タイ北部お茶散歩2015(4)メーテン アラクサ茶園へ

茶畑へ

それからゆっくりと休息した。私は試しに一か所だけあるWiFiが繋がる場所でネットを繋いでみた。問題なく繋がるが、こんないい環境でネットしていても仕方がないので、すぐに閉じて部屋に戻る。そしてついにメインイベントである茶畑ツアーに出掛けることになる。何と全員が自転車に乗る。久しぶりの自転車、それもマウンテンバイク、ちょっとワクワクした。宿泊していた欧米人も多数参加。大勢の自転車が村を疾走していく。舗装された、のどかな山道だが、欧米人は慣れているのか、走るスピードが速い。我々は遅れ気味で付いていくのがやっと。途中の景色を見る余裕もなく、ただペダルを漕いでいく。いくつか自然の中のロッジがあった。こんなところに泊まるのもよさそうだ。

ようやく皆に追い付くと、今度は自転車を下り、ピックアップに乗せられ、運ばれて行く。そしてついにアラクサと書かれた茶園の敷地に入った。山を背景にした景色の良い茶園だった。責任者の男性が英語で説明を始めた。ここは元々アカ族の茶園であり、最近リスロッジが茶園を買収し、本格的な茶生産が始まったらしい。ここでは茶の種を植えて茶樹を育てる。我々も1つずつ種を植えてみた。果たして育つのだろうか。

早々に籠を渡され、茶園に出て、茶摘み体験に入る。茶葉は大きめのアッサム種。以前からミャンマー東北部、タイ北部、ラオスには大葉種で作られた茶があったので、その流れであろうか。樹齢20₋30年の茶樹には新芽が噴出しており、如何にも『摘んでください』と言っているようだ。昨年福建の安渓で茶摘みを経験したが、あの時はお客様扱いで、摘んだ茶葉は別によけられており、戦力外を痛感した。今回も腰が引けており、あまり良い摘み方は出来ていない。他のメンバーは実に楽しそうに茶摘みをしていた。こんな体験、出来るようで出来ないな。

茶摘みが終わると、摘んだ茶葉を籠から出して、大きなざるに入れ、重さを計る。そして適量を大きな鍋に放り込み、炒めだした。まるで野菜炒めを作るように、両手にしゃもじを持って地元の女性が作り始めた。かなり豪快な作業だ。天日に干すような工程は見られない。炒め終わると、ざるに戻し、手で揉み始める。かなりの強さだ。そしてまた炒め、そして揉む。何度もこの作業が繰り返されるようだ。

出来上がった茶葉は相当小さくカリカリになっており、ほうじ茶のような強い香りがする。日本茶は蒸してから焙じるが、こちらでは釜で炒って、そして焙じる。まあ緑茶というより、焙じ茶と言ったほうがよさそうだ。実に香ばしい香りがあたりに漂っている。その香りから遠ざけられ、我々は建物の中に誘導された。テーブルがあり、お茶が飲めるようになっている。

雷おこしのようなお菓子も美味い。お茶はホットとアイス、両方を飲んだが、実に香ばしく飲みやすい。これなら日本人でもイケるかな、と思うほど。実際に日本人で買い付けに来た人もいるようだが、現在は産量が少なく、タイ国内の高級ショッピングモールでの販売を念頭に生産しているらしい。近々バンコックのモールでアラクサ茶にお目にかかるかもしれない。

いつの間にか一緒に来た欧米人は皆いなくなっていた。彼らは1日で2₋3のツアーに参加するようで、次の活動に行ってしまったようだ。我々は茶園ツアーが主目的。ゆったりとお茶を飲み続けた。よくあるケースは日本人や中国人の団体がせかせか次の場所に移動して、欧米人が気にいった場所から動かないのだが、今回は反対であり、ちょっといい気分になってしまう。気にいった場所、ずっと居たい場所にいられる幸せ、大切だと思う。そもそもの旅のあり方を考えさせられる。

今回のメンバーも3人はバンコックで働いている人々。日頃忙しくしている面々にはリスロッジの滞在及び茶園ツアーでかなり癒されたのではないだろうか。見ていると皆、ボーっと遠くを眺め、動かない。頭を休める、なかなか出来ないことだ。私などは日頃から休んでいる感じなので、それほどの効力があるとは思われないが、忙しい、時間に追われているのであれば、このようなツアーには絶大な効果があるといえそうだ。現に皆のリラックス度合いが半端ないのを見れば分かる。

帰りは欧米人もいなので自分のペースで自転車を漕ぎ、ロッジに戻った。学生時代自転車部だったというIYさんの生き生きとした姿が印象的だった。対照的に私のタラタラした動き、筋肉痛も予想され、あまり早く漕ぐと痙攣の恐れもあるなど、かなり情けない状況であった。たまには運動しないと、このような時に恥をかく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です