時半に、海辺に近い道路沿いにある旅行会社のオフィス前に到着した。とにかく山から下りてくると暑い!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です