タイ北部お茶散歩2015(2)メーテン リス族の村を探索する

2.リスロッジ ゆるい宿

車はバンタイプで、ゆったりと5人で座れた。チェンマイの道は道路工事があり、途中結構な渋滞があったが、それを過ぎると、スムーズに進み、少しずつ登っていく感じとなり、1時間と少しでメーテンという街に着く。そこから更に田舎道を行くと、目指すリスロッジが近づく。このリス族の村、周辺の道沿いにはいくつものロッジが建てられており、ここはタイでは有名なリゾート地であるらしいことがわかる。

午後2時過ぎ、ついにリスロッジに到着した。バンを下りるとリス族の民族衣装を着た女性が『こんにちは』と言って出迎えてくれた。日本語のできる人がいるなんて。日本人と結婚したリス族の女性だった。今回の旅もまた、かなり期待が持てる展開だ。ロッジの敷地はかなり広く、相当ゆったりとした空間がそこに存在している。空気もいい。さすがリゾート。全員がこの光景に満足して、その空間に吸い込まれていく。

まずは小さな小屋でウエルカムドリンクを頂く。ガイドのチャーリーと名乗るオジサンが英語で話し掛けてきた。なかなかユニークなキャラのようで、皆の笑いを誘う。宿泊代金を支払っていなかったので、その旨伝えると『それは明日でいいじゃないの』と言われ、そんなこせこせしたことより、今日を思いっきり楽しもうよ、という雰囲気が満面に出ていた。何だか気分が一気に高揚した。

部屋に案内される。リス族の伝統的な木造建築の建物に部屋が5つぐらいある。広いリビングはオープンスペースになっており、かなり気持ち良い風が入ってくる。室内はフカフカのベッド、そして奥にはシャワーとトイレがあり、リススタイルと欧米スタイルがミックスされていて、完全な大自然の中にいるという訳ではない。窓からは畑が見え、遠くには山が見える。いい環境だ。皆喜んでリビングに寝転び、はしゃぐ。この緩さ、疑いなく大好きだ。

村散策

ガイドのチャーリーが迎えに来た。ここにはタイムスケジュールなる物はない。みんなが良ければ行動が始まる。この感覚もありがたい。折角ここまで来て、『何時の集合、何時までの旅』などと日本的にやられては適わない。このロッジのコンセプトはエコ。トレッキングをはじめ、サイクリングやラフティングなどいくつものツアーを用意しており、ガイドが誘導していく。欧米人はここに連泊する人が多く、自由にツアーを選び、気分次第で行動していく。今日我々が参加したのは、リス族の村を探索するというもの。ロッジは村の中にあるので、歩き出すとすぐにツアーが始まる。フランス人親子と同行した。

実にのどかな村の午後を散策。豚がいた。『もうすぐ売られていきます』とチャーリーが解説した。旧正月が近く、市場に持っていくと高く売れる。この時期、豚は一番肥えているという話に妙に納得。家の軒には豚肉が干されている。これが村の保存食。豚の全てをきちんと使い、自分たちの生活に合わせて加工している。

村のシャーマンに会いに行くというので緊張した。家の入り口にはしめ縄のような物が飾られ、ムードが高まる。おばあさんが迎えてくれた。この人がシャーマンかと思ったが、皆にお茶を振る舞ってくれる。実は表で木を削っていた男性、彼が村で唯一残るシャーマンだった。とてもそうは見えない穏やかな人だった。既に人口減少が激しいこの村、年老いたシャーマンは亡くなり、新たなシャーマンは現れない。

我々が訪ねたからと言って、特に何か呪術的なことをするわけではない。村の祭事や村人の相談があれば、シャーマンとしての仕事をするが、普段は普通の人。勿論シャーマンは勉強すればなれるものではなく、お告げのあった人のみが認められる。本日会ったシャーマンも子供の頃、体に電気が走り、村人がシャーマンと認定したらしい。この辺の話は良く分からないが、少数民族の信仰とは、仏教などは全く違うし、科学的に説明などできない。でも昔からそれを信じている人々、そこには何か言われない物が必ずあるはずだ。日本のように『目に見えるもの、説明できるものしか信じられない社会』には疑問がある。

それから村のハーブ園を見学。自然に生えている訳ではなく、ちゃんと栽培しているのだが、正直どれがハーブだか、よくわからない。そこを下ると池がある。お寺もあると言われたが、見付からない。リス族でも仏教を信仰している人がいるのだろうか。池の脇を歩いていくと、見事な水田に出た。よくよく見ると、向こうに自分たちの宿泊場所が見える。ここは既にリスロッジの中だった。この自然な流れ、悪くない。記念の植樹?として、苗を植えてから帰る。畑にはタバコが植えられていた。これもリス族の伝統なのだろう。少数民族がタバコの葉を巻いている様子、そしてよくおばあちゃんがタバコを吸っている姿をミャンマー北部あたりで見掛けたが、それと同じような習慣を持っているのだろうか。意外と興味深い。

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